10月11日から始まった全国旅行支援。宿泊料金が1人1日40%割引き(上限5000円)で、往復の交通付きプランなら最大8000円割引。しかし、予約が殺到した結果、多くの自治体では予算枠の上限に達し、申し込みを終了しています(※追加予算で再開、および再開を検討中の自治体もあります)。
すでに予約済みの方でも申し込んだのは宿泊のみ、もしくはまだ予約していない方も多いと思います。実は、交通付きプランにしなくても鉄道や飛行機、バスにはお得なきっぷが多数存在。使い方次第ではこちらのほうが交通付きプランよりも安くなります。そこで今回は国内旅行の交通費が安くなるお得情報の数々をまとめて紹介します。
◆新幹線も特急もネット事前予約で安くなる
首都圏から東北・北海道・信越・北陸方面に行く場合、JR東日本とJR北海道の予約サイト・アプリの『えきねっと』で販売する『えきねっとトクだ値』がお得。乗車13日前までの申し込みなら東北・北海道新幹線のはやぶさ号・はやて号は25%割引、それ以外なら30%割引になります。
在来線の特急も基本的に同じですが『草津』(上野~長野原草津口)は13日前までの購入で40%オフ。ほかにも都心と房総半島を結ぶ『わかしお』(東京~安房鴨川)、『さざなみ』(東京~君津)、『新宿さざなみ』(新宿~館山)、『しおさい』(東京~銚子)は出発間際でも35%割引、伊豆方面に便利な『踊り子』(東京~伊豆急下田)は出発当日の午前1時50分までなら30%オフと衝動的に旅行したくなった時でも安心です。
また、東海道・山陽新幹線ならJR東海の予約サイト・アプリ『スマートEX』から購入できる『EX早得21ワイド』があります。乗車1か月前~21日前と早めの購入が必要ですが、のぞみ号の東京・品川~名古屋は13%、新大阪は16%とそれぞれ割引になります。
そして、目的地まで多少時間がかかってもいい席に座りたい方には、こだま号のグリーン車に激安料金で乗車できる『EXこだまグリーン早得』。これも乗車21日前までの購入が条件となりますが、東京・品川~名古屋は9170円、新大阪は1万1410円。のぞみ号の指定席料金よりも2000~3000円弱安く、駅弁と飲み物を購入してもおつりが来ます。
◆鉄道なら北海道! 安い乗り放題きっぷが充実
数ある鉄道周遊券で“コスパ最強”と評判なのは、北海道内の特急・普通列車が6日間乗り放題(※北海道新幹線は除く)の『HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス』。期間中4回までは指定席に座ることもでき、料金はたったの1万2000円。ところが、人気がありすぎて予算枠分を売り切ってしまい、10月21日で販売を終了してしまいました。
それでも今年だけで1月、3~6月、9~10月と発売されており、再販売の可能性は大。札幌と函館を往復するだけで元が取れますし、道内をあちこち回りたい方にはこれ以上お得なきっぷはありません。そのため、次の発売に合わせて旅行をするのもアリです。
ただし、既存の周遊きっぷにも『ANAきた北海道フリーパス』(4日間・1万3150円)や『AIRDOひがし北海道フリーパス』(5日間・1万6380円)、『Peachひがし北海道フリーパス』(5日間・1万6380円)など代用可能なものが多数あります。いずれも札幌や新千歳空港、小樽、札幌、旭川、富良野などのエリアは乗り放題で、これに道北、または道東がフリー区間になっており、特急の乗車はもちろんOK。購入時に指定航空会社の搭乗券の提示が必要ですが、HOKKAIDO LOVE!に次いでコスパ面では優れています。
◆北海道での“ちょこっと移動”なら地域クーポン専用商品
そこまで鉄道を使わないという人であれば、全国旅行支援の地域クーポン専用商品の『クーポンde 北海道乗り放題パス』(2000円)がオススメ。1000円分以上のクーポンを使っての購入が条件ですが、道内のJR線が1日乗り放題となります。このきっぷは特急の乗車が原則不可ですが、特例として新夕張~新得(89.4㎞)の区間だけは乗車可能。ほかにも旅行最終日などに札幌~小樽~新千歳空港と移動する場合は、正規運賃の合計額(2660円)よりも安く抑えられ、使い勝手は悪くありません。
一方、同じ北海道でも函館を拠点に旅をするなら同じ地域クーポン専用商品の『クーポde はこだてパスポート』(2000円)。JRの乗り放題区間は函館~森で、これに「道南いさりび鉄道」全線(函館~木古内)、道南6市町の函館バス、函館市内の路面電車がすべて乗り放題で函館などの道南観光には便利です。
◆四国と九州にも超お得な鉄道周遊券が!
