◆大人だからこそ、新しいものを受け入れるためにはパワーをより必要とする

同性婚の法律賛成のデモに参加するような先進的な娘も、なかなかその結婚を認められないのは、ホモフォビア的な嫌悪感だけでなく、これまでの親子関係のひずみが鍵となってくる。

大人なのに、いや大人だからこそ、新しいものを受け入れるためにはパワーをより必要とするみたい。一方でペターニャ家の幼い末弟はサラッと2人の関係を受け入れ、いいと思うよと応援している。新しい世代はとっくにアップデートされているのだ。

映画『泣いたり笑ったり』
『泣いたり笑ったり』より
それにしても皆に真摯に向き合い骨抜きにするカルロの魅力ったら。トニがカルロをとろけそうな顔で見つめていて、この人もまたカルロに出会えたことで救われたひとりなのだろうなと感じた。

エンドロールの映像があまりに多幸感に溢れていてにっこりしてしまった。イタリアはガエータの美しい風景にもうっとり。

『泣いたり笑ったり』

監督/シモーネ・ゴーダノ 原案・脚本/ジュリア・シュタイガーヴァルト 出演/アレッサンドロ・ガスマン、ジャスミン・トリンカ 配給/ミモザフィルムズ ©2019 Warner Bros. Entertainment Italia S.r.l.-Picomedia S.r.l.-Groenlandia S.r.l.

<文/宇垣美里>

【宇垣美里】

’91年、兵庫県生まれ。同志社大学を卒業後、’14年にTBSに入社しアナウンサーとして活躍。’19年3月に退社した後はオスカープロモーションに所属し、テレビやCM出演のほか、執筆業も行うなど幅広く活躍している。