A. ふうちゃんは、もうすぐ1歳になる雌猫さんなのですね。
ふうちゃんは、どのような状況でママさんの元にこられたのでしょうか?

猫も犬も生まれてから、ある程度大きくなるまで親や兄弟と暮らし、その生活の中で遊ぶ時の力加減を覚えていくのですが、もし早期に親や兄弟から離されてしまうとこの力加減を覚えないまま、新しい家族の元に来てしまうことにもなりかねません。このような状況であれば、新しい家族が子猫や子犬に力加減や家族の間でのルールを教えていく必要があります。

※ 今後新しい子犬や子猫を迎えるときには、上記の点を考慮し、生後8週齢を越えるまで親・兄弟のもとで暮らした子を選ぶようにすることが勧められます。

ふうちゃんが、ママさんを噛むのはどんな時やどんな状況にある時でしょうか?通常、成猫が飼い主を噛んでしまうのは、嫌な事をされ、そこから逃れるためであったりすることが多いものです。普通ですと、噛む際にも力加減をし、余程のことがなければ酷い傷になることはありません。ただ、まだ力加減をしらない子猫や、やや未成熟な猫の場合であれば、話は別でただじゃれていて、あるいは捕食行動の一環として、あるいは感極まった時になど強く噛んでしまう事があります。このような猫では、まず、噛むときの力加減を覚えさせていく必要があります。

噛み付いた時には、すかさず『痛い!』『ダメ!』と鋭くはっきりした言葉遣いで叱り、じっと睨みつけるようにすると、『これはダメだったんだ』と覚えていくようになります。あるいは叱ると同時に指1本か2本でおでこ周囲を猫パンチするのも効果的です。これは、猫同士でもよく行われている姿ですね。ただ、この後思わず可愛そうに、ごめんね、と手を出したり、撫でようとしたりすると、せっかく覚えかけたことも忘れてしまうことがあります。叱ったら猫から少し距離をおいて猫を無視し、猫が再度近づいてきた時にまた遊び始めるようにしましょう。そして、遊び始めて、また力加減を誤ったら叱るようにしていきます。早ければ数日もしないうちに覚えてくれる子もいます。

※ これは、噛むこと自体を避けるのではなく、噛む力加減を覚えさせることを第一としたものです。
【捕食行動の一環として、飼主が動いているときの手や足に噛み付いてくる場合】
猫は本来獲物を捕まえて、それを食べる捕食性の動物ですが、家の中で飼われていると次第にその本能が少なくなっていくものです。しかし、中には家の中の遊びによって、その本能が発達させられているものもいます。
例えば、猫じゃらしを獲物のような動きをさせて、それを追いかけさせ、捕まえるとなでてあげたり、ご褒美におやつをあげたり。じゃれて噛み付いてくると、そのままプロレスごっこに発展していったり、などなど。
このような事が続けば、猫は獲物を捕らえるようなことをすれば、さらに興奮して楽しい、いい事もあると学習していくことになりますし、元々興奮してしまう性格であれば、それが強化されてしまうことにもなりかねません。猫の噛む力加減ができていて、猫の興奮が過度にならない内に飼主が遊びを中止できるのであれば、問題はありませんが、どちらか、あるいは双方ができないのであれば、改善していく必要があります。

力加減の教え方については、先に述べたとおりです。
では、猫の興奮が過度にならないうちに遊びを中止するにはどうしたらいいでしょう?

猫は興奮してくると、瞳孔が大きく開いてきます。また、獲物を狙う際には、口がやや尖ったようになり、尻尾の先がぴくぴくゆれ、お尻も少しフリフリ動くように、後ろ足がもぞもぞしてきます。このような徴候がみられたら、遊びを中断するか、何か別の音(コインを入れた缶などを用意し、それを猫に当らないところに投げて音をだす、ホイッスルを鳴らすなど)で猫の気を紛らわすようにしましょう。
また、遊び方も注意し、手と直接つながるようなおもちゃではなく、間に紐があるようなおもちゃで遊ぶようにすると、猫じゃらしを持っている手が噛まれることはなくなります。興奮しやすく、噛まれやすいプロレスごっこなどは行わないようにしましょう。

体力がありあまっているような猫であれば、猫を走らせたり、ジャンプさせたりできるような遊びを考案したり、遊具(キャットタワーなど)を準備したりするのも一つです。

【感極まって(?)噛み付く場合】
~よく観察し、猫を落ち着かせるタイミングを知りましょう~
「撫でて~」と近づいてきて、飼主が言われたとおりに撫でていると、突然のように噛み付いてきたり、後ろ足でキックしてきたりすることが猫ではよく見られます。
猫同士でもお互いにグルーミングし仲良くしているなぁと思っているのもつかのま、急に取っ組み合いの喧嘩に発展してしまう事があります。猫たちには撫でられることに対して、ある程度の好みや限界があるのかもしれません
猫に「撫でて」といわれ、私達が犬を撫でるくらいの幅で猫を撫でる(例えば猫の頭から腰まで)と、数回で文句を言い出したり、噛み付いてきたりする事があります。また、細かく撫でる(頭だけや顔の横の部分だけを撫でる)ことでも長時間続くと反転して文句を言い出す事もあります。
この原因は定かではありませんが、猫たちの様子をみていると、短時間、細かな動きで互いの体をグルーミングしあっているため、生来長い幅で長時間、愛撫されることに耐えられないのかもしれません。よく猫の様子をみていると、耐えられなくなり始める少し前に低い声で唸ったり、高い声で文句をいい出したり、前足の指が広げ始められていたり、後ろ足の爪が除き始めていたりといったことがあります。このような様子が見られたら、すぐに愛撫をやめ猫が落ち着くようにしてあげましょう。猫が気持ちのいい所、ある程度満足した所で遊びも撫でることもやめるようにすると、感極まって(興奮して)噛まれることは少なくなってきます。


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