今秋は台風が日本列島を通過し、予定していた旅行ができなかった……という人も多いのではないでしょうか。日本の9月は台風シーズンといわれていますが、雨季を迎えるのは東南アジアも同じです。
タイは6〜10月頃が雨季で、1年間でもっとも雨が降るといわれています。そんな時期にタイに旅行し、トホホな目に遭ったという山川優香さん(仮名・30歳)に話を聞いてみました。
◆雨季のタイへ旅行を敢行
「コロナ前のシルバーウィークに、タイに旅行しました。その時期のタイは雨季真っ最中で、現地に住んでいる友達にも『雨だし来ても面白くないかもよ』と言われていました。でも、休みはその日しかなかったし雨でも楽しめるでしょ……と思ったんですよね。でも、その甘い考えが散々なタイ旅行の始まりでした……」
ガイドブックで「タイの雨季は、夕方だけスコールが降ってすぐにやむ」と書いてあるのを読んだ優香さん。夕方だけ外出しなければいいかな、と軽い気持ちでタイに向かったといいます。
◆到着時から不穏な予感…雨のせいで渋滞に巻き込まれる
「まず、驚いたのは町中の渋滞でした。空港に到着したのは夕方の18時頃だったのですが、見事に帰宅ラッシュの時間と重なっていたんです。現地の友達には空港からはエアポートリンクという高速鉄道で市内まで20分ほどで行けると教えてもらっていたのですが、荷物が多かったのでタクシーに乗ってしまったんですよね。
しかも雨が降るとさらに渋滞がひどくなるらしく、通常なら40分ほどで着くはずの道が2時間もかかってしまったんです。ホテルに着いて落ち着いた頃には、すでに夜の10時を回っていましたね……」
雨もやんでおらず、夕飯に出かけるにもまた渋滞にハマったら……と、思うと出かける気になれなかったという優香さん。結局、ホテルの近くでマッサージをしてコンビニでご飯とお酒を買ったといいます。しかし、雨季のタイ旅行はさらにトホホ……な方向に進みます。
◆冠水で水道水が茶色に…水を買ってシャワー
「旅行中、昼間はくもりだったので観光は多少できたのですが、夜が大変でした。大雨で道が冠水してしまったんです。タイ在住の友達に『冠水しているのは汚水だから足とか怪我してたら破傷風になるよ!』と言われました。
しかも、冠水すると水道の水に泥が混じって茶色くなるんです。シャワーを浴びるにも土臭くて、誤って口に入らないように気をつけました。髪も顔も洗えないのでミネラルウォーターを買ってきて洗っていましたね……」
バンコクでは下水システムの処理能力が追いついていないこともあり、一度雨が降ってしまうと冠水が起こりやすいのです。優香さんが宿泊したホテルは、特に冠水しやすいエリアにあったそうです。
◆Wi-Fiも繋がらず、さらにGも大量発生
「しかも、大雨が降るとネットワーク通信が全然つながらなくなるんです。ホテルのWi-Fiが全然つながらなくて、外出もできないわ、部屋で時間潰すのもできないわで……とにかく暇でした。でもさらに最悪だったのは冠水した水からネズミやGが大量に溢れてきたこと。ホテルのトイレにめちゃくちゃ大きいGが出て、スタッフを呼びに行って助けてもらいました……」
夕方から夜にかけて雨が降ることが多いので昼間に夕飯を買い込み、夜はホテルの部屋で食べていた優香さん。せっかくの旅行なのにとても残念な思いをしたそうです。
また、1度だけ夜に雨がやんで友達と夕飯を食べに行ったのですが、Tシャツ1枚で出かけてしまったため「寒かった……」といいます。バンコクの9月の平均気温は30度前後ですが、雨が降った後は冷え込むことがあるそうです。
雨で体感温度が下がると、エアコンが効いている店内では肌寒く感じることもあるので、雨季のタイに行くときには長袖の羽織物やパーカーなどが1枚あると便利です。
雨季のタイを訪れる際は、防寒グッズを用意するなど念入りな注意をしたほうがよいと思います。
<文/カワノアユミ イラスト/カツオ>
【カワノアユミ】
東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。裏モノ・夜ネタを主に執筆。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。ツイッターアカウントは@ayumikawano