世界遺産・日光の社寺と賑やかな街道、点在する城下町。豊かな山林や田畑などの自然と文化が一体となり、栃木県では古くから工芸や技術、人々の創造性が育まれてきました。日々の暮らしの道具から祭りを彩る祭事品など、その種類は実にさまざま。中でも注目を集めている、伝統技を大切に継承する作家や、オリジナリティあふれる作品を生む気鋭のアーティストの工房をピックアップ。お気に入りが見つかったら即購入もよし、注文した品が届くのを家で待つのも、旅の余韻を楽しむ素敵なひとときです。丁寧な手仕事を感じる名品と出合いに、栃木の名工房を訪れてみませんか。

1 ひょうたんの灯りルーム

幻想的な空間を演出するオリジナルひょうたんランプ

日光や益子方面の観光で立ち寄りたい、素敵な民芸やアート作品に出合える名工房
(画像=価格の目安はトップライト3,900円位~、スタンドライト9,800円位~、『星野リゾート みちくさガイド』より引用)

クリエイティブな工房が点在するのどかな益子の地にあり、白壁に描かれたひょうたんランプが目印。全てハンドメイドのひょうたんランプを製作している、工房兼ショールームです。ランプは点灯すると赤く柔らかな光が灯り、ファンタスティックな雰囲気。表面から彫り開けた穴にビーズを埋め込んだ繊細で美しいデザインワークと、愛嬌のあるフォルムが相まって温かみのある楽し気な空間を演出します。ひょうたんの形や厚さ、硬さによって発色が変わり、製品は全て一点もの。約4mの電気コード付きで、設置場所に合わせ好きな長さに調整できます。床置きのフロアスタンドや壁掛けのブラケットライトも作っています。

ひょうたん栽培から手がけ、最適な素材を追求

日光や益子方面の観光で立ち寄りたい、素敵な民芸やアート作品に出合える名工房
(画像=ランプが並ぶショールーム。乾燥したひょうたんにデザインを施し、作品を1つ仕上げるのに丸一日要する、『星野リゾート みちくさガイド』より引用)

使用するひょうたんは、契約農家と連携しながら育てたもの。種をまき、畑に定植させるまでの生育管理はオーナー夫妻が行っています。自然の産物なので、程よく光が透過する手頃なサイズを見つけるのがとても難しいそうです。
ショールームは通常は閉まっているので、訪れる際は事前の電話連絡が必要。ひょうたんランプ作りのワークショップも行っており、参加希望の場合は日時等、事前に電話で要相談。 センスあふれるランプは、星野リゾート「界 川治」のラウンジや露天風呂でも幻想的な空間を演出。夕刻に灯った様子は目をみはる美しさで写真映え抜群と人気です。

日光や益子方面の観光で立ち寄りたい、素敵な民芸やアート作品に出合える名工房
(画像=『星野リゾート みちくさガイド』より引用)

ひょうたんの灯りルーム

栃木県芳賀郡益子町益子4283-4
真岡鐵道益子駅から車で約8分。または北関東自動車道真岡ICから車で約25分
通常はショールームは閉まっているので、立ち寄る際は事前に電話連絡を
0285-70-6043
Ⓟ:無料
ワークショップ参加料3,000円

2 烏山和紙会館

1200年の伝統の技、烏山和紙の趣あふれる質感に出合う

日光や益子方面の観光で立ち寄りたい、素敵な民芸やアート作品に出合える名工房
(画像=和紙をアレンジした照明器具はインテリアのアクセントになると人気、『星野リゾート みちくさガイド』より引用)

那須烏山で奈良時代から職人によって伝承されてきた烏山和紙。古くは那須紙と呼ばれ、厚手の高級紙として全国に知れ渡っていました。しかしながら現在、製紙を続けているのは「福田製紙所」のみ。貴重な伝統製法を守り、一枚一枚手ですき上げる和紙は、宮中の歌会始の懐紙に選ばれたり、県内外の卒業証書に使用されたりと、今もなお質の高さに定評があります。施設内では烏山和紙を使用したモダンな照明器具や便箋、小箱など、日常に取り入れやすいアイテムが展示・販売されています。

「和紙の里」を訪れ、工房見学や紙すきを体験

日光や益子方面の観光で立ち寄りたい、素敵な民芸やアート作品に出合える名工房
(画像=楮(こうぞ)蒸しから表皮取り、あくぬき、撹拌、紙すき、圧搾と工程は数多い、『星野リゾート みちくさガイド』より引用)

