A. 犬にもかかってしまうと死んでしまう危険のある病気がいくつもあります。
ワクチンの接種は、犬の体内に免疫を作り、それらの病気にかかってしまわないように、またかかっても軽い症状ですむようにする目的でおこなわれます。

子犬は母犬から胎盤や初乳を通じて、移行抗体と呼ばれる一時的な免疫をもらいます。
この免疫によって、病気から守られていますが、この移行抗体は一生続くものではなく、徐々に免疫の効果は薄れて無くなってしまいます。
移行抗体の免疫の効果は一般的には45日くらいから90日くらいまでとされていますが、一番難しい点は体内にこの免疫が残っていると、ワクチンを接種しても、子犬自身の免疫ができず、効果が得られないことなのです。

この移行抗体がどれくらい子犬の体に残っているのか、効果があるかを知ることができれば、一番いいのですが、残念ながらそれを簡単には知ることはできません。
(もちろん、母犬や子犬に聞いても答えてはくれませんね。)
今、ワクチンを接種しても”移行抗体”がたくさん残っていると、ワクチンは効かないかもしれません。
しかし、もし”移行抗体”の効果が薄れていればワクチンをすぐにでも接種しないと、怖い伝染病にかかる危険が生じます。この問題を解決するために、”移行抗体”が徐々に消失していくと思われる時期まで、3~4週間おきに接種を繰り返す方法が多くの病院でとられてます。

みなさんに理解して頂きたいことは、ワクチンの効果を得るには、接種するワクチンの種類と時期、そして、確実性を高めるための複数回の接種が必要ということなのです。

特に子犬のワクチン接種については、病気の種類によっても、移行抗体の薄れる時期に差があります。そのため、かかる危険性の高い病気のワクチンは、早い時期から接種を開始し、合計で3回接種している場合も、「より確実な効果を得るため」という理由からです。ですから、2回なら十分で、3回目は余計、というような回数だけの問題ではありませんので、確実なワクチンの効果がえられるワクチンプログラムについて、かかりつけの獣医師に、よく話を聞いて、病気の危険から子犬を守ってあげてください。


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