何気なく使用している「プレタポルテ」という言葉ですが、はっきりとした意味を知っておきたいと思いませんか?気になるプレタポルテの意味と、オートクチュールとの違いをご紹介していきます。代表的なブランドもまとめてみたので、ぜひ併せてご覧ください。
プレタポルテの意味は?
①正しい定義は高級既成服
プレタポルテとは、高級既製服のことを指すファッション用語です。1940年代の既製服産業の発展に伴い、従来の安物の既製服の代わりとなる言葉として、フランスで生み出されました。とくにパリのオートクチュールが作る、高級既製服のことを指していた言葉です。
プレタポルテという言葉が誕生するまでに使われていた、「既製服」という意味の「コンフェクション」には、「質が悪い・安価」というニュアンスが含まれていました。有名オートクチュールが作品の大衆化をはかるために、品質のうえで一線を画す意味合いを持つ表現が必要だったのですね。
現在では、パリのオートクチュールに限らず、有名デザイナーやブランドの高級既製服という意味での使い方がされます。パリやミラノのコレクションで発表される、新作に注目する方も多いのではないでしょうか。
②そのまま着られるという意味のフランス語
プレタポルテは、フランス語で表記すると「prêt-à-porter」です。和訳すると「prêt」が「用意ができている」、「porter」が「着る」という意味になります。英語の「ready to wear(すぐ着られる服)」をフランス語に置き換えて誕生させた造語だと言われています。
1940年代までの高級服といえば、完全オーダーの仕立て服が主流でした。そのため当然、完成までに時間がかかります。すぐに着られる高級服というのは、ファッションにおいて画期的な出来事だったのですね。
③既製服一般を示すことも
プレタポルテは、現代では既製服一般を示すことがあります。1950年代を堺に、既製服の品質そのものが向上したことに関係すると言われています。それまでの仕立て服に負けない品質のものが生産されるようになったことから、既製服を意味する言葉として、世界でも共通する表現となったとされています。
オートクチュールとプレタポルテの違いは?
①作る対象が違う
「オートクチュール」と「プレタポルテ」の違いといえば、作る対象です。オートクチュールは、決まった顧客のために、デザインや生地からこだわった仕立てを行います。もちろん、サイズも顧客一人ひとりに合わせたものになりますね。
対して、プレタポルテは大衆向けに販売されるものとなります。特定の客のためではなく、画一化されたパターンで仕立てて、大量に販売することが違いとなります。
②生産方法が違う
生産方法も、「オートクチュール」と「プレタポルテ」の違いの一つです。オートクチュールは、厳密に言えば、パリ・クチュール組合に加盟している企業または店舗で作成されたものを指します。ブランドのアトリエなどで、顧客にむけて職人が仕立てた一点物がオートクチュールとなります。
対して、プレタポルテは工場で大衆向けに大量生産された服のことを指します。また、販売は、販売店に委託する形になることも特徴です。
③値段が違う
「オートクチュール」と「プレタポルテ」も、高級品という点では同じですが、やはり値段に違いがあります。基本的に、デザインや生地、仕立てなどの過程で最高級を提供するオートクチュールは高額です。「Haute Couture」とフランス語で表記し、「高級仕立て服」を意味するだけありますね。
一説によると、9,000ユーロがオートクチュールドレスの最低価格だと言われています。日本円だと100万円は軽く超えることになりますね。物によっては、何十万ユーロにもなることもあります。プレタポルテのほうは高級品ではありますが、大衆向けであるため、オートクチュールよりは安くなります。