マイケル・J・フォックス Photo: AFF-USA/Shutterstockマイケル・J・フォックス Photo: AFF-USA/Shutterstock

長年にわたり持病とたたかう俳優マイケル・J・フォックスのドキュメンタリー映画が、初公開された。

このたび、サンダンス国際映画祭でプレミア公開されたのは、俳優マイケル・J・フォックスに密着したドキュメンタリー映画『Still: A Michael J. Fox Movie(原題)』。終了後には、会場が数分間にわたるスタンディングオベーションにつつまれた。

上映後のステージでこの光景を目撃したマイケルは、「もう本当に、すばらしい人生だ」と口にしている。

『Still: A Michael J. Fox Movie』では、俳優マイケル・J・フォックスのジェットコースターのような人生が記録されている。

カナダのエドモントンに住んでいたマイケルは、16歳のときに高校を中退し、ハリウッドに移住することを決意。当初は懐疑的だった父親も、「きこりになりたいなら、森の中で暮らすべきだ」と旅費を負担してくれたという。

5年間の苦しい下積み時代。彼はビバリーヒルズの決してキレイとは言えないアパートで暮らした。

そして21歳のとき、フォックスに転機がおとずれる。

1982年から放送がスタートしたテレビドラマ「ファミリータイズ」でアレックス・P・キートン役に抜てきされ、見事ブレイクを果たしたのだ。

さらに1985年には、主人公マーティーを演じた映画『バック・トゥー・ザ・フューチャー』が世界的なヒットを記録。その後、2本の続編が製作された。同時期に主演した『ティーン・ウルフ』もヒットをおさめ、この作品と『バック・トゥー・ザ・フューチャー』はそれぞれアメリカ国内の興行収入第1位と第2位を獲得した。

人気絶頂だった当時について、フォックスはのちに「ぼくはハリウッドの王様だった。でもハリウッドはレンガと岩でできているんじゃない。羽と紙でできている。名声なんて幻想なんだ」と振り返っている。

状況が一変したのは1991年。神経科医から「パーキンソン病」であると診断されたときだった。ピクピクと動く小指が、まったく治らなかったのだ。

しかしフォックスは、この診断を7年間隠し通した。薬で症状を落ち着かせ、手に小道具を持つことでごまかしていたのだ。そのストレスから、アルコールに依存したこともあった。

その後、病を公表したフォックスは、2020年に俳優業を引退して以降も、パーキンソン病について積極的に発信する活動を続けている。

彼が設立したマイケル・J・フォックス財団は、現在難病とされているこの病気の研究と資金調達をさらに進めるよう提唱するリーダー的存在となっているのだ。

「私の活動のおかげで暮らしやすくなった、普段できないことができるようになったと言ってくれる人たちがいる」と語ったフォックスは、「それは、私にとって大きな責任なんだ」とやりがいを口にしている。

『Still: A Michael J. Fox Movie』は、2023年後半にApple TV+で公開が予定されている。