秋といえば、食欲、芸術、運動、さまざまな秋がありますよね。「その中で、読書の秋ってあるじゃないですか。私は読書の秋が大嫌いなんですよ」
苦笑いしながら話し出したのは、既婚者で会社員の波留さん(仮名・27歳)。なぜ、読書の秋がそんなに嫌いなのでしょうか。
「昨年の秋、夫の孝弘(仮名・30歳)が、“図書館不倫”をしたからなんです」
“図書館不倫”とは聞きなれない言葉です。まず、二人の背景から波留さんは話してくれました。
◆地域のアウトドアサークルで知り合った夫
「孝弘とは、もともとアウトドアの地域のサークルで知り合ったんです。孝弘はアウトドアならなんでもする! というぐらい、外で遊ぶことが好きで。私も、そんな孝弘のアクティブさに惹かれて交際がスタート、一昨年に結婚しました」
だからといってお互い読書が嫌い、というわけではなかったものの、孝弘さんはどちらかというと読書が苦手なタイプだったそうです。
「それが、昨年の秋に『やっぱり秋は読書の秋だよな!!』って突然言い出して。家からちょっと離れたところに大きな図書館があるんですが、休みの日には、必ず図書館に行くようになったんです」
◆図書館へ一緒に行くのを嫌がる
今までなら、休みの日は夫婦でアウトドアを楽しんでいた二人。突然の夫の変わりように、波留さんはびっくりしたといいます。
「読書をすること自体は何も悪いことではないので、止めることはできなかったんですが……だからといって、今までの二人の趣味もしなくなるなんて、おろそかにされているようで寂しかったですね」
そこで、波留さんは自分も一緒に図書館に行きたいと孝弘さんに希望しました。ところが。
「ものすごい形相で、『それだけは絶対に無理! いくら夫婦でも、別々の時間を大切にしないと』って言われてしまったんです。悲しくなりました」
◆夫のあとをつけることに
そして、孝弘さんの宣言どおり、九月、十月と、秋のあいだずっと孝弘さんの一人での図書館通いは続きました。
「これはいくらなんでも、おかしいなと思って……だって、孝弘は図書館が終わっているはずの時間からさらに遅く帰ってくるうえに、肝心の本は借りてこないんですよ。何かある、って思いましたね」
そこで、自家用車でこっそり孝弘さんのあとをつけることにした波留さん。孝弘さんは、普通に図書館に入っていったそうです。
「あっ、ちゃんと図書館を利用してるんだ、って安心しました。そのことが確認できたから、もう帰ろうとしたんです」
ところが、その直後に波留さんが目にしたのは、信じがたい光景でした。
◆見知らぬ女性と腕を組んで出てきた
「孝弘が、見知らぬ女性とものすごく親し気に歩いてきて……腕を組む勢いでした。二人はタクシーを使ってどこかに行ってしまったので、私はそのまま、車で二人を追いかけました」
すると、着いたのはいわゆるラブホテル街。
「そう、孝弘は不倫していたんです。車を降り、二人を問い詰めると、最初は二人とも言い訳していましたが、場所が場所ですからね(苦笑)。すぐにどういうことなのか、説明しだしました」
◆図書館で話しかけられ不倫が始まった
なんでも、最初は孝弘さんは本当に読書がしたくて図書館に行ったものの、今まで読書をした経験があまりないため、何を読めばいいのかわからなかったのだそうです。
「この本、好きなんですか?」
そこで、孝弘さんが適当に本を選んで読んでいると、不倫相手の女性(当時/自称23歳)が声をかけてきたのだとか。
「不倫相手の女性は、私たちよりも若いし、美人でした。これなら確かに声をかけられたら、孝弘なら不倫してしまうだろうな、と納得……しちゃ駄目なんですが、納得しそうになりましたね」
それから二人は急速に親しくなり、毎回図書館で待ち合わせて、ホテルに行くようになったとのことでした。
◆もう二度と会わないと約束させる
「不倫相手の女性は、もう土下座するばかりの勢いで謝ってくるし、孝弘はずっと無言で……。これで私だけ騒いでもむなしいだけだな、と思ったので、もう二度と会わない約束をさせました。どんなやり方で連絡をとってしまうかわからないから、罰としてお互いのスマホはその場で初期化させましたけどね(笑)」
もう二度と不倫しないならそれでいいから、と、二人を許したという波留さん。あまりにもやさしい、もっと言ってしまえば甘いような気がしますが……。
◆夫の不倫を許したわけ
「実はそのとき、私にもいい感じの人がいたんです。孝弘が冷たいので、SNSで知り合った年下の男性と直接会うこともあったんですよね。だからまぁ、お互い様っていうことで、許してあげることにしたんです」
なんと、波留さんのほうも後ろめたい理由があったというのです。
◆夫婦仲は元通り
「でも、孝弘の不倫が発覚してから、孝弘は私にものすごく気を遣うようになりました。私もSNSで知り合った男性とは全員縁を切り、夫婦仲も、今では元どおりですね」
もう二度と、“図書館不倫の秋”にはさせません、と笑う波留さん。
なんだかんだで夫婦仲が元どおりになったのは何よりですが、図書館が不倫の出会いの場になるとは、なんとも驚きの話ですね。
―シリーズ「秋のトホホ」―
<文/女子SPA!編集部>
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