さまざまなセクハラの中でも、女性にとって特に嫌なのが「セクハラ」。コンプライアンス遵守が叫ばれる中、徐々に減ってきていますが、ほんの数年前はもっと被害に遭う女性も多かったかもしれません…。今回は実録シリーズ「私達の身近な「セクハラ」」から、過去の人気記事を再録します(初公開2018年1月5日、情報は掲載当時のものです)。

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 生徒による教師への暴力は、いじめと並んで学校における大きな問題のひとつになっています。

暴力
 ですが、現役教師の大島裕美子さん(23歳・仮名・公立中学校教諭/独身)は、「メディアで取り上げられることはほとんどないですが、生徒からの女性教員に対するセクハラも大きな問題です」と指摘。自身もその被害に何度も遭っているといいます。

◆予期しなかった生徒からエロ質問攻め

「『先生、彼氏いるの?』くらいなら私も学生時代に聞いていたので別に構わないと思っています。ただ、赴任先の中学校では、『週に何回エッチしてるの?』、『先生、初体験はいくつのとき?』などセクハラ親父でも聞かないようなド直球の質問を投げてくるんです」

マセガキ
 まるでAV冒頭のインタビューシーン顔負けの内容ですが、教師1年目の彼女にはそれを巧みに切り返すスキルも経験もありません。どう答えていいか困っていると、「まさか処女? だったら俺が先生をオンナにしてやるよ」など中学生とは思えない言葉が飛び出したとか。

「特別荒れている学校ではなかったからショックでしたし、それ以上にこんな生徒たちを相手に教えるなんて到底無理だと思いました。教員は高校時代から憧れていた職業だったんですけど、ずっと抱いていた夢や希望を一瞬で打ち砕くほどの強烈すぎる体験でした」

◆担任に叱ってもらってもおとなしいのは2~3日だけ

 その後も“マセガキ”たちからのセクハラは緩むことなく、より過激になっていきます。下着の色を尋ねる程度ならまだかわいいほうで、裕美子さんと裸の写真を合成したアイコラ画像のプリントをばらまく者、「昨日、先生のことを想像しながらヌイちゃった」との言葉をあびせる生徒もいたそうです。

「担任の先生に報告して叱ってもらいますが、おとなしいのは2~3日だけで効果なし。校長や教頭に相談しようにも事なかれ主義で一切頼りになりません。

 いっそ保護者を呼び出したいところですが、私が赴任する前、似たような生徒のセクハラで悩んでいた若い女性の先生がそれをやったところ、逆に『生徒に性を意識させる先生に原因があるのでは?』と責められたと聞いて諦めました」

 しかも、彼女にセクハラするのは生徒だけではありません。

◆教頭にもセクハラされ、誰にも相談できない

「アラフォーの体育教師がいるんですけど、スキンシップと勘違いしているのか挨拶感覚で私のお尻を叩いてくるんです。この先生は妹の中学時代の部活顧問で、面識があるから親しみを込めているつもりなんでしょうけど、正直やめてほしい。

 懇親会と称した教員同士の飲み会では、一番年下の私はお酌担当でやってることはキャバ嬢と変わりません。教頭は『お酌が上手だね。昔、キャバクラでバイトしていたんじゃないの?』なんて言い出すほどです。まあ、この教師にしてこの生徒ありだなって」

セクハラ
 今は退職も視野に入れて、ネットなどで転職情報をチェックしているとのこと。

「教員も希望退職日の1か月前に申し出れば辞められるので、遅くても1月末までは結論を出すつもりです。このままだと来年からクラス担任になってしまうので、そうなると辞めるのが大変ですから」

 迷っていると言いつつも辞める方向に傾いている裕美子さん。憧れの職場でしたが、セクハラの前には勝てなかったようです。

―私達の身近な「セクハラ」 ―

<TEXT/トシタカマサ イラスト/鈴木詩子>

【トシタカマサ】

一般男女のスカッと話やトンデモエピソードが大好物で、日夜収集に励んでいる。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。