ひんやりとした風が冬の訪れを感じさせる季節。そろそろ次の年のことを考え始める時期ですね。
「2023年はどんな1年にしようかな?」
そんなワクワクした気持ちをノートや手帳に書き出してみてはいかがでしょうか。
毎日が楽しくなる手帳やノート活用術を教えてくれたのは、カリグラフィーアーティストの島野真希さん。手帳の選び方やデジタルと併用したスケジュール管理の仕方、 “書くこと”の魅力についてお話を伺いました。
島野 真希
書家・カリグラファー。幼少期から書道を始め、大学を卒業後、株式会社Plan・Do・Seeに入社。プランナーとして在籍していた頃から筆を持つ仕事に携わる。日本にまだ先駆者がいなかった海外のモダンカリグラフィーに影響を受け、独学で基礎を学ぶ。現在では、テレビ番組の題字や企業、店舗のロゴ、命名書、ウェディングアイテムを手がける、オーダーが絶えない人気アーティストとして活躍している。
用途によって使い分ける2冊のノート
―今日は、島野さんが使っている手帳をお持ちいただきました。普段の使い方を教えていただけますか?
島野:普段から2冊のノートを使い分けています。スケジュール管理をする手帳が1冊とスケジュール帳より詳しい記録を残すノートです。スケジュール帳は仕事、子ども、プライベートの3つの予定をペンの色で分けて書き込んでいます。パッと見て予定がわかるマンスリー手帳がお気に入りですね。
―マンスリー手帳だと、あっという間に隙間がなくなってしまうイメージがありますが、どう使われているのですか?
島野:実は、細かい予定はここに書いていないんです。“時間”と“誰に会うか”くらいしか書いていなくて、場所などの細かい情報はデジタルのカレンダーを使用しています。あとで見返したときに、残しておきたいことしか書かないんです。
例えば、ずっと行きたかったレストランに行く日は、そのレストラン名と時間だけを書く。節目節目で「このときはなにをしていたかな」と振り返りたくなったときに、シンプルな書き込みのほうが月単位での振り返りがしやすいんです。デジタルのカレンダーだと文字が隠れてしまったりして、パッと見でわかりにくいので、手帳も続けています。
世界観が大好きだという『RIFLE PAPER CO.(ライフルペーパー)』のノートは詳細な記録用に使っているそう
―なるほど!自分にとって大切な情報だけを書くんですね。
島野:この手帳に書ききれなかった思い出は、もう1冊のシンプルな罫線入りのノートに書きます。日記に近いものですね。今日感じたことを書いたり、映画や旅行のチケットを貼ったり。他にも叶えたいことを書き出す、ウィッシュリストも。こちらは実用性よりも、楽しさ重視のノートにしています。
最後まで使いきれなくてもいい。まずは気になる手帳を試してみよう
島野さんのポーチの中には、お気に入りの万年筆やカラフルな『フリクション』がたくさん!
―役割によって選ぶ手帳も変わってくるのでしょうか?
島野:そうですね。実用的なスケジュール帳は、必要最低限の情報を残せるマンスリー手帳。書きやすい紙質のものを選びます。ペンは予定の変更があっても、消せるように『フリクション』を使っています。
一方、思い出を書き留めておくノートは、実用性よりもデザインや、そのブランドが持つ世界観が好きかどうかで選んでいます。書いている時間や持ち歩くこと自体にワクワクできるかが大切だと思うんです。
―そろそろ来年の手帳や日記を選び始める読者の方も多いかと思いますが、島野さんおすすめの選び方はありますか?
島野:その人のライフスタイルに合ったものを選ぶのが1番いいと思います。細かい情報を手帳で管理したい人は、1日のスケジュールを30分や1時間といった単位で管理できる、バーチカル手帳がいいかもしれません。バッグが小さい人は、コンパクトで軽量な文庫本サイズのものがおすすめです。
私も長らく手帳に悩む時期があったんですが、いろいろ試していくなかで、いまのスタイルが見つかっていきました。途中で合わないなと思ったら、最後まで使いきれなくてもいいと思うんですよね。
書くことが目標を叶える第一歩。毎年恒例のウィッシュリスト
それぞれの予定を書き込んだら、余白にはイラストなど自分の好きなものでアレンジを入れるとより気分が高まります。
―島野さんが習慣にしている手帳や日記の書き方はありますか?
島野:マンスリー手帳には、毎月余白に“今月のワンワード”を書くようにしています。例えば、今回書いた「Do what you have to do!!」。つまり、「やるべきことをやろう」という意味です。このように自分を鼓舞するような言葉や、忘れたくない目標のようなものを書き込むようにしています。
毎年恒例で書いているのが、ウィッシュリストです。新年になったタイミングで、やりたいことを50〜100個思いつくままに書き出していきます。実現可能かどうかは一旦置いておいて、妄想でもいいからたくさん書くことがポイントかなと。手を動かして書くことで、その夢に一歩近づける感覚があるんです。夢を叶えるためには、小さなアクションを積み重ねることが大切で、私にとってはその第一歩が書くことなんです。
朝は未来のこと、夜はもやもやと向き合う時間
―お仕事や家事、子育てでお忙しいかと思いますが、どのように書く時間を確保していますか?
