井浦新さんと柴田恭兵さんのW主演によるサスペンス『連続ドラマW 両刃の斧』が放送・配信中の風吹ジュンさんにインタビュー。共演のみなさんの印象や、本作への臨み方を伺った前編に続き、後編では風吹さんご自身の生き方に迫ります。

風吹ジュンインタビュー2
風吹ジュンさん
「生きていくうえで、鈍感力は使ってもいいけど、自分が鈍感ではいけない」「生涯サバイバル。誰かのためでなく自分のために戦う」など、響くメッセージばかりです。

◆女性たちへ。「もっと自由でいいんだよ」

――ますます輝いている風吹さんですが、ご自身の30~40代を振り返ると、20代までとどんな変化がありましたか? 現在の30~40代にメッセージがあれば。

女性たちへ。「もっと自由でいいんだよ」
『連続ドラマW 両刃の斧』より
風吹ジュンさん(以下、風吹)「当時は、“三十路”と口にしただけで、『老けたんだな』みたいなところがありましたよね。『女としても終わるのかも』なんて。でもそんなことないんです。この歳になってみて、そんな考えは本当にもったいないと思っています。今の時代の女性を見ても、まだそういった年齢に縛られているところがありますよね。『自分を追い詰めないで。潜らないで。社会に合わせないで。もっと自由でいいんだよ』と言ってあげたいです」

――今の女性も縛られているように映りますか?

風吹「やっぱりどこかに強迫観念があるのかなと。年を取ることへの。37歳からアラフォーとか言うんですか? うちの娘が、『アラフォーだ、アラフォーだ』って言うんですよ。何を言ってるんだろうと。その年代で、年のことなんか考えているのはもったいないですよ、と今の私は思います」

◆社会の価値観から解放された50代

――風吹さんは、年下世代からも「可愛い」「チャーミング」と言われることも多いと思うのですが、もちろん誉め言葉なんですけど、正直、嫌だなと感じた時期はありますか?

社会の価値観から解放された50代
『連続ドラマW 両刃の斧』より
風吹「可愛いと言われるのが嫌というより、可愛いで“括られる”のは嫌だなというのはありましたね。誉め言葉ですし、私もつい人に可愛いって言っちゃうんですけどね。本当に思ってのことですし」

――フラットに受け入れられるようになったと感じた瞬間はありましたか?

風吹「瞬間はないですけど、自分がいろんなことから解放されてきた50代から、自由になれたかなとは思います。社会の価値観から解放されるみたいな時があるんです。そうすると、いろんなものを柔らかく、フラットに受け止められるようになっていく。若いころは自分を守るためにも尖っていましたしね。『この人は、本当にそう思ってるのかな』と疑ったり。警戒心があったんでしょうね」

◆鈍感力は使っていいけど、自分が鈍感ではいけない

――風吹さんの実感としては、後輩たちに、「50代からはもっと素敵よ」と言いたいですか?

鈍感力は使っていいけど、自分が鈍感ではいけない
『連続ドラマW 両刃の斧』より
風吹「女性は特にそうだと思います。女性は、身体的にも精神的にも、いろんな面で“女性”という荷物を背負っていると思うんです。30代、40代は、女として、母として、年老いた親の娘として、仕事でも先輩になっていろんな責任を背負う。

 いろんなことに疲れてくるのが40代後半(苦笑)。特に仕事では、会社や周囲の懐に入ったものを組み立てていく必要もある。でもそこから解放されたときには、“自分が”何を組み立てるかが大事になってくる。セカンドステージってすごく大事なのに、そこで何もないことにハッとする人もいるんです」

――セカンドステージを楽しくするのも、憂鬱にするのも、そこまでの自分次第。

風吹「そう。でも苦労や痛みを知らないとセカンドステージは明るくないですから。生きていくうえで、鈍感力は使ってもいいけど、自分が鈍感ではいけないと思います」

◆脳も、体も、筋肉が大切

――風吹さんが、現在の生活で「ここは律している」ということを教えてください。体のケアですとか。

脳も、体も、筋肉が大切
風吹「ケアというと、筋肉を大事にということだけですね。何が頼りって筋肉です。脳も筋肉だし、もちろん体も筋肉。どんなことにも対応できるように、自分を鍛えておくのは大切だと思います。だってそれこそ、今世界的にも何が起きるかわからない時代ですから。生涯サバイバルです」

――生涯サバイバル、かっこいいです。風吹さんは戦うタイプなんですね。

風吹「誰かのためにじゃなくて、自分のためにね」

――色々お話いただき、ありがとうございました。最後に改めて、風吹さんご出演の『連続ドラマW 両刃の斧』をこれからご覧になられる方に向けてひと言お願いします。

風吹「切ない物語ですけど、でもサスペンスです。種も仕掛けもありますので、十分想像して楽しんでください」

<撮影・文/望月ふみ>

【望月ふみ】

70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi