子どもが学校に通うようになると、必ずと言っていいほどぶち当たるのがPTAをめぐる問題。最近ではPTAの廃止・不要論もあがる一方で、なんと“外注サービス”まで登場しています。しかし、変化の波が押し寄せるなかでも、旧態依然としたPTAの体質は未だ根強いようです。

◆PTAは全ての家庭が必ず一度はやるんですっ!

PTAは全ての家庭が必ず一度はやるんですっ!
写真はイメージです。(以下同じ)
 息子が小学校に入学して、まもなく行われた第一回目の保護者会。そこで、恐れていたことが早くも現実のものとなりました。

 それは、学校生活に関する説明の後、PTAの活動報告が行われていたときのこと。最後に新たな役員と委員を選出することになったものの、立候補する保護者がいなかったため、くじ引きが実施されることになりました。すると、その場にいた先生の1人が保護者に向け、こう言い放ちました。

「いいですかー、皆さん。PTAは全てのご家庭に必ず一度はやっていただくんですよ。私たち教師もやるんです。例外はありませんから。皆さん平等にやるんですからねっ!」

 すさまじい同調圧力。子供が学校に通うようになったら、いつかPTAをやることになるだろうと覚悟はしていましたが、ここまでプレッシャーをかけられるとは…。その先生に悪意はなかったのでしょうが、自分の意思や考えとは関係なく、物事がどんどん進められていく状況に戸惑いを隠せませんでした。

 結局、そのときはくじ引きに外れ、胸をなでおろしていたのですが…。

◆知らない間に「実行委員」に就任

 ホッとしたのもつかの間、その数日後にPTAからお手紙が。「ご自身が希望する実行委員や部員を用紙に記入し、提出してください」とのこと。

知らない間に「実行委員」に就任
 きっと、何か希望がある人のみ用紙を出せばいいのだろう。そう思って用紙を提出しなかったところ、しばらくして再びPTAからお知らせを受け取りました。読んでみると「○○さんにはマラソン大会の実行委員を担当していただきます」との通知。こちらの予定や都合が確認されるわけでもなく、いきなり指名されたようです。

 そして「もしご都合がつかないようであれば、どなたか代理の方を探してください」との注意書きも。けど代理を探すといっても、そうそう気軽に代わってもらえるものではないと思うのですが…。

 これと同じタイミングで、会費も自動的に引き落としされるようになりました。会費は約3600円(年額)くらいで、2回に分け、給食費などと一緒に請求されます。入会の意思を示したわけでもないのに、会費を支払うことには釈然としない思いもありましたが、「子供たちが充実した学校生活を送るための出費」と考えることにしました。

◆知らなかった! PTA参加は「任意」

 PTA(Parent-Teacher Association)は、各学校の保護者と教職員が協力し、子供たちの成長をサポートする社会教育関係団体。元々はアメリカで発祥したシステムで、日本には戦後に導入されたといわれています。そして本来は、「任意加入の団体」で強制力はなく、あくまで「ポランティア」という位置づけなのだそうです。

知らなかった! PTA参加は「任意」
 PTA参加が「任意」だったなんて、恥ずかしながら今になって初めて知りました。私が小さかった頃、母親が渋々PTAの役員などをやっていた姿をみていましたし、子供がいる友人たちからも「どうせ、いつかはやらなきゃいけないから…」と聞いていました。なので、「子供が学校に通っている間は絶対に免れないもの」として考えていました。

 そもそも、息子が通う小学校でもPTA加入や参加は「ほぼ強制」という感じで、「任意」や「自発的なボランティア」とはだいぶかけ離れている気がします。

◆夜のPTA活動に切実な声「子供は一体どうすれば…」

 PTAから配布された資料を見てみると、ベルマーク袋の作成及び集計作業、保護者会で出すお茶とお菓子の準備、各町会主催イベントのお手伝い。餅つき大会の運営……などなど、実に多くの活動を行っている模様。ただ子供たちのための活動というよりは、大人同士のお付き合いという意味合いが強い印象です。

