すっかり秋のイベントとして定着したハロウィン。子どもたちが仮装して「トリック・オア・トリート!」といろんなお宅にお菓子をもらいに行く地域もあるようです。
ですが、実際にお菓子をもらいに来られると、結構大変なようです。
◆ハロウィンにはしゃぐ息子
森田さと子さん(35歳・主婦)の息子が小学4年生の頃。ハロウィンの日は学校で仮装イベントがあったようで、楽しんで帰ってきました。
学校でのハロウィンタイムの話を聞きながら夜ごはんを食べていた森田さん親子。すると突然、学校の友達から電話がかかってきました。
今からハロウィンの仮装をして、みんなのおうちに「トリック・オア・トリート」をしに行こうというお誘い。
「小学生にとっては、子どもだけで夜の外出はワクワクするものですよね。急なお誘いではあったものの、行きたいという子どもの意見を取り入れて、行かせることにしました」と森田さん。
一緒に行くのは、クラスメイトの7人ほど。嬉しそうに出かけていく姿を見送り、ほっとひと息。ですがその後、あることに気づきます。
◆困った!家にお菓子がない!!!
「うちの子が『トリック・オア・トリート』に参加するということは、当然うちにもお菓子をねだりに来るはず。けれど、お菓子を食べる習慣がない我が家には、子どもにあげるようなお菓子がないのです。しかも7人分!どうしよう!とパニックになりました」
森田さん自身が甘いものを好きではない上、お子さんも焼き菓子やチョコをあまり食べず、おやつはフルーツやゼリーがメイン。子どもに配れる“お菓子らしいお菓子”が全くなかったのです。
「今すぐコンビニにお菓子を買いに行こうかと思いましたが、7人のおうちを順番に回るといってもご近所だけ。おそらく10分くらいで我が家に来てしまうので、間に合わないと思いました」
◆子どもたちに配った、和風なギフトとは?
なにか子どもに配れるものはないか必死で考えた森田さん。キッチンを探して思いついたのは、純和風なモノでした。
「当時息子は、小腹がすくとよく“おもち”を焼いて食べていました。なので個包装の切り餅がたくさんあったんです。配るならこれしかない…と思いました。もうひとつ、息子はフルーツが大好きなので、早生(わせ)みかんが買ってあるのを思い出し、これなら7個ある!と思いつきました」
お餅にみかんとは、どこから見ても“お菓子”とは呼べないけれど、背に腹は代えられません。どう考えても和風なものを、なんとかハロウィン風にできないか、と知恵を絞った森田さんは、ある工夫をします。
◆袋に顔を書いてハロウィンっぽさを演出
「さすがにお餅とみかんをそのまま渡すのは和風すぎると思ったので、個包装のお餅とみかんに油性マジックで『ジャック・オー・ランタン』の顔を描いたんです。そして少しかわいいジップロックに入れて、慌てて7人分作りました。あげられるものはこれしかなく、とにかく時間がないので、頑張って描きました」
7人分の、お餅とみかんのセットが出来上がった瞬間、ピンポーンとインターホンが鳴り、無事みんなの「トリック・オア・トリート」に間に合ったそう。
◆子ども達には大ウケ
「あとから子どもに聞いてみると、子どもたちには新鮮に映ったようで、意外とお友達には好評だったようです。確かに、ハロウィンにお餅とみかんを配る家はないですよね。お正月じゃあるまいし(笑)」
◆翌年はお菓子を買ったけど…
一風変わったアイデアで「トリック・オア・トリート」を切り抜けた森田さんですが、翌年はそんな危機に陥らないよう準備したといいます。
「もう慌てるのも嫌ですし、お餅とみかんを配るのはやめようと思ったので、次の年はハロウィンに備えて配れるようにお菓子を買っておきました。なのに、子どもたちは5年生になり、ハロウィンが子どもっぽく感じるようになってしまったようで…。『トリック・オア・トリート』のお誘いもありませんでした」
家には、個包装のお菓子がたくさん残ってしまい、なかなか減らずに困ったそうです。
◆今では懐かしい思い出
「子どもって急に思い付きで行動するので、振り回されっぱなしです。今では懐かしいあのときのハロウィン、とっさの思い付きでお餅とみかんを配ったのは我ながらいいアイデアだったなと思いました(笑)」
コロナで下火になったハロウィンのお家めぐりも、そろそろ再開されるかもしれません。小さなお子さんがいるおうちは、突然の「トリック・オア・トリート」に備えて、お菓子を買っておいた方がいいかも?
<文/塩辛いか乃>
【塩辛いか乃】
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako