毎月いつのまにかお金を使っていて、給料日前はいつもお金がない……。若手ビジネスパーソンの中には、そんな悩みを抱えている人も多いでしょう。社会人1年目では余裕がないかもしれませんが、将来のためにも早いうちから貯蓄の習慣を身につけておきたいもの。しっかりお金を貯めるための“先取り貯蓄”にトライしてみませんか。
お金が貯められないのは仕方ない?
毎月の給与から生活費を支払っていき、手元に残ったお金を貯蓄にまわしているという人は、どれくらいいるでしょうか?社会人になったばかりでは収入も少なく、慣れない新生活で上手にお金のやりくりができないのはある意味、当然とも言えるでしょう。
一方で、習慣となった意識や行動は変えることが難しいため、場当たり的な貯蓄を続けて20代後半~30代になっても「お金が貯まらない」と嘆く人は少なくありません。
将来、貯蓄の必要性を感じたときに困らないためにも、若いうちからしっかりとお金を貯める習慣を身につけておきたいもの。そこで、計画的にお金を貯められる“先取り貯蓄”をはじめてみませんか。
先取り貯蓄とは
先取り貯蓄とは、給与が入るタイミングであらかじめ決めた金額を先に貯蓄にまわすことです。一人暮らしをしている人なら「家賃」や「水道光熱費」など、毎月引かれる固定費と同じようにあらかじめ貯蓄分を差し引き、残ったお金の中で生活費をやりくりします。
給与振込口座から自分で貯蓄用口座に移す、給料日に貯蓄用の口座へ自動振替を設定するなどのほか、後述する制度や金融機関の商品を利用したり、余裕があれば投資で貯めることに挑戦してもいいでしょう。貯蓄分を先取りしておけば、今月は貯蓄できなかった……ということも起こりません。
どうやって先取り貯蓄する?
貯蓄用の口座をつくってお金を預ける場合、普通預金の口座であればいつでも好きなタイミングに預け入れ、出金が可能です。冠婚葬祭のお祝いや、医療費がかさんだときなどちょっとしたお金の「予備費」を預けておくといいでしょう。
一方で、足りなくなったときに都度お金を引き出していては、いつまで経っても貯蓄できません。将来に向けてきちんと備える場合は、財形制度や定期預金を利用するといいでしょう。
財形制度(勤労者財産形成促進制度)
勤務先が財形制度を導入している場合に限り、給与やボーナスから設定した金額を天引きして(=あらかじめ差し引いて)貯蓄することができます。これは、企業や国がビジネスパーソンの貯蓄を支援する制度で、会社を通して手続きすることが可能です。
財形貯蓄には、「一般財形貯蓄」のほか、マイホーム関連資金のための「財形住宅貯蓄」、年金目的でためる「財形年金貯蓄」の3つがあります。それぞれの条件で一部引き出しも可能です。
給与天引きされていれば、もとから“ないもの”と考えることができそうですよね。先取り貯蓄が初めての人や新社会人にはぴったりの方法です。最初は小さい金額からはじめて、生活が苦しくならないように注意しましょう。
自動積立定期預金
定期預金とは、一般的に預け入れる期間(1ヶ月~10年程度)をあらかじめ設定して行う預金を指します。満期まで出金しないことなどを条件に、普通預金よりも金利が高く設定されているのが特徴です(期間や、引き出し・解約などの条件は商品によって異なります)。
さまざまな種類の定期預金の中でも、毎月指定した日に給与口座から貯蓄用口座へ自動で振り替えられる自動積立が便利でしょう。毎月の給与に加えてボーナス時の設定も可能です。
自分で金融機関に申し込む必要があるものの、財形制度を導入していない企業をはじめ、勤め先に関係なく利用できるなどのメリットがあります。
投資に興味があれば、つみたてNISAやiDeCoも選択肢に入れて
現在、日本の金利は非常に低く、財形制度や定期預金はあくまで“貯める”ことが目的となるでしょう。そこからさらにステップアップして、貯蓄するお金を“殖やしたい”場合は、「つみたてNISA」や「iDeCo」の利用を検討してみるのもいいでしょう。ただし投資なので、資産が目減りする可能性ももちろんあります。
つみたてNISA(少額投資非課税制度)とは
「つみたてNISA」は、小額からの長期投資などを支援する非課税制度のこと。一般的に投資の運用益には税金がかかりますが、この制度を利用することで年間40万円まで最大20年間の運用益が非課税となります。
長期積立に適した商品が対象となるため、「投資信託に興味があるけれどどんな商品を買ったらいいかわからない」という初心者にもぴったりです。多くの銀行や証券会社で取り扱いがあるため、興味のある人は現在利用している金融機関をチェックしてみましょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは
私たちが納めている公的年金は、一括して厚生労働省所管の独立行政法人が運用しているのに対し、「iDeCo」は自分が拠出した掛金を、自分が選んだ方法で運用する私的年金のことです。60歳まで拠出し、その後老齢給付金として受け取ることができるので、将来(公的)年金だけでは不安という人にぴったりです。
加入にはいくつかの条件がありますが、「運用益が非課税」「掛金が全額所得控除」「引き出す際に税制優遇される」などのメリットが魅力です。原則60歳になるまで引き出せないため、定年後の資産形成を目的とする人に向いているでしょう。