2000年代初期、ギャルたちが集まって作られたサークル「ギャルサー」がブームとなりました。楽しい青春時代の記憶を懐かしいと感じる人もいる一方で、ギャルだった過去が思わぬトラブルに発展してしまったという人もいるんですよ。

 今回は青春を夫にけなされ、離婚まで頭をよぎったというエピソードを紹介します。

◆ギャルサーのリーダーだった過去

ギャルサーのリーダーだった過去
写真はイメージです。(以下同じ)
「高校生の頃、いわゆるギャルサーのリーダーやってたんです。っていっても私たちのはそんなに規模は大きくなくて和サー…あ、おしゃべりとか食事会メインの和み系サークルってことです」

 現在都内で美容部員として働いているという、笹倉里穂さん(仮名・36歳)。ちょうど大学生の頃、女子たちの間で流行った「ギャルサー」のリーダーを務めていたといいます。

「ギャルサーっていくつか種類があって、厳しかったり派手だったりするのは踊り系。かなり人数も多くて、私のサークルでも掛け持ちしてる子が何人かいました。イベント企画する系のサークルもあって、そっちは男の子もいたかなぁ…男女関係のいざこざとかあってかなり泥沼らしいですよ。まぁ、私のサークルはそんなのちっともなかったんですけどね」

 里穂さんのサークルは、友人の家に集まったり週末に飲みに出かけたりする程度。気心知れた女友達のグループなだけだったといいます。

◆リーダーといっても飲み会の幹事程度

リーダーといっても飲み会の幹事程度
「規模は大きくないとはいえ、やっぱりギャルなので…今プリクラみるとびっくりするぐらい化粧は派手ですね! スカートもめちゃくちゃ短いし、髪の毛はスプレーですごい盛ってるし…目の周りとかアイラインで囲んで真っ黒ですから! それでもみんな遊び人なわけじゃなくて、本当に、ただ真面目にご飯食べて楽しんでるだけのサークルでした。

 それにギャルサーのリーダーっていっても大したことはしていませんでした。飲み会の幹事やったり、誕生日会や旅行を計画したり…。そんな程度、ただのまとめ役ですね」

 楽しそうに思い出を語ってくれる里穂さんですが、大人になってから「ギャルサーのリーダーだった」という過去が思わぬトラブルに発展してしまいます。

◆「尻軽女」夫の言葉に耳を疑う

「夫と会ったのは27歳の頃だったかな。その頃通っていた英会話教室で一緒だった人で、付き合って2年くらいで結婚したんです。とても真面目な人で顔もかっこよかったし、何より人として尊敬できるなっていう部分がたくさんあったのが結婚の決め手です。でもさすがに…あの発言を聞いたときは、彼のことが理解できなくて、離婚がよぎりましたね」

「尻軽女」夫の言葉に耳を疑う
 それは里穂さんがご主人と一緒にご実家に帰り、自室で昔のアルバムなどを見ていたときでした。里穂さんは何も気にすることなく「私ギャルだったんだよ」と、20歳ごろのプリクラをご主人に見せました。

「プリクラを見せながら、ギャルサーのリーダーもやってたんだよって言いました。そしたら夫に突然『へぇ、尻軽女だったんだね』って言われたんです」

◆偏見まみれの発言にア然

 びっくりした里穂さんは、ご主人に聞き返しました。

「どういうこと?って聞いたら、夫は『ギャルっていろんな男とヤッてるんでしょ? 浮気とかもしまくってるんだよね、里穂ってそういう女だったんだ。軽蔑するわ』って言い出したんです。びっくりして、思わず『はぁ?』って言ってしまいました」

 ご主人の偏見まみれな発言に開いた口がふさがらなかったと、里穂さんは当時を思い出しながら話してくれました。

◆夫はギャルの彼女に浮気された過去があった

 夫は当時付き合っていたギャルの彼女に浮気されて別れたという経験があったようで、ギャルやギャルサーに大きな嫌悪感を抱いていました。だからといって、許せる発言ではありません。

夫はギャルの彼女に浮気された過去があった
「人を見た目で判断して、挙句の果てにギャルのことなんて何も知らないのにひとくくりにして勝手に尻軽認定…。そんな夫の言動がとにかく許せませんでした。だから『そういうあなたのことを軽蔑するわ』って言い返してやったんです。その日は喧嘩したまま自宅に帰り、数日ギクシャクした関係が続いていましたね」

 しかもご主人、里穂さんに対して「経験人数は? どうせ三桁でしょ?」「ビッチの作ったご飯かぁ~」「性病とかかかってない?」なんて言い出したんだとか。ひどすぎる発言の数々に里穂さんは怒り心頭。

◆とにかく許せない!実家へ帰ると…

「人に対して平気でそんなことを言える主人がとにかく嫌で、1週間後黙って実家に帰りました。それでやっと自分の発言の愚かさに気づいたみたいで、さんざん泣きながら謝ってきましたね」

 泣きながら謝ってきたご主人に対して、里穂さんは「あの発言、一生忘れないから」と宣言。現在も結婚生活は続いているものの、里穂さんは「次はない」と離婚届を常に持ち歩いているといいます。

―シリーズ「ヤンキー・ギャル・コギャル」―

<文/横山すじこ イラスト/やましたともこ>