「エミリー、パリへ行く」「エミリー、パリへ行く」

パリ副市長が、あの人気ドラマに苦言を呈している。

1月12日(木)、フランス・パリの副市長ダヴィッド・ベリアールが日刊紙「リベラシオン」にネットフリックスの人気ドラマ「エミリー、パリへ行く」に対するきびしい意見を寄せている。

ダヴィッド・ベリアールはこの中で、「このドラマはパリの中でも不変的な部分、富裕層が住むような画一的な建築遺産など超中心部に限定して描かれており、まるでディズニーランドのようだ」とし、「要するに、非の打ち所がない色彩と理想的な景観を持つ『インスタグラム的』なパリだ」と、ドラマ内と実際の都市の様子がかけ離れていると訴えた。

「エミリー、パリへ行く」は2020年からネットフリックスにて配信されており、先月からシーズン3が公開されている。広告の仕事のためにパリへ移り住んだ20代のアメリカ人エミリーが、文化の違いにとまどいながらも無事に乗り越え、成功させるという物語。

ドラマ内ではエミリーが仕事で成功していく様子や美しいパリの風景がふんだんに取り入れられているが、ベリアールは「これは作り話であり、望ましいものでも実現可能なものでもない。気候に関する規制を緩和し、資源の希少性という制約をムシして初めてできるものだ」とバッサリ。

さらにドラマでは、エミリーがラテン地区にある19世紀のアパートの屋根裏で暮らす場面が描かれているが、ベリアールによると「ありえない光景」なのだという。

近年、ヨーロッパは記録的な熱波におそわれており、古いアパートはこの熱に耐えられるものではなく、とても暮らせるような状態ではないという。

「このようなアパートの最上階は、暑い時期にはオーブンのようになってしまう。貧しい人たちが住むようなところだ」と述べたベリアールら、「単純な解決策は屋根を白い反射塗料で塗ることだが、パリの色合いを捨てることになる」と続けた。

その上でベリアールは、「固定観念化された『古き良き』パリの街のイメージから抜け出し、変化していく世界に適応した美しいパリを新しく発明しなければならない」と呼びかけている。