2022年のペヤングの道筋を示したトップバッター!「ペヤング 明太シーフード唐辛子マヨやきそば」

 続いては、1月に発売された「ペヤング 明太シーフード唐辛子マヨやきそば」205円(税別)。ペヤング2022年の最初に登場した商品で、今年数多く発売された真面目な創作系ペヤングの先鞭をつけた存在とも言えるでしょう。

「明太シーフード唐辛子マヨ」という、「スパイダーフラッシュローリングサンダー」ばりにいろいろ詰め込んだ商品名ですが、このパッケージのフォントにあまりデザイン性がなく、かえって無骨さ、真面目さが出ているように思います。

 明太子の入った醤油味のソースに唐辛子マヨネーズを合わせ、いつものペヤングの麺と、かにカマ、エビ、イカ、キャベツが入っていて、具だくさんぶりに目がいきます。

 カップ焼そばで明太子味のソースといえば、ベース部分はあっさり系の和風味や柔らかいバター風味にすることで、うまく明太子の味を立ていることが多いですが、今回のソースは明太子より濃い醤油味が主役となっています。明太子味のソースでこのパターンはあまりないのではないでしょうか。

 辛さはそれほど強くなくて、ピリ辛程度。ソースに関しては「明太シーフード」とは言ってもほぼシーフード要素はなく、明太子と醤油のせめぎ合いという印象です。

 唐辛子マヨネーズは、がっつりコクと酸味があって唐辛子も辛いです。主張の強いマヨに対し、今回合わせているソースは醤油のキレが鋭く、明太子もしっかり感じ取れるため、マヨとソースがバチバチにやり合っていました。調和しているというよりは、お互い大声出して殴り合っている感じです。

 ソースと唐辛子マヨを合わせて辛さは中辛程度。「獄激辛ペヤング」や「激辛ペヤング」で慣れていると、この辛さはやさしい味と感じるかもしれません。

 具には、かにカマ、エビ、イカといったシーフードと、いつものキャベツが入っています。特にかにカマが大量に入っていて具だくさん。見た目にも彩りがあって映えていました。「ペヤング」のかにカマは水を吸って水っぽくなってしまい、他社に比べると正直あまりデキはよくないのですが、たくさん入っているのはそれだけで正義。エビやイカもしっかり入っていて、キャベツ含めてサービス精神旺盛な具だくさんぶりが際立っていました。

 ソースの明太子と醤油、そして唐辛子マヨがそれぞれぶん殴り合いながら共鳴する味付け、そしてシーフード系の具だくさんぶりは、他社の同価格帯商品より明らかに食べ応えがありました。2022年のペヤングは、この商品がいきなり大谷選手ばりの先頭打者ホームランをかっ飛ばしたことから始まりました。2022年ペヤングを代表する大きな存在のひとつではないでしょうか。

 最後にレビューするのは、7月に発売された「ペヤング 九州豚骨やきそば」205円(税別)。豚骨味のカップ焼そばは「ペヤング」からこれまでにも何度か出ていたことがありますが、今回は「九州豚骨」という地域指定で、パッケージにも福岡・中洲の夜景が描かれています。

「ペヤング」の麺といえば、最近では「蕎麦風」とか「焼うどん」の麺もありますが、焼そばに関しては基本的にいつも同じ麺が使われてきました。勝手に「ペヤングやきそば」のアイデンティティであり、この麺にあらずんば「ペヤング」にあらずくらいに思っていたのですが……。

 しかし、この商品ではなんと湯戻し1分の細麺が使われており、アンタッチャブルだった聖域が崩壊。この出来事は「2022年のペヤング3大ニュース」のひとつと判断しました。

 豚骨味のソースに、細めの油揚げ麺と、豚肉チップ、高菜、紅生姜が合わせられています。まったり感の強い濃厚な豚骨味のソースにはラードが大量に加えられており、豚脂が強く感じられます。

 豚骨臭はありませんが、豚骨と豚脂の旨みによって博多屋台の「焼きラーメン」的な雰囲気が出ていました。商品名は「九州豚骨」ですが、どちらかというと「九州焼きラーメン」のほうが近そう。

「ペヤング」の場合、麺をすべて同一規格にすることでコストを削減し、浮いた分を具のボリュームなどの強みに活かすのが強みだと思っていましたが、今回の麺はいつもと違う細い麺。採算度外視の力の入れようなのかもしれません。

 いつもより細いとはいえ、博多麺としては太くて縮れもあるため、それほど豚骨ラーメンらしくはありません。そしていつもより細いため「ペヤング」らしさもなく、どっちつかずな感じがしました。無理して細麺にする必要はなかった気はしますが、いつもの麺を細麺にしたからこそ話題性を生むので、作戦は功を奏していると思います。

 具として入っているのは、豚肉チップ、高菜、ネギ、紅生姜。いつもの「ペヤング」に比べると具のボリュームはありませんが、この3者の組み合わせは博多感がかなり強く、今回の中で最も「九州豚骨」らしい部分でした。