さまざまなハラスメントが社会問題として話題になっている今、自分が被害にあった時、だれに相談すればいいのか、どこからがハラスメントと呼ばれるのかがわからず頭を悩ませている方も多いようです。そんなお悩みに弁護士、齋藤健博さんがお答え。今回は、予定されていた休業補償がなくなり、退職まで迫られている女性の話です。
Q. 6割を予定していた休業補償がなくなり、さらには退職まで…
コロナの関係で4月からお店が休業中です。
はじめは休業補償を6割払うと言われていたのですが、給料日間近になって「休業中は支払わない」といった連絡と合わせて書類が届きました。
内容を確認すると、無給であることに同意を得られないのであれば、退職希望者として手続きを行うといった内容でした。最悪給料が支払われないのは理解できるとしても、退職を勧めることはパワハラのように思います。このような厳しい状況下では仕方のないことなのでしょうか…?(YUI/25歳/サービス業)
A. 退職勧奨を超えた、退職の強要の可能性も!
YUIさんのサービス業は、とくに今回のコロナの関係で打撃を受けてしまった業界だと思います。4月からお店が休業中になり、この間の従業員への福利厚生は、実は流動的なところがあります。
理由は、その後店側が倒産などに至ることは共倒れになってしまい、長期的なスパンで考えなければならないからです。YUIさんに、はじめは休業補償を6割払うと言われていたのですが、給料日間近になって「休業中は支払わない」といった連絡と合わせて書類が届いたのであれば、その記載内容が特に問題になります。
記載内容は、無給であることに同意を得られないのであれば、退職希望者として手続きを行うといった内容であれば、これは退職勧奨を超えた、退職の強要に至っている局面です。そうすると、これは明確なパワハラに思います。どうしても経営上やむを得ない状況などが記されているのであれば別に考えることはできましょうが、ご指摘のように、通知の記載内容だけの事実をもってして退職を勧めることはパワハラが成立します。諦めないでください。