さまざまなハラスメントが社会問題として話題になっている今、自分が被害にあった時、だれに相談すればいいのか、どこからがハラスメントと呼ばれるのかがわからず頭を悩ませている方も多いようです。そんなお悩みに弁護士、齋藤健博さんがお答え。今回は、事務員として入社したにも関わらず営業までさせられている人のお話です。
Q. 事務員として入社したはずなのに、営業もさせられています…
事務職で入社したのですが、いつのまにか営業やテレアポもさせられています。
営業事務という職種の方もいるのに(もちろん給与も違います)一般事務の自分に営業まで任せるのはおかしくないでしょうか? 事務は何でも屋さん扱いで、その他にも、おつかいや飲み会のセッティングなども頼まれます。ハラスメントには過剰な要求も含まれるとのことですが、業務範囲外の仕事は過剰な要求に当てはまらないのでしょうか?(ゆり/28歳/事務)
A. 脱法的な配置転換はハラスメントに入ります
ゆりさんは、入社時事務職であった以上、継続して事務職に就くものだと期待していたと思います。もちろん、事務職の範囲はどこまでなのか、切り分けは難しいかもしれませんが、いつのまにか営業やテレアポもさせられているとなると、話が違うと感じてもおかしくありません。ゆりさんの不公平感はおもに、正式に営業事務という職種の方がいるのに、安い賃金で、一般事務のゆりさんにまで違う仕事を押し付けながら、それでも賃金は変わらずだという点にあると思います。そもそも、事務は何でも屋さんではありません。ある意味で、人事異動のルールに従わない脱法的な配置転換だともとることができるでしょう。
おつかいや飲み会のセッティングなどは、評価が分かれるところだと思いますが、個人の人格を軽視しているという意味ではハラスメントに近いでしょう。
ご指摘のように、過剰な要求や強要をする行為は、ハラスメントになるでしょう。あきらめないでください。