◆涙ながらに打ち明けてくれた智子さん

 すると、智子さんはご両親との関係、過去の恋愛のことでトラウマを抱えていると涙ながらに話し始めました。すると、少し落ち着いたところで、急に彼女は「私の部屋汚いですよね」と言い出し、床に散らかっていた紙やペンを拾い始めたのです。

 おそらく少し頭や心の中がすっきりしたことで、自分の周りにも意識が向けられるようになったのだと思います。

「やる気スイッチがずっと入らなくて。でも、今ふと汚いから掃除したいと思ってしまいました」といい、智子さんは少しずつ部屋を片付けながら面談を続けていました。

 次回の面談時、智子さんの部屋は見違えるようにきれいになっていました。彼女自身の雰囲気もなんだか明るくポジティブになっていたので、これなら次のステップに進めそうだと安心しました。

◆優先順位を明確にする

 智子さんは恋愛経験が少なかったので、どういう男性がいいのか、どういう結婚生活を送りたいのかが明確ではありませんでした。とりあえずマッチングアプリでマッチした人と会い続ける婚活を続けていたそうです。そのせいか、会ってもしっくり来ない人が多く、お付き合いまで発展することがありませんでした。

 会う人数が多くても成果がでない人の共通点は、自分が何を求めているかはっきりしていないことにあります。何を譲れなくて、優先順位は何かを明確にすることで、自分と合う確率が高い人と出会えるようになります。

優先順位を明確にする
宿題に出したシートをびっしり書き込んできてくれた智子さん
 そこで、私は智子さんに自分と向き合うための宿題を出しました。そして彼女はその宿題にとても時間をかけてくれました。宿題を出しても、面談の直前にやってくる相談者さんが多いのですが、彼女は違いました。今までの面談で私がアドバイスしたことや、その時に感じたことを丁寧に書き込み、そこから考え出した彼女の出会いたい理想像をクリアにしていました。