専業主婦の中には、夫の収入で生活費をやりくりし、倹約して余ったお金をこっそり貯めて「へそくり」に回している人もいます。

しかし、そのへそくりは原則夫のものとなっています。そのほかにも、専業主婦であることが理由で制限されたり、不利になったりすることは意外と多いものです。

今回は、専業主婦のお金にまつわる注意点を3つ紹介します。

専業主婦の「へそくり」は原則として夫のもの

専業主婦がコツコツ貯めたへそくりは、原則として夫のものです。へそくりは夫が働いて稼いだ収入が原資であるため、税務上は夫の財産とみなされます。

たとえ妻名義の銀行口座に預け入れたとしても、名義だけで妻のものにはなりません。収入がない専業主婦に対しては、「夫の収入を妻の口座で保管していただけ」と判断されてしまいます。妻のへそくりは夫婦の共有財産であることから、名義が妻であっても税務上は夫の財産だと考えられます。

へそくりを貯められたのは、専業主婦である妻がしっかりと家計を管理し、収入の範囲でやりくりした努力によるものでしょう。そのため、妻は「私が家計を管理し、倹約して貯めたから私のもの」と主張するかもしれません。

しかし、専業主婦の妻が夫の財産を管理・運用するのはよくあるケースです。夫の財産の管理・運用を行っていたとしても、税務上は「へそくりは妻の財産」と判断する要素にはなりません。

中には、「生活費に使って余ったお金はあげると夫から言われた」と主張する人もいるでしょう。しかし、夫から渡された生活費は、税務上は夫婦の共有財産とみなされます。このような言葉だけでただちに贈与契約が成立したと判断するのは難しいため、「へそくりは妻の財産になった」とはいえないでしょう。

専業主婦は家族に内緒でお金を借りることは難しい

お金を借りたいけど「家族に心配をかけたくない」という思いから、カードローンの利用を家族に内緒でしたいという人もいるのではないでしょうか。

しかし、専業主婦にお金を貸す金融会社は限られています。金融会社としてもお金を貸すからには必ず返してほしいので、「安定した収入があること」を審査対象とするためです。夫の収入を審査対象にする金融会社もありますが、夫の稼ぎから返済をしていたら夫に発覚しやすいでしょう。

貸金業法では、「本人と配偶者の合算年収の3分の1」まで借り入れが認められる「配偶者貸付」という契約もあります。しかし専業主婦がこの制度を利用してお金を借りるには、本人確認書類だけでなく配偶者の同意書や収入証明書類が必要です。そのため、家族に内緒で借り入れするのは難しいでしょう。