大人の女性として、俳優として、ますます魅力が増している風吹ジュンさん(70)。出演ドラマの、井浦新さんと柴田恭兵さんがW主演を務める、現役刑事と元刑事がぶつかりあうサスペンス『連続ドラマW 両刃の斧』が放送・配信開始になりました。

風吹ジュンインタビュー1
風吹ジュンさん
 15年前に長女を何者かに殺され、次女も病で失い、退職後も独自に事件捜査を続ける元刑事・柴崎(柴田)の妻で、重い病を患い入院中の三輪子を演じた風吹さんに単独取材。ざっくばらんにお話いたいだいた内容を前、後編の2回に渡って送ります。

 前編では「柴田さんが主演だから」出演を決めたと語る風吹さんに、柴田さんや井浦さん、共演の高岡早紀さんの印象を聞きました。すると、柴田さんとともに大好きな俳優として菅田将暉さんの名前も! また、風吹さんご自身について伺うと、デジタル派だとの一面が判明。さらに後編では、読者に向けてのメッセージをたっぷり語っていただきました。

◆柴田恭兵との夫婦役と聞いて出演を即決

柴田恭兵との夫婦役と聞いて出演を即決
『連続ドラマW 両刃の斧』より
――公式サイトに「慟哭のサスペンス」と紹介されていますが、サスペンスであり、とても苦しく切ない家族ドラマでもあります。

風吹ジュンさん(以下、風吹)「そうなんです。すごく苦しいお話だなと思いました。ただ、私は最初に柴田さん主演でその妻役とお聞きしたので、それだけで出演したいと思いました。実際には恭兵さんとの共演時間はほんのちょっとだったんですけど(笑)」

――演じられた三輪子は、娘ふたりを失った辛い役です。

風吹「苦しかったですし、難しかったです。泣いてばかりの演技では見ている方に届かないでしょうし。森(義隆)監督からOKが出なかったら、いろんなバージョンをずっと重ねていたと思います。私の役は、物語の合間にすぽっすぽっと入ってくるので、どの温度でどう見えてくるのか、どう見えるのが正解なのか、最後まで難しかったです」

◆共演の井浦新、高岡早紀について

――共演者の印象を教えてください。柴崎の後輩で現役刑事の川澄を演じたW主演の井浦新さん、川澄の妻を演じた高岡早紀さんはどんな方でしたか?

共演の井浦新、高岡早紀について
『連続ドラマW 両刃の斧』より
風吹「井浦さんは、私は役になった井浦さんとしかお会いしてないんです。プライベートは分かりませんけれど、とても謙虚で腰が低くて、繊細な方なのだと思います。ただこの現場では、役のためにぐ~っと低温で潜っているように集中されていたので、話しかけないようにしていました」

――初回に登場する15年前の回想シーンは、柴崎家と川澄家で和気あいあいと団らんされていました。その際も井浦さんとはあまりお話されなかったのでしょうか。

風吹「そうですね。周りが賑やかでしたから。高岡早紀さんがいますし(笑)。高岡さんとは、15年後の私が病気で入院しているシーンでの共演が多くて、いつもお世話していただいてました。でも私は病人でいなきゃいけないのに、ギリギリまで笑わせてくるんですよ(笑)。本当に可愛らしい方です。でも演技に関してもね、きちんと『ここはどうなんでしょう』と疑問はそのままにしない姿勢で挑まれていて、素敵な方だと思いました」

◆柴田恭兵と菅田将暉に共通する印象

――実際の共演シーンは少なかったとのことですが、改めて柴田さんはいかがでしたか?

柴田恭兵と菅田将暉に共通する印象
『連続ドラマW 両刃の斧』より
風吹「柴田さんはパーフェクトです。どこにいてもいつでも。なんでしょうね、柴田さんはいつも、ご自身の役だけじゃなくて、物語全体のイメージを深く読み込んでいらっしゃって、『ここはこうしてみたらどうかな』とお話してくださったりするんです」

――現場でお芝居の話はしないという俳優さんも多いと聞きますが。

風吹「私はいろんなタイプの役者さんとお会いしてお仕事してきました。柴田さんは、映画やドラマといった映像で、作品全体におけるそのシーンのテンションの組み立てを考えて、ここは上げたほうがいいといったことをきちんと考えていらっしゃる方なんです。役者として、演出家のような目も持っていらっしゃる。そういう方は、柴田さんと、あと菅田さんもそうですね」

――菅田将暉さんですか?

風吹「そうです。菅田さんも若いころからそうです。柴田さんも菅田さんも、私は一方的にすごく好きなんです。作品に対する愛情とか、自分が抱えている責任への思いとか、そういったものを含め、柴田さんも菅田さんも、とても才能をお持ちの、貴重な存在だと思っています」

◆風吹ジュンはアナログではなくデジタル派

――風吹さんご自身のことも聞かせてください。本サイトはネット媒体ですが、風吹さんはアナログ人間、デジタル人間、選ぶならどちらのタイプですか?

風吹ジュンはアナログではなくデジタル
風吹「アナログではないと思います。今の時代は災害も多いですし、家族の連絡でもデジタルツールはなくてはならないものですよね。私は学歴が低いので、一般的な知識はないかもしれませんが、自分が生きていくための知識は経験として積んできました。それをいつも助けてくれたのは、やっぱり情報です。そういった意味でも、アップルのパソコンも、ピコピコ(ダイアルアップ回線の音)鳴ってる早い時期から使ってきました。

 情報は常にアップデートするようにしています。そうやって自分を鍛えて追いついていかないと、自由も得られないですから。今は情報が多すぎて大変な面もありますが、それでも今の若い人たちには、私たちよりもっと自由な未来があるんじゃないかと思いますよ」

――普段からネットでの情報収集もされているんですね。

風吹「最近はパソコンより携帯ばっかりですけどね。アップルウォッチも出たころから使っていますが、あれこそ年配層には必要なアイテムです。転んだりしても本当にちゃんと反応して連絡してくれますから。ぜひみなさんも、親御さんにプレゼントしてください(笑)」

 デジタル派という意外な面も明かしてくれた風吹さん。後半では、世の女性たちへメッセージをいただきます。

<撮影・文/望月ふみ>

【望月ふみ】

70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi