毎週時差ボケが起きる深夜ラジオを卒業
ラジオを卒業する理由は、端的(たんてき)に言うと体力面、週イチ、夜中1時から3時までラジオをやることと俳優の仕事の両立が難しいのだとか。
“毎週時差ボケが起こっている感じ”(2021/12/22(水)のニッポン放送ニュースオンラインより)だそうで、週に1回深夜にラジオをやるにあたって体内時間を深夜モードにするとそのあと通常に戻すまでに時間を要するからということだった。
(画像:『菅田将暉のオールナイトニッポン』ニッポン放送公式サイトより)
まさか、最近の目ヂカラ抑えめな演技は単純に時差ボケだったのか? いやいや……。時差ボケは心身ともに負担が大きく、ほかの仕事や生活に支障をきたすとはなんとなく理解できるような気がする。ただ、それを人気俳優・菅田将暉がはっきり表明したことはなかなかすごいことではないだろうか。
御大・北野武が後期高齢者になってそろそろ夜のニュース番組は「体力がなくなって夜が遅いと眠くなっちゃう」と言うのは多少冗談かもしれないが、それと映画監督など創作の仕事をしたいからというような理由で『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS)を卒業することにはナットクもする。でも菅田将暉は29歳の働き盛りではないか。
しかも菅田将暉は昨年、小松菜奈と結婚した。結婚後、仕事を休むとすればこれまで女性のほうだった。
菅田将暉は演技の面でもライフスタイルでも時代に寄り添っている
一般的には結婚退職や出産による退職もしくは休職は女性がするものと考えられていた。芸能界でも結婚や出産を機会に仕事を辞めたり控えめにしたりするのは女性のほうだった。
菅田将暉が結婚で休暇をとると明言したわけではないが、結婚後の今、休みをとっていると聞けば、仕事の充電とともに、きっとプライベートを大切にするのだろうなあと想像しても大きな勘違いではないだろう。
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もしそうだとしたらなんて稀有(けう)なのか。だが、そういう考え方が旧時代的で、年齢も性別も関係なく、ひとりひとりの個性や資質、環境、考え方に合わせていい時代になってきた。
男性が育児休暇をとることも増えている。街を歩いていても、ベビーカーを押した男性がひとりで歩いていたり、電車に乗ってくる姿をよく見るようになった。数年前はそんな光景を見たことがなく、たいてい女性とベビーカーかご夫婦とベビーカーだった。
菅田将暉が売れている最中にもかかわらず休むのは自由だし、結婚とほぼ時を同じくして休むのも大いに自由である。菅田将暉は演技の面でも時代の寵児(ちょうじ)的であるが、ライフスタイルも時代に寄り添っているように感じる。