学生時代の嫌な思い出は、なかなか忘れることができませんよね。特に地元を離れない人であれば、卒業後に同級生たちとの関係がこじれてしまうケースも。

屋上ではしゃぐ高校生たち
※イメージです(以下、同じ)
 今回話を聞いたのは、高校時代に同級生の一人からされたあることをきっかけに、地元にいる多くの他の同級生たちとも疎遠になってしまったという女性です。

 関東郊外に暮らす斎藤恵理さん(仮名・33歳)に話を聞きました。

◆幼少期から同じ顔ぶれ…ヤンキー女子と恋敵に

「私が住む市は学区が狭く、中学校と公立高校はそれぞれ3つしかないんです。高校は賢いところ、普通の偏差値、そしてそれ以下の偏差値の学校しかないので、ほとんどは普通クラスの高校に進学します。そのため、幼稚園から高校までほとんどが同じ顔ぶれです。また、ヤンキーになった子がいればすぐに噂が広まってしまいます」

 狭い地元なのでヤンキーの道に走る人はあまりいないと言う恵理さん。そんな恵理さんが学生時代に大嫌いだったというのが、小学校からの同級生であるナオさん(仮名)でした。

「ナオはもともと、少し気が強い女子という印象でしたが、中1のときに両親が離婚してからヤンキーの道へ進んでいきました。私はナオとはそこまで仲良くありませんでしたが、中2のときに起きた出来事をきっかけに険悪になったんです。

 当時、私はクラスメイトの石田くん(仮名)という男の子に片思いをしていました。中学3年に上がるときにクラスが離れたら嫌だなと思い、春休みに告白することに。その結果、石田くんと付き合うことになったのですが、なんとナオも石田くんに片思いをしていたんですよね……」

◆「好きな人を取られた」嫌がらせがスタート

女子高生
 好きな男子を恵理さんに取られたと思ったナオさんは激怒。その日を境に、ナオさんによる恵理さんへの嫌がらせが始まったというのです。

「嫌がらせは私に直接ではなく、私が男好きなどの悪口をまわりに言いふらすことでした。とはいえ、ナオは学校でも浮いていたヤンキーだったので、友達はみんなナオの言うことを適当にあしらっていました。

 嫌がらせは中学卒業まで続き、いよいよ高校へ。私はてっきりナオは偏差値が低い高校へ進むと思っていたんです。でも、私や石田くんと同じ普通クラスの高校に合格したので、すごく驚きましたね。それと同時に、高校に入ってもこの嫌がらせが続くのか……とウンザリしていました」

 恵理さんは温厚な性格でナオさんに悪口をまわりに言われても、反論せずに放っておいたといいます。しかし、高校に入学したナオさんの嫌がらせはさらにエスカレートしていきます。

◆ポーチと財布が盗まれた…犯人は?

赤いメイクポーチとピンクの背景
「高校は割と自由な校風だったので、女子はメイクポーチやブランド物の財布を持っていっていました。私も母に入学祝いで買ってもらったメイクポーチと財布を大切に使っていました。

 そんなある日、ポーチと財布が何者かによって盗まれたんです。財布はお金だけ抜かれて戻ってきましたが、犯人は結局見つからず……。ポーチも見つからなくて、友達にも協力してもらい一緒に探してもらうことにしました。

 すると同級生が『この前、ナオと遊んだときに恵理がなくしたポーチとまったく同じブランドの物を持ってたよ』と言ってきたんです。友達がこっそり撮ってきた写真を見ると、確かに私が盗まれたものと同じポーチが……。汚れている部分も同じで、どう見ても私のものでした」

 恵理さんはナオさんを呼び出して、ポーチのことを問い詰めました。しかし、ナオさんは「知らない」の一点張り。いくら聞いてもしらばっくれられたといいます。

◆ナオを避けた結果、地元の友人と疎遠に

「今だったら先生に言うなどして何かしらの対処をするべきだと思うんですが、当時はそこまで頭が回らなくて。結局、泣く泣くポーチのことは諦めたのですが、その一件以来、ナオのことは大嫌いになりました。それからはナオとは一切関わりを持たずに生きてきました。

 クラスの女子みんなで遊びに行くという話になったときも、ナオが参加すると聞いたので私は不参加。高校を卒業して27歳のときに同窓会の連絡が来たときも、ナオが出席すると聞いて私は欠席しました。他の同級生たちともどんどん疎遠になっていきましたね……」

 しかし同窓会の後、恵理さんは参加した元クラスメイトから思わぬ話を聞くこととなります。

◆ポーチを盗んだことを武勇伝として語っていた

同窓会に来たヤンキー
「ナオは相変わらずヤンキー丸出しで、クラスメイトはみんなドン引きしていたそうです。さらにその後、ナオが私の財布とポーチを盗んだことを武勇伝のように話していたって言うんです。

 話は瞬く間に広まり、ナオは同級生から総スカンを食らうことになりました。さらには当時のナオの旦那にまで広まり、それをきっかけにナオは離婚。今では地元ですっかり孤立してしまったようです」

 同窓会の一件以来、恵理さんには元同級生から心配の連絡が次々と来たそうです。現在、ナオさんのことを誘う人は誰もいないようで、恵理さんは疎遠になっていた同級生とも再会して遊べるようになったといいます。

 ナオさんのせいで学生時代をめちゃくちゃにされてしまった恵理さん。今は失われた青春時代と、疎遠になった友人たちと再会して楽しい地元ライフを送れているようです。

<取材・文/結城 イラスト/やましたともこ>

【結城】

男女観察ライター。鋭い視点で世の男女を観察し、 夫婦問題からイタい火遊びまで、幅広いエピソードを華麗に紡いでいく。Twitter:@yuki55writer