パートナーにしたい人ナンバー1的な人物

いざつきあいはじめればそれなりに相手を尊重する葉は、照生の好きな映画「ナイト・オン・ザ・プラネット」ごっこにつきあい、誕生日プレゼントにも心をこめる。彼が求めてくれるならそれに応えようとがんばる(もちろん好き嫌いはあって誰でもいいわけではないと思うが)。

人生の運転の腕と体力はありますから目的地まで責任もってドライブしますという職人のような、とても生活感のある「ちょい思」の葉のタクシードライバーが“俳優”に置き換えることも可能に感じられた。そしてそれは伊藤沙莉そのもののようにも。

彼女はきっと演技の腕と体力には自信ありますから、目的地(どんな役でどんな話)を決めてくれたら確実にやり遂げますというパートナーにしたい人ナンバー1的な人物なのではないだろうか。

「ちょい思」の前に伊藤沙莉は「ボクたちはみんな~」で似たような過去を思い出す系映画に出ているのだが、驚くほど違う人物に見える。

「ボクたちは~」で演じた女性はつかみどころのない人物で、「ちょい思」ではとても現実的な親しみやすい人物だ。そして前者の女性も突き詰めれば後者のような現実を持っていたのではないか。つまり、過去の恋愛なつかしむ系の彼女たちはみんな恋人にとってのいい“俳優”だっただけではないか。

確実に安全に届けてくれる、名ドライバーのような名優

伊藤沙莉自身がそんなふうに目の前の役を的確に演じて作品の目的地に確実に安全に届けてくれる。名ドライバーのような名優なのだと思う。

「まつもtoなかい マッチングな夜」の彼女の去り際の兄を見た横顔がまるで「お客さん着きましたよ。ここでいいですか」と言っているようだった(あくまで妄想。「ちょい思」の見過ぎかも)。

そんな彼女が、情報番組「あさイチ」(NHK)で語った、オルゴールを披露してひとり暮らしをはじめたときに眠れないからかけていると言う話やクリスマス大好きでずいぶん前から当日を待っているような話には、みんなの期待に沿うように演じる仕事をしている彼女の役を離れた顔が見えて、伊藤沙莉がいっそう愛しくなった。

<文/木俣冬> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 木俣 冬 フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami

提供・女子SPA!



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