各方面での活躍が目覚ましい俳優・伊藤沙莉。先日放送された『まつもtoなかい~マッチングな夜~』(フジテレビ系)における兄・オズワルド伊藤俊介との対談でも大きな注目を集めました。池松壮亮とW主演の映画『ちょっと思い出しただけ』も公開中(映画もとてもよかったです!)。
画像はAmazon『【さり】ではなく【さいり】です。』(KADOKAWA)商品ページより
今クールのドラマ『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ系、毎週月曜夜9時~)でも、主人公・整(菅田将暉)の相棒的な立ち位置で活躍しています。映画・ドラマにとどまらず、数多くのCMにも起用され、声優としても活躍。過去の出演作や『ミステリと言う勿れ』から、女優・伊藤沙莉の魅力を改めて分析したいと思います。
どんな役を演じても「嫌われない」伊藤沙莉の魔法
ちょっと癖があったり、面倒くさい女の役であったりしても、どこか憎めない愛嬌を感じさせるのが得意な伊藤。そんな彼女の天性の才能を、子役時代から磨き上げ続けています。
まず思い出されるのが、教師・阿久津真矢(天海祐希)と小学6年の子供たちとの「戦い」を描いたドラマ『女王の教室』(日本テレビ系)です。伊藤が演じた田中桃は、主要キャラ・神田和美(志田未来)のクラスメイトであり友人。真矢の思惑に振り回され…仲良しだった和美をいじめたり、急に寝返ったりする女の子を演じました。幼いが故の気の強さや、心変わりの激しさも自然と受け入れてしまう愛らしさを感じたこと…今でもよく覚えています。
また、伊藤沙莉といえば、NHKの朝ドラ『ひよっこ』で演じた米子(よねこ)で記憶している人も多いでしょう。米子は、主人公・みね子(有村架純)の同級生・三男(泉澤祐希)に恋をする米屋の娘。三男への恋心…それと同時に沸き起こる恋敵・時子(佐久間由衣)への嫉妬に卑屈な言動の数々。下手をすると嫌な女になってしまう役どころですが、伊藤のチャーミングな顔芸に仕草、セリフ回しから…やはり愛らしく見える不思議!
ともすれば嫌われそうな女に、憎めない愛嬌とほどよい情感を加えることで魅力的に仕上げるのが伊藤の魔法なのかもしれません。個人的にはドラマ『この世界の片隅に』(TBS系)で、冒頭主人公・すず(松本穂香)のことを、周作(松坂桃李)への恋心ゆえにちょっといじめてしまう役も好印象です。
魅力ある声で、作品に“いい味”を添えている
伊藤が多くの人の印象に残る理由のひとつに“ハスキーボイス”があるでしょう。特にその声が際立っているなと感じたのは『いいね!光源氏くん』(NHK総合)です。源氏物語の世界から現代にタイムスリップしてきた光源氏(千葉雄大)を、自分の部屋に住まわせるイマドキOL・藤原沙織を演じました。
超非現実的な光源氏を“ハスキーボイス”で、受け止め、応え、突っ込む。その落ち着いた声だからこそコミカルさが際立ち、作品の世界観に引きこまれました。
そんな伊藤の声に大きな注目が集まったもう一つのドラマが、『大豆田とわ子と三人の元夫』(カンテレ制作・フジテレビ系)のナレーション。少し早口に、主人公・とわ子(松たか子)の行動を説明するだけで、強い存在感を放ちました。
また声優として主役・浅草みどりを演じたアニメ『映像研には手を出すな!』で彼女の声のファンになった方も多いでしょう。聞き取りやすいのに、心に残る。その声は、さまざまな作品に深みをもたせているように感じます。