小・中・高校生向けの参考書の出版やオンライン授業配信を行っているNext Educationは、佐賀県唐津市において、世帯収入が低く、食や教育、経験が十分に行き届かない子どもや、保護者の仕事の都合で自宅に一人でいる子どもを支援するため、「子ども食堂」を2023年1月14日(土)にオープンする。

収入や居住地域による教育格差をなくすための第一歩

教育の場は一部オンラインに移行しつつあり、学習希望者は学校の授業のほかに、自分でさまざまなコンテンツを選び組み合わせながら自分自身にあったスタイルで学習を進めることができるようになった。

一方で、家庭の貧困によって、インターネットにアクセスできる環境がないことや、日々の生活で困窮して学習に集中できない、居住地域の人口減少によって子ども向けの学習サービスが不足しているといった環境下に置かれている子どもたちもいる。Next Educationの調べによると、佐賀県唐津市では人口減少のほかにも、約7人に1人の割合で貧困と認定される世帯・家庭が発生しているという。

このような背景を受け、学習のためのコンテンツ提供だけではなく、身体の資本となる「食」や、安心して学習に取り組める「場所」の提供など、貧困世帯の子どもたちを総合的に支援する「子ども食堂」をオープンすることとなった。

同プロジェクトは、唐津市に寄せられたふるさと納税の寄付金の一部や、クラウドファンディングでの資金援助を受けて実施されるものだ。

食・学・経験の側面から総合的に支援

同施設では、「食」「学」「経験」3つの側面から総合的な支援を実施していく。

「食」では、地域の生産者や各事業者からの提供をもとに、成長途上にある子どもの身体にとって資本となる食事の提供を行う。大勢で食事をする楽しい時間や、フードロス問題や食糧生産の難しさやありがたさといった食育、後片付けを通した家庭科教育なども同時に推進していく。

また「学」として、教室約3個分の広さのある古民家をリノベーションし、教育に向き合える環境を提供。同団体がこれまで培ってきた教育ノウハウをもとに、子どもたちの学習意欲を引き出し、わからないことを安心して聞くことができるようにサポートする。

さらに、同施設は、小学校1年生〜中学校3年生のさまざまな年齢の子どもたちが同じ場所ですごすことで生まれる子ども同士の交流のほか、食堂に出入りする大人とも関わりを持つことができるコミュニティとしての役割も兼ねており、「経験」を提供する。さまざまなバックグランドを持つ大人・企業を講師(せんせい)として呼ぶ特別課外授業の実施も予定している。

営業開始時点では「食」の提供のみとなり、「学」と「経験」については、随時展開していく。


施設には、食事やだんらんを楽しむスペース、


広々したテーブルを配置した畳スペースなどが設けられている。


12月17日(土)のプレオープンでは、カレーのほかにサラダやスープなどで栄養バランスの考えられた食事が振る舞われた。

Next Educationは、子ども食堂の運営を通して、収入や居住地域による教育格差を埋め、子どもたちの持つ可能性を最大限に引き出す支援を行っていくという。

■子ども食堂
住所:佐賀県唐津市魚屋町2041-7
営業時間:毎週土曜日16時~19時
対象年齢:小学1年生~中学校3年生

Next Education:https://next-edu21.org/

(山本えり)