恋愛ライターの高萩陽平です。10月から秋ドラマが始まり、中盤に向かおうとしている作品も多く、「これとこれは最終話まで見ようかな」と“視聴確定”を決めた作品も出てきました。そこで、最終回まで見届けようと思った秋ドラマを3つ選び紹介します。
※以下、ドラマ序盤のネタバレを含みます。
◆緊張感がすごい医療ドラマ
まずは月9ドラマ『PICU 小児集中治療室』(フジテレビ系)。新設されたばかりの小児集中治療室“PICU”に配属された小児科医・志子田武四郎(吉沢亮)らが、子どもの命を守るべく奮闘する医療ドラマです。
このドラマは特に緊迫感が凄まじく、1話で搬送された少女に武四郎の上司・植野元(安田顕)が心臓マッサージを行うシーンは印象的。BGMは一切なく、ただただ医療機器から発せられる機械音が鳴り響くのみ。そして、懸命の治療も虚しく少女が命を落としてしまい、その時の空気感は呼吸を忘れるほどの重圧でした。
このシーン自体のインパクトも強いですが、「このドラマは子どもが死ぬドラマなんだ」と提示した、という意味でも今後の見ごたえに大きな影響を与えたシーンと言えます。医療ドラマは基本的に患者が助かるケースがほとんどであり、それが子どもであればなおさら。しかし、1話目から助からない子どもが出ることにより、「搬送された子どもは助かるのか?」という緊張感を与えて、毎話ハラハラドキドキしながら見させてくれます。
役者陣も注目で、なぜかイケメンとして扱われない吉沢も新鮮であり、安田の“理想の上司感”溢れる演技もぴったりハマっており、医療ドラマという定番な設定ですが新しい刺激の連続です。
◆刑務所を目指す“ムショ活”高齢女性
次は『一橋桐子の犯罪日記』(NHK総合)。親友の宮崎知子(由紀さおり)を亡くした独居老人・一橋桐子(松坂慶子)が、お金も親しい知人も何もかもない生活に絶望して「現実世界で生きるよりも刑務所に入ったほうが幸せなのでは?」と考え、罪を犯して刑務所入りを目指す“ムショ活”のお話。
キリっとした印象の強い松坂ですが、本作では“幸が薄そうな高齢女性”をしっかり作り上げていることに驚きます。そして、その表現力から放たれる桐子の悲壮感は圧倒的であり、桐子に共感しがたい若い人もメンタルを削られるかもしれません。
原作は原田ひ香『一橋桐子(76)の犯罪日記』 (徳間文庫) とはいえ、ムショ活を通して、桐子のパート先の上司・久遠樹(岩田剛典)、女子高生でありながら桐子と友情を育む・榎本雪菜(長澤樹)との交流を深め、徐々に“リア充”になっていく姿には安心感を覚えます。しかし、一人ぼっちではなくなりつつあるが、それでも刑務所に憧れを抱く様子はどこかシュール。思わずツッコミを入れたくなるのですが、「それだけ独居老人にとっては、あらゆる自由を奪われる刑務所よりも現実世界は生き地獄なのかもしれない」とふいに考え、寂しい気持ちになります。
悲しくもなり微笑ましくもなれる『一橋桐子の犯罪日記』。桐子が無事に(?)罪を犯して刑務所に入れるのか、それとも現実世界に居場所を見つけられるのか注目したいです。
◆夫婦交換が「必要」な夫婦
最後は『夫婦円満レシピ ~交換しない?一晩だけ~』(テレビ東京系)。本作は一人娘から「赤ちゃんが欲しい」とせがまれたセックスレス中の夫婦・仁科志保(佐津川愛美)と浩介(千賀健永)が夫婦交換をしながら、夫婦の悩みに正面から向き合うドラマです。
視聴前は、テレ東の深夜ドラマであり、そのタイトルから「『孤独のグルメ』や『晩酌の流儀』みたいなグルメドラマなんだろうな」と予想していたのですが、志保の「みなさんは赤の他人とセックスしたことがあるだろうか」というセリフから、第1話がスタートした時には衝撃的を隠せませんでした。
#夫婦円満レシピ
— 夫婦円満レシピ~交換しない?一晩だけ~💝テレビ東京 (@tx_fufuenman) October 26, 2022
~交換しない?一晩だけ~
第4話『森尾裕子の場合』
今日深夜0:30放送!
森尾夫婦のお話が始まります🏠💭
裕子さんはどんな悩みを
抱えているのか...🌀#佐津川愛美 #橋本マナミ #テレビ東京 pic.twitter.com/vqNOGWnhpv
ここまで聞くと不埒(ふらち)なドラマに感じられますが、主に浩介目線で進む3話は必見。“妻だけED”の浩介の葛藤が赤裸々に描かれており、男性には共感を呼び、女性には男性の気持ちを理解することにつながるはず。原作は女性向けの漫画ですが、意外と老若男女問わず共感できる部分が多い内容です。
祥子(板谷由夏)と洋一郎(平岡祐太)の窪塚夫婦との夫婦交換を終えた2人は、気持ちが離れるどころかこれまで以上にお互いを求めるようになり、夫婦交換の沼にどんどんハマっていきそうな様子。夫婦交換という劇薬が夫婦の絆にどのような変化をもたらすのか、見守りたいです。
<文/高萩陽平>
【高萩陽平】
恋愛系のメディアで多数執筆。10年前からmixiやスカイプちゃんねるなどでネットナンパに没頭。数年前からマッチングアプリに参戦して結果を出し続けている。元アイドル、100キロ越えのふくよかさんなど、多種多様な女性との交際歴を持つ。