紙すきの様子を間近で見学でき、和紙作り体験もできるのが「和紙の里」。街中にある「烏山和紙会館」から車で10~15分程、静かな山里に佇む手すき工房です。希少な那須楮(こうぞ)を原料に、楮の皮を煮て紙をすき、乾燥するまでの数多の工程を全て手作業で行っています。仕上がった和紙はきめが細かく光沢感があり、しなやかでやさしい特別な手触り。実際に製品作りに挑戦できる「紙すき体験」は、家族や知人と楽しむのにおすすめです。星野リゾート「界 川治」でも「ハガキすき体験」を開催しています。

日光や益子方面の観光で立ち寄りたい、素敵な民芸やアート作品に出合える名工房
(画像=『星野リゾート みちくさガイド』より引用)

烏山和紙会館

栃木県那須烏山市中央2-6-8
JR烏山駅から車で約15分。または北関東自動車道宇都宮上三川ICから車で約60分
9:00~18:00(季節により異なる)
定休日:火曜
0287-82-2100
Ⓟ:無料
工房見学・体験は「和紙の里」(那須烏山市小原沢599)で実施。ハガキすき2枚600円、紙すきB3サイズ3枚1,800円。2名以上~(幼児も体験可)。2日前までに烏山和紙会館に電話予約を。完成品は後日郵送

3 黒羽藍染紺屋(くろばあいぞめこんや)

今の暮らしにかっこよく映える、藍染インテリアや小物を発見

日光や益子方面の観光で立ち寄りたい、素敵な民芸やアート作品に出合える名工房
(画像=当主の若い感性で製作されたスニーカー。筆で糊を振って付ける技法から「フリ」と呼ばれる柄。1足15,300円~、『星野リゾート みちくさガイド』より引用)

江戸時代、黒羽城下町として栄えた街道筋に立つ、重厚な伝統的建物。1804年(文化元年)創業で、材木商人の印半纏(しるしばんてん)作りなどから大いに繁盛した藍染屋さんです。風情あふれる暖簾をくぐって、入母屋造りの歴史とぬくもりを感じる店内へ。暮らしの一部を切り取ったかのように自然な様子で、藍染の座布団やタペストリー、作務衣などが飾られています。巾着や名刺入れ、コースター、ヘアゴムといった気軽に買いやすい小物が多いのも嬉しい点。柄も豊富で、豆絞り、青海波、麻の葉など好みのデザインを選ぶ楽しさを味わえます。モダンなオリジナルデザインも展開しているので要注目です。

ただ一人「黒羽藍染」の伝統を継ぐ職人が、奥深い濃淡を表現

日光や益子方面の観光で立ち寄りたい、素敵な民芸やアート作品に出合える名工房
(画像=藍の甕に生地を浸す八代目。かつて5軒あった「紺屋」(藍染をはじめとした染物屋)も今残るのは1軒のみ、『星野リゾート みちくさガイド』より引用)

「黒羽藍染」は200年もの間、培われてきた伝統技術。経験と勘が頼りの職人技をただ一人受け継ぎ、製作しているのが八代目当主です。「型染め」という多くの細かい工程を要する技法にこだわるのも、藍染文化への深い思い入れの表れ。型を起こし、藍の葉と石灰などを混ぜて自然発酵させた液で染め上げていく作業の全てを、人の手で丁寧に行っています。天候や気温にも左右される手仕事のため、作品はどれも世界にただ一つのものばかり。スニーカーを始めとして、若い人の目を引く商品開発にも意欲的です。
星野リゾート「界 鬼怒川」では客室の障子や回廊の灯篭に黒羽藍染があしらわれ、藍の世界観を感じられます。

日光や益子方面の観光で立ち寄りたい、素敵な民芸やアート作品に出合える名工房
(画像=『星野リゾート みちくさガイド』より引用)

黒羽藍染紺屋

栃木県大田原市黒羽向町88
JR西那須野駅から車で約25分。または東北自動車道黒磯板室ICから約30分
10:00~17:00
定休日:木曜
0287-54-0865
Ⓟ:無料
一般の工房見学は不可

4 大誠窯

迫力ある登り窯で焼成する、多彩な色合いのぽってりとした益子焼

日光や益子方面の観光で立ち寄りたい、素敵な民芸やアート作品に出合える名工房
(画像=作業場は窯の一員、アヒルやニワトリが歩き回るのどかな雰囲気。価格の目安は豆皿1,100円~、湯のみ550円~、『星野リゾート みちくさガイド』より引用)

自由で創造的な気風あふれる益子の目抜き通り沿いに、登り窯が描かれたユニークな看板が目印です。1861年(文久元年)創業以来、多様な芸術家たちも訪れ愛されてきた名窯で、現在は六、七代目が色々なタイプの暮らしの器を製作しています。古民家を再生した広い店内は、ちょこんとした豆皿からずっしり重い大壺まで、あれこれ目移りしそうな品揃え。店の奥には益子最大規模の登り窯があり、自由に見学ができます。窯の周囲は土と燃料のアカマツの香りがたちこめ、力強くも人の手になじむ益子焼が誕生する原点を五感で楽しめます。

土も釉薬も手作りし、手間暇のかかった作品が所狭しと並ぶ

日光や益子方面の観光で立ち寄りたい、素敵な民芸やアート作品に出合える名工房
(画像=電気やガスは使わず、薪だけを使用。登り窯は年に1、2度、約3,000個の器を焼き上げる、『星野リゾート みちくさガイド』より引用)

七代目当主は益子ならではの物作りにこだわり、近くの山から掘り出した土や、地域の芦沼石、米農家から分けてもらったワラを使って釉薬を作っています。地元の原料にこだわるのは若い頃に一度益子を離れ、古くから作陶が盛んな丹波篠山の柴田雅章氏に師事したことがきっかけ。改めて益子焼の魅力に目覚め、その偉大な歴史に畏敬の念を抱いたそう。手作りの釉は柿釉や糠白釉、黒釉、飴釉、糠青磁釉といった益子らしい釉。薪を使って登り窯で焼くと焼きムラなどのロスも多い一方、濃淡豊かで美しく温もりある器が出来上がるおもしろさがあります。 星野リゾート「界 鬼怒川」のロビーにも豆皿が展示されています。

日光や益子方面の観光で立ち寄りたい、素敵な民芸やアート作品に出合える名工房
(画像=『星野リゾート みちくさガイド』より引用)

大誠窯

栃木県芳賀郡益子町城内坂92
真岡鐵道益子駅から徒歩約20分。または北関東自動車道真岡ICから車で約41分
9:00~17:00
定休日:火曜
0285-72-2222
Ⓟ:無料

5 日光下駄・山本

歩きやすく濡れても安心、足元を粋に彩る「日光下駄」

日光や益子方面の観光で立ち寄りたい、素敵な民芸やアート作品に出合える名工房
(画像=一足24,000円~。左右異なるサイズでも注文可。鼻緒の生地の持ち込みもできます、『星野リゾート みちくさガイド』より引用)

今市ICから車で約10分。広々した田んぼの中に立つのが、日光下駄職人・山本政史さんの自宅兼工房です。日光下駄とは竹皮で編んだ草履(ぞうり)の下に、下駄を縫い付けたもの。日光の社寺を訪れる高貴な人々が、雪道や山道を歩きやすいようにと考案された形が始まりです。下駄の歯が下部に向かって広がっているため、安定性があって歩きやすく、雪道でも雪がつきにくいのが特徴。足に触れる部分は竹皮でできているので吸湿性に富み、足袋を履いた足元でも蒸れにくく滑りにくいので疲れ知らず、と良いことづくめ。心地よく使いやすい、日用品としての用の美を楽しめる一品です。

原料や細部にこだわりぬき、履き心地の良さを追求

日光や益子方面の観光で立ち寄りたい、素敵な民芸やアート作品に出合える名工房
(画像=栃木県認定の伝統工芸士・山本政史さん、『星野リゾート みちくさガイド』より引用)

草履の原料になる真竹の皮は九州から取り寄せ、3日ほど硫黄でいぶして繊維を丈夫にします。編み上げる際には踵部分を盛り上げ、足裏になじむようにするなど様々な工夫が施されています。下駄の台木は茨城県結城市の木工店から仕入れた桐製。ふっくら太い鼻緒は、叩いて柔らかくしたもち米のワラを詰めたもの。原料選びから製作工程一つひとつまで、山本さんが作る日光下駄には一切の妥協がありません。
工房では作業の見学ができる他、鼻緒の柄を選んだり、竹皮を好みの色味に染めたいなどの希望を伝えたり、自分だけの一足を注文できます。
星野リゾート「界 日光」では、日光下駄での散策をはじめ、成り立ちや魅力に触れる滞在が楽しめます。

日光や益子方面の観光で立ち寄りたい、素敵な民芸やアート作品に出合える名工房
(画像=『星野リゾート みちくさガイド』より引用)

日光下駄・山本

栃木県日光市川室23-4
東武鉄道大桑駅から徒歩約5分。または日光宇都宮道路今市ICから車で約10分
不定なので立ち寄る際は事前に電話連絡を
0288-21-8966
Ⓟ:無料

※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。

記事公開:2023/01/05

提供・星野リゾート みちくさガイド

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