北海道以外の周遊券だと、JR四国の『バースデイきっぷ』(9680円)が大変お得。コロナ前から通年販売されていますが、購入できるのは自分、もしくは同行者(※3名まで同一料金)のいずれか1人の誕生月だけ。購入時に販売窓口で身分証明書の提示が必要ですが、JR四国の特急だけでなく、JRバスの一部路線と土佐くろしお鉄道の全線が3日間乗り放題。なお、同きっぷにはグリーン車乗り放題の『グリーン車用』(1万3240円)もあり、こちらも人気です。
さらに九州では、九州新幹線と9月に開業したばかりの西九州新幹線を含む、特急・普通列車が2日間乗り放題の『みんなの九州きっぷ』が12月21日まで発売中。きっぷは『全九州版』(1万8000円)と『北部九州版』(9500円)の2種類ありますが、特筆すべきはこども料金がそれぞれ2000円、1000円と超激安なこと。利用は土休日に限られますが家族旅行には最適のきっぷといえます。
◆飛行機は「行き先を選べない」超オトクな買い方も
安さを重視するならやはりLCC。例えば、10月21~25日にジェットスター・ジャパンは成田~那覇の片道1990円の航空券を販売していましたが、LCC各社のこうしたセールは即完売してしまうのが現状。通常運賃でも国内線の大半の路線は片道1万円以下で行けるとはいえ、できればLCCでもより安く航空券を購入したいはずです。
そこで紹介したいのがPeach(ピーチ)が行っている「旅くじ」。テレビでもよく取り上げられているので知っている人も多いと思いますが1回5000円でくじを引き、表示された行き先の航空券に使える6000円分のピーチポイントが貰え、運が良ければ1万円分のポイントが当たります。
自分で行き先を選べず、そのポイントだけで必ず往復航空券が購入できるわけではないですが、1000円分のプレミアが付いているので普通に航空券を買うよりもお得。しかも、現在は11月18日までの限定で10万円が当たる後追いくじとセットになった「開運旅くじ」を西銀座チャンスセンターなど東京・名古屋・大阪の9か所で販売中。これとは別に通常の旅くじも心斎橋パルコ(大阪)で売られています。
LCC以外でもJALの『先得』やANAの『SUPER VALUE』なら出発75日前や55日前、28日前などの縛りはありますが、羽田発の北海道や沖縄へのフライトが片道1万円以下になることも。出発が当日でも株主優待券を持っている人は株主優待割引を使えば、正規運賃の半額で乗ることができます。
でも、なかには貯まったマイルで旅行に行きたいと考えている人もいるでしょう。そんな方には通常より少ないマイル数で特典航空券がゲットできるJAL『どこかにマイル』が狙い目。出発地と希望の日時を入力すると、ランダムに4つの行き先が表示され、いずれも往復航空券が6000マイルで交換できます。一方、ANAも『今週のトクたびマイル』を用意しており、リストアップされた対象路線が片道3000マイルから交換可能。しかも、出発前日まで予約が可能なのも助かります。
◆バスは九州の乗り放題きっぷが激安!
もともと鉄道・飛行機よりも運賃が安いバスですが、東京~大阪を1円でも安く移動したい方にオススメなのがJRバス関東とJRバス西日本で9月から販売中の新しい割引運賃『特早1』。購入は乗車前日まで、1便あたりの販売席数も限定、乗車可能なのは座席4列の夜行バス『青春エコドリーム号』ながら片道2500~2900円と格安なのは魅力です。
彼氏や友達と2人で乗りたい場合には、横並びの2席分をまとめて購入できる『2席得得』(2席で5000~6000円)という割引乗車券もあります。しかも、こちらは同じく席数限定ながら出発当日まで発売されており、1人で2席分領有する使い方も有効です。
あと、九州を旅行するなら高速バス・路線バス乗り放題の『SUNQパス』。乗車可能なのは高速バス・路線バスの約2400路線で、黒川温泉や高千穂といった鉄道のない人気観光地もカバー。さらに鹿児島港~桜島など一部のフェリー航路も乗船できます。
12月24日まではキャンペーン中で、『全九州4日券』(1万1000円)、福岡・佐賀・長崎・熊本・大分の『北部九州3日券』(7000円)、熊本・宮崎・鹿児島の『南部九州3日券』(8000円)といずれも破格の値段。空港からのバスにも適用されるため、旅行先での移動をこの周遊券だけでまかなえます。
◆船中泊の長距離フェリーは、支援割で40%引き&地域クーポン適用でかなりお得
フェリーの場合は発着港で自治体が異なるため、全国旅行支援を使った割引プランの導入が難しく参加を見送ったフェリー会社も。そうした中、すでに割引が適用されているのが太平洋フェリーの名古屋港到着の航路。船中泊はホテル同様、宿泊料金の40%(上限1泊5000円)のルールが適用されるのですが、仙台港発が1泊なのに対し、運航スケジュールの関係で2泊分になる苫小牧港(北海道)発の割引額がなんと1万円! もちろん、地域クーポン(※船内での使用は不可)も配布されます。
ほかにはフェリーさんふらわあも大阪~志布志(鹿児島県)、神戸~大分などの航路で支援割運賃を実施中。ただし、両社ともインターネットで予約した後、予約センターに電話して全国旅行支援を使用する旨の事前申告が必要なため、利用する場合は忘れないように注意しましょう。
ここで挙げたのはほんの一部ですが、交通費が安く抑えられる場所の中から旅行先を選ぶのもいいかもしれません。せっかくなら1円でも安く抑え、賢く旅を楽しみたいものですね。
<写真・文/高島昌俊>
【高島昌俊】
フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。この冬、貯めたマイルを使い、ビジネスクラス世界一周旅行に挑戦。日刊SPA!にて以前『38万3497円でほぼビジネスクラス世界一周してみた』を連載。