夜のPTA活動に切実な声「子供は一体どうすれば…」
 友人や知人によると、学校によってもそれぞれ内容は変わるようで、なかにはチアリーダーの練習や試合に付き添う「地元チアリーディング部のお世話」というユニークな活動もあるようです。また「モンペ(モンスターペアレント)の対応」をさせられたという友人は、「ある日学校から呼び出されて行ってみたら、保護者たちの苦情に対応をするように言われた」とぼやいていました。

 これは、マラソン大会の実行委員である私自身が経験していることですが、「打ち合わせをするので平日の夜に集まってください」と言われることがあります。どうやらPTAの活動では、夜間にお呼びがかかることも少なくないようで、私の友人も夕方以降に行われる「天体観測教室」に召集されたそうです。

 平日の夜であれば、働いている保護者も参加しやすいだろうという意図かもしれませんが、残業で忙しい人も少なくないでしょうし、まだ幼い子供がいて夜に外出しづらい家庭だってあるはずです。実際、ご主人が単身赴任で、家事と育児を1人で担っている友人は、こんなジレンマを抱えているようです。

「PTAの活動で夜間に呼び出されると、その間、子供をどうしようかと悩む。夜に連れまわしたくないし、かといって幼い子供だけで留守番させるわけにもいかない」

◆意外と楽しい!? PTAならではのメリットも

 一方で、「PTAをやってよかった」という声があるのも事実。やはり最大のメリットは、学校に知り合いがたくさんできることだそうです。私の友人も「PTAで仲良しママさんたちと楽しくやっている」と言っていました。確かに、教職員や保護者と顔見知りになって、良好な関係が築ければ、親子ともども充実した学校生活が送れそうですよね。

意外と楽しい!? PTAならではのメリットも
 一般的に負担が大きいと思われているPTA活動ですが、最近では様々な見直しも行われているようです。PTA活動のなかでも最も面倒なのは、「会合や打ち合わせでいちいち学校に行くこと」と言われてましたが、コロナを機にZOOM上などでのオンラインMTGに切り替えたところも多いようです。

 PTAの役員をやっている友人の1人も、「他の役員や委員の人たちとLINEでやり取りしながら、作業を分担しており、無理なく活動できている」と話していました。

 このようにITツールやSNSを駆使して業務の効率化を図り、負担軽減に努めている学校も増えているそう。PTAの活動に参加するからといって、必ずしも大きい負担がのしかかるというわけではないようですね。

◆変わりゆくPTA。なんと“外注サービス”まで登場

「これって本当に必要なこと?」。PTAについて誰かと話しているときに、幾度となく聞いた言葉です。私自身も、自分の子供が小学校に入学してから同じように感じることが増えました。

変わりゆくPTA。なんと“外注サービス”まで登場
 旅行会社の近畿日本ツーリストが始めた「PTA業務アウトソーシングサービス」が大きな反響を呼んでいるそうです。その背景には、「学校生活に本当に必要かどうかわからないのに、仕方なくやらされている」という感覚が保護者にあるからではないか。そのように思えてなりません。本当に子供たちのためになっているのか、よくわからないのに負担だけ増える。それなら外注サービスで済ませたい…親として自然な感情に思えます。

 最近では、子供たちの学びや成長に重要と思われる活動のみを行い、「エントリー制」にして保護者に強制はせず、ボランティアにより近い形で運営しているPTAもあるそうです。「何が何でも参加すべき!」と言われると尻込みしてしまいますが、学校のより良い運営のために可能な範囲で活動するという前提であれば、保護者としても気軽にやってみよう! と思えるかもしれません。

 また今年夏には、東京都小学校PTA協議会が上部組織「日本PTA全国協議会」から退会する方針を決めたことが話題になりました。PTAをめぐっては、学校や保護者からだけでなく、PTA組織内部からもその在り方を見直す動きが出てきているようです。

 この先、PTAをどのようにしていくのか。簡単に答えが出るものではないと思いますが、少なくとも「今までやってきたことを続けていけばいいだろう」という思考停止の状態から脱却する時期に来ていることは確かなようです。

<文/女子SPA!編集部>

【女子SPA!編集部】

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