さまざまなセクハラの中でも、女性にとって特に嫌なのが「セクハラ」。コンプライアンス遵守が叫ばれる中、徐々に減ってきていますが、ほんの数年前はもっと被害に遭う女性も多かったかもしれません…。今回は実録シリーズ「私達の身近な「セクハラ」」から、過去の人気記事を再録します(初公開2017年12月11日、情報は掲載当時のものです)。
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お酒が入るとセクハラ発言やボディタッチが増える男の人、いますよね。
お酒の席で、突然「無言タッチ」してくるセクハラおじさんに遭遇してしまったら…。
◆飲むと、無理矢理触ったり暴言を吐く男性たち
佐藤茉里さん(仮名・32歳)は毎晩さまざまなセクハラを笑顔で受け流しているといいます。彼女の職場はキャバクラですが、体に触ったりするのはNG。ところがーー。
「無理矢理触られたり暴言吐かれたりすることもありましたけど、それもお給料のうちと思って気にしないようにしています」
客という強い立場を使って、嫌がるスタッフ女性の体に触ったり、罵(ののし)るのはヒドイですね。第一、そんなことはキャバクラのサービスに含まれてませんから…! 佐藤さんの日々の我慢がしのばれます。
◆無言セクハラは事前には防げない
さらに「オラオラとわかりやすくセクハラする人より、静かなのに突然ニュッと手を伸ばしてくる人の方が気持ち悪いですね」と、佐藤さんはいいます。
「お店だけでなく、普通の飲み会やデート中でも、会話の途中でいきなり身体を触られて嫌な思いをすることがあります。そういう人に『やめてください』って怒っても、『おっと、失敬』とニヤニヤするだけで、またすぐやるんですよ。もはや痴漢です。
Hさんという50代くらいの私の指名客も、無言でセクハラするタイプでした。普段は優しい方なんですが、お酒が入るとお触りの連続。他のお客さんと違って、『触らせてよ~』などの前置きがないので、防ぎようがありませんでした」
◆“セクハラゾンビおやじ”に人間の言葉は通じず…
何度注意しても、話の途中で唐突におっぱいをグワシっとわしづかみにするHさん。あまりにひどいので、一度厳しく叱ったそうです。
「そしたら、触る前にひとこと『可愛いよ』『大好きだよ』と言うようになったんです(笑)こちらとしては、全く大差ないんですけど」
どんなに嫌がって払いのけても、「でも大好きだから」「可愛いんだから」と言いながらまた触ろうとしてくるHさん。
「何度倒しても蘇(よみがえ)るゾンビみたいで気持ち悪かったです(苦笑)」と佐藤さんは言います。
「お酒が入っちゃうと、隙を見て触ることしか考えてないから、会話は上の空って感じでした。でも一度だけ『なんでそんなに避けるの? 俺のことどう思ってるか正直に聞かせてよ』って、珍しくこちらに歩み寄ってきたことがあったんです」
普段触られてばかりの佐藤さん。たまっていた鬱憤を晴らします。
◆体に執着はあっても、話す言葉は聞かない
「この人どうせ私の話なんか聞いてないし、いっか! と思って、正直に『ハゲ』って言っちゃったんですよ。そしたら、Hさんが『うんっ!』って返事したんです。やっぱり全然聞いてない!(笑)」
“セクハラゾンビおやじ”ことHさんは全く気にする様子もなく、その後もお店に通い、セクハラし続けたそうです。そこまで女性の体に執着がありながら、なぜ風俗に行かないのか、謎です。
余談ですが、筆者もこういうタイプの人と飲み会で遭遇したことがあります。密着されたり触られたりするのが嫌で何度も席替えしたのに、その度にフラフラついてきて隣に座るので、捨てても帰ってくる呪いの人形みたいで怖かったです。
◆プロが教える!飲み会でのセクハラ退避術
無言タッチしてくるおじさんへの対処方法を、佐藤さんに聞いてみました。
「どんなに怒っても効かないので、周りの人に相談してその人が近寄らないように協力してもらうのがいいと思います。あとは、とにかく離れて、その人の手が届かない場所にいるしかないですね」
迷惑な無言タッチおじさん。もし遭遇してしまったら、周りを味方につけて距離を置きましょう!
―私達の身近な「セクハラ」―
<TEXT/藍川じゅん イラスト/鈴木詩子>
【藍川じゅん】
80年生。フリーライター。ハンドルネームは永田王。著作に『女の性欲解消日記』(eロマンス新書)など。