銀行口座の名義人が亡くなると、口座に入っている預金は「遺産」扱いになり、簡単に引き出せなくなります。ルールを知っておかないと、葬儀代を工面したい場合などに困るかもしれません。亡くなった人の口座はいつ凍結され、いつ払い戻しを受けられるのか解説します。

亡くなった人の口座は凍結される

銀行口座が凍結される(お金を引き出せなくなる)のは、名義人が死亡した事実を銀行側が把握したときです。

たとえば、銀行の窓口に行って「ここの口座を持っている父が亡くなったのですが……」と申告すると凍結されます。役所から銀行に死亡の連絡が行くことはありませんが、新聞の訃報欄などに掲載された情報をもとに凍結されることはあります。

名義人が亡くなった場合は銀行に連絡することになっています。連絡しないまま亡くなった人の口座からお金を引き出すと、借金も含めてすべて相続する「単純承認」をしたとみなされ、あとから相続放棄したいと思ってもできなくなる可能性があります。

口座からお金を引き出せるのはいつ?

凍結された口座は原則、遺産分割の協議(誰が何をいくらずつ相続するかを決める遺族間の話し合い)と手続きを済ませたあと出金できるようになります。これには数ヵ月かかることもあり、葬儀やお墓の費用を捻出したい場合には間に合わないことが多いでしょう。 そこで、2019年に新しくできたのが「預貯金の仮払い制度」です。一定の金額までなら相続人単独でお金を引き出せるようになりました。

・引き出せる金額 = 相続開始時の預金額 × 3分の1 × お金を引き出す相続人の法定相続分

法定相続分は、以下のとおり決められています。

故人の銀行口座はいつ引き出せなくなる?