「マイホームを手に入れるための障壁はお金」と思っている人も多いのではないでしょうか。

マイホーム計画
※イメージです(以下、同じ)
 たしかに住宅は高額な買い物なので、お金の問題が発生します。しかし実は、お金以外にも障壁となる要素があるんです。それが「親」の存在。

 今回は、義両親によってマイホーム計画がめちゃくちゃにされたカナエさん(仮名・35歳)に話を聞きました。

◆妊娠を機に、夢のマイホーム計画!

 カナエさんは、28歳で結婚して専業主婦になりました。結婚相手は、いわゆる「亭主関白」「男尊女卑」の家庭で育った男性。

「彼は、頑固で気難しい父親、そして『夫の言うことは絶対』だと思っている母親の元で育ちましたが、母親が苦労している姿を見てきたので『俺は、妻に優しい夫になりたい』とずっと言っていました。実際、付き合っているときもとても優しくて、そんな彼に惹かれて結婚に至りました」

 しかし夫の転勤が続き、カナエさんは心身ともに疲弊。新しい土地に慣れたと思ったらすぐに転勤となるため落ち着くことができず、なかなか子どもを授かれなかったそうです。

 しかし結婚5年目、ついに妊娠! 転校ばかりでは子供がかわいそうだと、夫は転勤のない部署への異動を申し出たところ、その部署でたまたま人員の空きがあったため異動が叶いました。

「転勤のない部署に異動できたので、マイホームの話も出てきました。ずっと『落ち着いた環境で子どもを育てたい』と話していたこともあり、私たち2人にとってマイホームは夢だったんですよね」

◆義実家への報告から帰ってきた、夫の様子が……

「夫の親と同居しない嫁は夫を愛していない!」
「ある程度の貯蓄もあったので、具体的な話を進めようということになりました。マイホームを購入してから報告するのもおかしいと思い、先にお互いの両親にマイホームを購入したいことを報告しようという流れになったんです」

 妊娠中だったカナエさんは、その時期はつわり真っただ中。そこで、まずは夫だけで義両親に報告に行くことになりました。

 しかし、義実家から帰宅した夫は暗い表情で「お前、俺のこと愛してないんだろ?」と問い詰めてきたそうです。

◆義実家で洗脳されて帰ってきた夫

家族に説教をする高齢の男性
 意味もわからずに問い返すカナエさん。すっかり暗くなっている夫に事情を聞いたそうです。

「義父に『夫の実家で同居することを考えられない嫁は、夫のことを愛していない! マイホームなんか買わないで、この家(義実家)を二世帯にリフォームしろ!』など、3時間にわたって説教されたみたいなんです。義母は義父に逆らえないので『お父さんの言う通りよ! 夫を愛していたら、夫の両親と一緒に住みたいと思うわよ!』と賛同して、夫はすっかりアウェー状態だったみたい。3時間も両親からこんなことを言われ続けて、夫もすっかり洗脳されてしまったようです。

 義両親の歪んだ考えと、夫の洗脳された姿に、目の前が真っ白になりました。その時ばかりは、あんなにつらかったつわりが『つわりのほうが楽かも』と思いました……」

◆まだ交渉決裂中のマイホーム問題

 義両親からの攻撃によって洗脳されてしまった夫でしたが、カナエさんが数日間かけてめげずに対話したことで、洗脳から目覚めさせることができたそう。

 しかし夫は「もうあんな目に遭いたくない」と、すっかりマイホーム購入には後ろ向きになってしまったのだとか。

「そうこうしているうちに出産を迎えてしまいました。今も育児に追われているので、義実家と時間をかけて話すことができなくて、マイホームについての交渉ができていません。

 子どもが小学校に入るまでにはマイホームを手に入れたいですが、いつになることやら……。最近では『義父が亡くなれば、マイホームについて文句を言う人がいなくなる』なんて、よからぬ考えをしてしまいます」

 そう、悲しげな表情で話すカナエさん。愛する夫と子どもとマイホームで暮らせる日を、今日も夢見ているそうです。

<文/nami イラスト/ただりえこ>

【nami】

3人の子をもつママライター