「人生、山あり谷あり」ということわざもあるように、浮き沈みがあるのが人生というもの。恋愛や仕事、人間関係…何がきっかけで良い方向にいったり、悪いことが起きたりするかはわからないものですよね。今回は実録シリーズ「人生の転機、上がったり下がったり」から、過去の人気記事を再録します(初公開2018年4月27日、情報は掲載当時のものです)。
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春ですね。春といえば転機の季節で、就職や進学、はたまた夢を追いかけるために上京してくる方も多くなります。一方、都会に出てきて、甘い言葉につられて痛い目にあう人も少なくないようです。
夢を追う若者を食い物にする黒い大人たち……。アイドルを夢みて上京し、ひどい経験をしたというリサさん(仮名30歳/広告代理店勤務)に話を聞きました。
◆上京早々にスカウトされるも…
「特にやりたいコトもなかったんですけど、ルックスとスタイルには自信があったので、“芸能人になったら楽して稼げるかな!?”くらいの気持ちで、地元の専門卒業後に上京しました。それから毎日のようにオーディション受けたり、スカウト待ちで原宿とか渋谷に行ってました」
仕事はしていなかったんですか?
「銀座のクラブでバイトしてました! オジサンの相手は得意ではないですけど、他のバイトと比べて圧倒的に効率が良いし、遊びたいしブランド物買いたいし!」
典型的なイケイケ女子のリサさんですが、デビューまでこぎ着けたのでしょうか?
「はい。原宿でスカウトされました。“アイドルになれるよ”って言われたんですけど、ふたを開けてみたらAVでした(笑)。今だから笑えますけど、その時はあせりましたね~。でもノセ方が上手であれよあれよと裸の宣材写真(=宣伝用のプロフィール写真)を撮ってしまいましたね」
いや、笑えないです。AV女優としてデビューしたんですか!?
「いえ、結局その時はやりませんでした。宣材撮って、企画の打ち合わせして、契約スレスレのところで我に返りました。
“親の顔が浮かんだ”とか“何しに東京来たんだ?”というより“好きでもない男とヤりたくない!”と思って(笑)。それからスカウトが怖くなって自分で応募しまくったら、なんとかレースクイーンに引っかかりました!」
◆レースクイーンからグラビアへ
元レースクイーンの芸能人も結構多いですもんね。
「ですよね! なんとなくレース(=レースクイーン)やってれば、その流れで芸能人になれるかなって思ってて」
聞いているだけでもリサさんの、その安易な考え方は心配です。
「レースクイーンの後はグラビアに転向しました。転向っていうより……そういう仕事しか来なかったというか。レースクイーン自体、肌の露出が多いからか、水着とかセミヌードばっかり!」
どんな仕事がしたかったんですか?
「私ゲーム好きなので、しょこたん(=中川翔子)みたいなヲタ系アイドルにはぼんやり憧れていました。CSのゲーム系の番組に、ゲームコスプレして露出度高め(笑)で出演させてもらった事はありました」
とはいえ、週刊誌の表紙になったりテレビ出演するワケでもなく、タレントとしての収入は月に何度かある水着撮影会のギャラの数万円程度。でもホステスのバイトがあるから、生活する分には不自由はなかったようで。
「彼氏と同棲もしてましたし、そこは大丈夫でした。それにしても遊びましたね~。就職して忙しそうな友人を横目に毎日毎日飲んだくれて、彼にも半分あきれられてたと思います。でもその時は、“とりあえず楽しければいいじゃん!”って思ってたんですよね」
そんなリサさんはタレントとして大成するワケもなく……。
◆どんどん衣装の水着の面積が小さく…エスカレートする要求
「グラビアの仕事は3年くらいしましたが、どんどん衣装の水着の面積が小さくなっていって、しまいにはブラジルのサンバみたいな小さな水着も着せられましたね。
最終的には、所属していた事務所の社長からAV出演の斡旋や、『仲良くするといい事あるから』的な感じでプロデューサーと飲みに行ってこいとか、要は“ヤッて仕事取ってこい”って事なんですけど……」
芸能界の裏事情で聞いたコトありますが、やっぱりあるんですね……。
「その時26歳だったので“今からならまっとうな会社員としてもやり直せる!?”と思い、引退しました。でもレースクイーンの同期とかはAVに転身したり、カキタレ(=芸能関係者の性欲処理女性の隠語・セフレ以下の扱い)に成り下がった子も何人かいますね……。
そういう子達は、精神的にも病んでたりしていて、疎遠になってしまいましたね。私はやらなくて本当に良かったと思ってます。
もちろん、レースクイーンの同期で今でもテレビに出て一線で活躍している人もいます。普通に主婦になった子も。私は今の仕事が楽しいので、やめて良かったと思っています」
◆一瞬の隙をみせたら転落するのは簡単
リサさんいわく「レースクイーンやグラビア上がりは、“表で脱ぐか裏で脱ぐか”しないと売れるのは難しいのでは?」とのことです。
芸能界の闇はよくニュース等でも取り上げられますが、一瞬の隙をみせたら転落するのは簡単なように思われます。
リサさんは、やりたい事がないながらも、やりたくない事は明確で、崖の下まで堕ちずにいられましたが、彼女とは逆に「何をしてでも芸能人として成功したい!」という純粋な思いがある人こそ、闇に呑まれてしまう危うさを感じました。
―シリーズ「シリーズ「人生の転機、上がったり下がったり」」―
<TEXT/白戸ミフル ILLUSTRATION/ただりえこ>
【白戸ミフル】
合コンに累計2,500回参加(今も記録更新中)した合コン漫画家。著書『合コン・アンド・ザ・シティ 恋活・婚活女子の合コンマニュアル』『乳がんステージ4だった私が、それでも合コンに行きまくって救われた話』
Twitter:@takara0722