◆娘婿殺しの犯人は捕まるのか?
9話で殺された大門の娘婿であり、秘書を務めた大門亨(迫田孝也)の死の真相が追及されるのかも気になるところ。
手詰まりだった拓朗だったが、元上司の村井喬一(岡部たかし)に紹介された亨から、大門が派閥議員によるレイプ事件をもみ消した過去を聞かされる。そして、松本冤罪の真実を報じる芽を度々摘んできた大門に矛先を向けることを画策する拓朗。亨と協力して、この事実を告白して大門を追及しようとするが、その直前に亨が殺されてしまい、またしても松本を救うための道が閉ざされてしまった。
亨には死亡フラグがビシビシ立っており、多くの視聴者も彼が殺されることへの心の準備はできていた。しかし、チャイムが鳴って玄関のドアを開けた瞬間、外に引きずり出されて、すぐに葬式のシーンに切り替わった展開の早さは衝撃的。血が飛び散るような猟奇的な殺人シーンとは違う、これまでに感じたことのない恐怖を覚えた。
告発を恐れた大門によって殺されたことは明白であるが、亨の死もなし崩しに過去のこととして葬られてしまうのだろうか。亨は9話のみの登場であり、最終回でしっかり描かれる可能性は低い。それでも正義の心を持った勇気ある人間の死の真相はもちろん、もみ消しの事実も白日の下にさらされてほしい。
◆バッドエンドこそリアル?
「最終回は15分拡大スペシャル!」というわけではなく、放送時間は通常通りの約50分だ。これらの問題が全てスッキリ解決することは考えにくい。9話ラストで暴れ狂う村井を見て目を覚ました恵那が、拓朗と再び手を組んだところで終了、という状況は何も変わらない現状維持で終わることも予想される。
とはいえ、タイトルの後に「このドラマは実在の複数の事件から着想を得たフィクションです」と表示される通り、本作はリアルを追求した作品。仮に消化不良で中途半端な終わり方だったとしても、それは「胸糞な展開は現実でも起きている」ということを示し、松本のように苦しんでいる人が少なくないことに目を向けるキッカケになるだろう。
ハッピーエンドを期待したいが、中途半端な終わり方で、モヤモヤ感を残して終わるのもまた『エルピス』らしくもある。
<文/望月悠木>
【望月悠木】
フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki