季節の移ろいや歳時期を、美しい色彩や形で映し出す京都の和菓子。この世界にいま、新しい風が吹いています。伝統的な製法を受け継ぎながらも、クリエイティブな発想でユニークなビジュアルや味わいのお菓子がぞくぞく誕生しているのです。お酒に合う味わいもあれば、食べることで新しい感性が刺激されるものも。「ネオ和菓子」ともいえる、進化系を手がける6店をご紹介します。
1 御室和菓子いと達(おむろわがし いとたつ)
かわいい和菓子で楽しむ、王朝文化の色彩美
世界遺産・仁和寺の近く。京菓子の老舗出身の店主が、閑静な住宅地に開いたお店です。季節の移ろいを写した上生菓子、「飲めるほどに柔らかいわらび餅」など人気商品が並ぶ中でも、ひときわ目を引くのは、平安装束の配色から着想したというカラフルな「包み餅」。淡い2色を重ねた生地は、店主の故郷・名古屋のういろうを思わせるもちもち感が絶品。中のこしあん、白味噌きな粉とも相性抜群です。隣にちょこんと座るクマのもなかは、すり蜜という伝統技法でアイシングクッキーのようにデコレーション。黒糖や一休寺納豆でアクセントをきかせた餡も特徴です。新年限定の干支、ハロウィンバージョンなどがあるのも楽しく、子どもたちが和菓子に親しむきっかけにもなりそうです。
御室和菓子いと達(おむろわがし いとたつ)
京都府京都市右京区龍安寺塔ノ下町5-17
京福電鉄北野線 妙心寺駅より徒歩約4分
10:00~17:00
定休日:水・日曜
075-203-6243
Ⓟ:なし
2 果朋-KAHOU-(かほう)
エコな瓶詰めもおしゃれ。和パフェをおもたせで
日本のお菓子の起源とも言われる、甘くみずみずしい果物。これを和菓子づくりに取り入れ、風味豊かで季節感あふれる華やかなビジュアルのお菓子を手がける「果朋」。たとえば寒天を使った夏菓子「水鞠(みずまり)」はたっぷりのライチの果汁に、バラやシャンパンで香りをつけて。餡そのものを味わう「あん玉」は、白あんにクランベリーやマスカルポーネを合わせてみたり。一番人気は、瓶詰めの和パフェこと「果ルフェ」。季節のフルーツとようかん、パンナコッタの3層からなり、定番の温州みかんや抹茶の他、秋はピスタチオ×白玉のあんみつ風、シャインマスカット×いちご×フランボワーズようかんもお目見え。果実の甘みや酸味が主役で、砂糖控えめなので、昔ながらの甘い和菓子が苦手な人にもおすすめです。
果朋-KAHOU-(かほう)
京都府京都市中京区西ノ京職司町67-99
JR・京都市営地下鉄東西線 二条駅から徒歩約5分
10:00~18:00
定休日:火曜
075-821-0155
Ⓟ:なし
3 菓子屋のな
作り手の感性が光る、物語のあるお菓子たち
老舗菓子店で腕を磨き、料理人の夫と店を開いた女性店主の店。手がけるのは、季節の移ろいや何気ない瞬間の世界の美しさを、旬のフルーツのとろりとした果肉やしたたる果汁、ハーブやリキュールの香りをまとわせて描き出す、五感に響く和菓子たち。それぞれに「朝涼」「草迷宮」「しんしんしん」など、古今東西の文学や絵画、音楽などから着想した、物語を感じる菓銘がつけられています。代表作「アントニオとララ」は、森鴎外が翻訳したアンデルセンの小説『即興詩人』がモチーフ。詩人アントニオの激動の人生を濃厚な焦がしキャラメルあんで、盲目の少女ララの秘められた情熱を甘酸っぱいトロピカルあんで。添えられたハーブの清涼感、花びらの甘い香やシルキーな食感が重なることで、物語の情景がより鮮やかに立ち上がってきます。
菓子屋のな
京都府京都市下京区醒ヶ井通万寿寺角篠屋町75
京都市営地下鉄烏丸線 五条駅から徒歩約9分
京都市バス「堀川松原」または「堀川五条」下車徒歩約3分
12:00~18:00(売り切れ次第閉店)
定休日:日・月曜
Ⓟ:なし
4 ぎおんおはぎ小多福
受け継いだバトンに、軽やかな風味を乗せて
祇園「小多福」といえば、地元の甘いもの好きに愛されてきた、ひと口サイズのカラフルなおはぎ屋さん。女将さんが高齢のために2021年に閉店しましたが、翌年、なじみの豆腐屋の娘さんがその味と思いを受け継いで再オープン。女将さん直伝の粒あん、青のりなどの定番をはじめ、「自分らしいスタイルでおばあちゃまらしい遊び心も伝えていきたい」と、ハーブやスパイス、白味噌などを取り合わせた変わり種も展開しています。塩味をきかせた古代米、ほうじ茶ラテ、ピスタチオに、爽やかな辛みが心地よい「ココナッツとピンクペッパー」など、どれも女将さんのレシピでふっくらツヤツヤに炊き上げたもち米や餡と好相性。小ぶりなサイズも愛らしく、旅の途中のおやつ休憩にもぴったりです。
ぎおんおはぎ 小多福
京都府京都市東山区下弁天町51-4
京阪本線 祇園四条駅から徒歩約12分
京都市バス「東山安井」下車徒歩約1分
11:00~17:00
定休日:月・火曜、不定休あり
090-7908-5111
Ⓟ:なし
5 種嘉商店(たねかしょうてん)
ナッツのコクが決め手。パリっと香ばしい進化系もなか
和菓子の世界で、もなかの「種(たね)」といったら皮のこと。それも、専門の職人が焼き上げ、各菓子店に納めていることをご存知でしょうか? 種嘉商店は、そんなもなか種の専門店で創業70余年。上質なもち米のみを使い、丁寧に手焼きする味わいが評判です。「素朴なおいしさを知ってほしい」と、工房併設の店舗でオリジナルもなかを販売しています。「種実(たねみ)」は、さまざまなナッツを練り込んで焼き上げた種が特徴で、ほろ苦くキャラメリゼした「胡桃(くるみ)」入り、自家製の有機ナッツバターのコクと塩味があんを引き立てる「落花生(ぴーなっつ)」「扁桃(あーもんど)」の3種を展開。注文後に餡を詰めてくれるので、パリッとした種の歯ごたえ、口いっぱいに広がる香ばしい風味を楽しめます。
種嘉商店(たねかしょうてん)
京都府京都市中京区車屋町通二条下ル仁王門突抜町317
京都市営地下鉄東西線 烏丸御池駅から徒歩約3分
11:00~17:00
定休日:木・金・土曜
075-201-3016
Ⓟ:なし
6 UCHU wagashi寺町本店
お皿の上で絵を描ける、ポップでアートな干菓子たち
「今を生きる人々がワクワクする和菓子をつくりたい。それが100年先に新しい文化になる」。そんな思いから、2010年にグラフィックデザイナーのオーナーが立ち上げた「UCHU wagashi」。宝石のようにカラフルなフルーツようかんなど、ユニークな商品を手がける中でも、看板商品は伝統的な砂糖菓子の「落雁(らくがん)」。茶席やお供えもので長く親しまれてきたものを、ポップで遊び心いっぱいに展開しています。小さなピースを組み合わせて好きな形や作れるもの、ジューシーな果汁ゼリー入り、夏は絵本の『スイミー』、秋はリスやどんぐりをモチーフにしたかわいい詰め合わせも登場。丁寧な手作りもこだわりで、上質な和三盆糖の深みのある甘み、さらりとした上品な口どけにも癒されます。
UCHU wagashi寺町本店
京都府京都市上京区寺町通丸太町上ル信富町307
京阪鴨東線 神宮丸太町駅から徒歩約7分
京都市バス「河原町丸太町」下車徒歩約2分
10:00~17:00
定休日:火・水曜
075-754-8538
Ⓟ:なし
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記事公開:2022/11/21
提供・星野リゾート みちくさガイド
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