年末の音楽特番といえば、特に出演者の顔ぶれが似通ってしまう傾向にある。その中で『FNS歌謡祭』の独自路線が際立ち始めたといえるだろう。一方、ますます存在感が霞んできたのが大みそかに控える『NHK紅白歌合戦』だ。

「若者向けにシフトしていると指摘されている『紅白』だが、その結果、今年も『FNS』とは20組近く出演者が被ってしまった。しかもそのうち、Adoについてはフジが映画の製作委員会に入っている関係もあって『FNS』では3曲をメドレー披露するなど尺を割いているし、ヒゲダンも『FNS』第一夜で『silent』主題歌をフル尺で披露、第二夜では人気アニメ『SPYxFAMILY』主題歌も披露する予定と、“若者向け”の目玉を先にガッツリやられてしまっている。『紅白』も藤井風やVaundy、松任谷由実、加山雄三らの出演を決め、『THE FIRST TAKE』で話題になったmilet×Aimer×幾田りらのコラボ曲を、プロデュースしたVaundyを交えてテレビ初披露させるといった独自企画にも奮闘しているが……。演歌勢を減らしたことで“紅白ならでは”の個性が薄れつつあるのは確か。若者向けにシフトすれば『FNS』らと競合するだけに、『紅白』の個性がどこにあるのか、改めて考え直す時期に来ているのでは」(芸能記者)

 その中で、NHKが実現させれば最大の強みとなるだろうラインナップがある。

「元ジャニーズですよ。今年はJO1にBE:FIRSTが『紅白』初出場を決め、ジャニーズを含めたボーイズグループが8組になったが、“非ジャニーズ”のグループが出演できる音楽番組が増えてきたのに対し、元ジャニーズは依然として厳しい。毎年のように新しい地図の3人の出場が取り沙汰されるが、ジャニーズ退所組を真っ先に出演させられるのはやはりNHKくらいしかない。NHKに冠番組を持つ新しい地図や、主演ドラマをやった山下智久らが『紅白』に出場すればこれ以上ないインパクトになるし、NHKが率先してやったとして、民放はそう簡単に追随できないでしょう」(同)

 23日に放送される『ミュージックステーション ウルトラSUPER LIVE 2022』にはジャニーズ勢が14組も出演予定で、「もはやカウコン(ジャニーズ恒例のカウントダウンコンサート)」とも揶揄されている。ジャニーズ帝国の崩壊がささやかれるなか、NHKが公共放送として腹を決めれば、『紅白』の存在感もまた強まるかもしれない?