島野:「必ず毎日書く!」といった決まりは特に設けていないんです。義務になってしまうと続かないなと思っているので。
ただ、好きなのは朝の時間ですね。家族が起きてくる前に自分だけの時間を作って、ウィッシュリストにやりたいことを追加したり、湧いてきた作品のアイデアを書き留めておいたり。太陽の光が差し込む朝は、爽快感があって未来の予定を立てるのに最適な時間だと思っています。
島野さん手作りの旅行ログ。色を使いすぎず、統一感を出すのがデコレーションのこだわりなのだとか。
―日記はいつ書いていますか?
島野:寝る前に書くことが多いです。朝の創造的な時間とは少し違って、寝る前はじっくりと自分に向き合う時間。殴り書きでもいいから、偽りのない自分の気持ちを書いていきます。
―朝と夜でそれぞれ書くことの質感が違うんですね。
島野:モヤモヤと考え事が巡ってしまう日もあると思うんです。だからその気持ちを素直に書き出すことが大切です。あとは、淡々とカリグラフィーの練習をしたりしています。私にとって字を書くことは、ストレス発散になるし、癒しなんです。あまり頭は使わずに、とにかく同じ文字を繰り返し書くことに没頭すると、だんだん気持ちがスッキリしていきます。
書けない日があってもいい。自分のペースで続けることが大切
―日記や手帳を習慣にしたいけど、続かないという悩みをお持ちの方もいると思います。何か続けるコツはありますか?
島野:やっぱり書かなきゃいけないと思うと全然続かないんですよ。自分が楽しいと思えるペースで続けることが大切だし、誰に見せるものでもないので、書かない日があっても、それはそれでその人の味だと思うんです。
最初はスカスカでも、書くこと自体が癒しになったり、振り返ったときに発見があったり。自分にとって、「書いていてよかったな」と思える経験が積み重なっていけば、自然と続けられると思います。
―最後に、改めて手帳や日記を書くことの魅力を教えてください。
島野:デジタルで記録するよりも、ひとつひとつの言葉を噛み締めながら書いている感覚があります。デジタルだと急いで書いてもゆっくり書いても同じ文字で表示されますが、手書きだと筆圧も文字の形も全然違うんです。一瞬一瞬、変化していく自分の気持ちをひと手間かけて残していく。私にとって手帳や日記は、心の鏡のようなものですね。
だからこそ、小さい頃のノートもずっと捨てられないんですよ。時折見返しては、懐かしさと照れ臭さで胸がいっぱいになります。当時の気持ちや思い出がギュッと閉じ込められていますからね。
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便利なデジタルも上手に使いながら、未来に残したい大切な気持ちはアナログ手帳にしたためていく。島野さんの明るく軽やかに夢を叶えていく姿は、書くことの魅力を存分に伝えてくれているように感じました。
「大人かわいい手帳&ノートの書き方 モダンカリグラフィーで毎日が楽しくなる」
著者名:島野真希
出版社名:世界文化社
もっと詳しく手帳活用術を知りたいという方は、島野真希さん(著)の「大人かわいい手帳&ノートの書き方 モダンカリグラフィーで毎日が楽しくなる」をぜひ読んでみてくださいね。参考になるアイデアや、思わず書いてみたくなるようなデザインが見つかるはずです。
11月2日発売の『ESSE(エッセ)』2022年12月号付録に「リサとガスパールのダイアリー手帳(2023)」が登場!
『ESSE(エッセ)』2022年12月号付録「リサとガスパールのダイアリー手帳(2023)」
発売日:11月2日
価格:700円(税込)
出版社:扶桑社
11月2日に発売される『ESSE(エッセ)』2022年12月号付録に「リサとガスパールのダイアリー手帳(2023)」が登場!
ステーショナリーをお気に入りのキャラクターで揃えてみるのも、気分が上がりますよね。今年は“食”をテーマに、リサとガスパールがお菓子やパンで毎日のスケジュールを彩ります。さらにマンスリー以外にも、ウィークごとの予定を書き込める使いやすさにもこだわりが。空いたスペースにはリサとガスパールのイラストを描いてみたり、シールを貼ってみたりと楽しんでみてください♪
来年の手帳に迷っている方や手帳を始めてみようと思った方は、今回の手帳活用術とあわせて、リサとガスパールと一緒に“書くこと”の魅力を感じてみてはいかがでしょうか。