人間関係に「金の切れ目が縁の切れ目」になることは大いにありますが、それは恋愛においても例外ではないようです。

お財布を持つ女性
※イメージです(以下、同じ)
 長屋理子さん(仮名・30歳)は転職後、事あるごとに「立て替え」を要求するようになった彼氏に困惑。悩んだ挙句、これまで立て替えたお金を請求したところ、衝撃的な言葉を言われ、唖然としてしまいました。

◆出会った当初は「おごらせてよ」が口癖

 理子さんは、マッチングアプリを通じて同い年の男性と交際するように。彼がデートの際にチョイスするのは、いつもオシャレなお店。共に食べることが好きだった2人は、新しいお店を開拓するデートを楽しむようになりました。

「毎回、デートの時には必ずコース料理を予約してくれ、お金を出してくれました。たまに払わせてよと言うと『デート代くらいおごらせてよ』と言ってくれ、食後のカフェ代も一切、私に出させようとしませんでした」

 食事代だけでなく、ホテル代や旅行代なども、すべて彼持ち。友達に彼のことを話し「いい人捕まえたね」と言われるたびに、理子さんは優越感に浸っていました。

「お金がすべてじゃないけれど、金銭的に余裕があって、出し渋らない人とだったら将来的に安心だなと。自分でも、いい人を捕まえたなあと思っていましたね」

◆彼氏が転職。給料減も、支え合えればと思っていた

笑顔のカップル
 しかし、交際開始から7ヶ月ほど経ったある日。彼氏が深刻な顔をして「転職しようと思ってる」と告げてきました。

「聞けば、上司が変わり、毎日、仕事の出来に関して嫌味を言われるようになったようで。IT業界に勤めていたのですが、激務でもあったため、まったく違う業界への転職を考えていると言われました」

 辛い思いをしてまで、今の職場で働くことはない。そう思い、理子さんは転職に賛成。その言葉に背中を押されたのか、彼は1ヶ月後に製造業界へ転職しました。

「チラっと、給料がだいぶ下がったという話をされたのですが、さほど気にしていませんでした。私も働いているので、もし将来、一緒になるのなら支え合えばいいしなあと思っていました」

◆デート代を立て替えることが当たり前に

女性が支払う
 しかし、転職から2ヶ月ほど経つと、彼の態度に変化が。これまで気前よく払ってくれていたデート代を「割り勘にしよう」と提案されました。理子さんは驚いたものの、金銭的に苦しいのかもしれないと思い、彼の意見を受け入れることに。

 ところが、それから2週間後のデート時、彼は「お金が厳しいから、ここは立て替えてほしい。今後ちゃんと返すから」と懇願。そういう時もあるだろうと思い、理子さんがお金を立て替えると、以降、デートのたびに「今日も立て替えてほしい」と口にするようになりました。

「いつ返してくれるのかと聞くと、給料が入る月末には必ずって言うのですが、月末のデートは毎回ドタキャンされるようになって……。次に会うと『家賃とか公共料金の支払いでいっぱいいっぱいで……』とか『同僚と付き合いで飯行って、金欠』とか言い訳をされて、全然返してもらえませんでした」

◆旅行代も立て替え要求…逆ギレされて破局

 モヤモヤはあったものの、気前がよかった彼の態度を知っていた理子さんは、本当にお金に余裕がないのかも……と自分に言い聞かせ、彼との交際を継続。

 しかし、ある日、彼が発した無神経な言葉で怒りが爆発してしまいました。それは長期連休前のこと。

「旅行行きたいねと言われたので、どこ行こうかとか2人で計画していたのですが、行先や日程など、大まかな予定が決まった後に『旅行代も立て替えてくれる?』と言われました」

 自分から誘っておいて、それはないだろう。そう思った理子さんは怒り、これまで立て替えたお金を返してほしいと要求しました。すると、彼はなぜか逆ギレ。

「転職前、デートの度においしいもの食べさせてやってたのに恩を仇で返す人間なんだね! そんな細かい人と将来なんて考えられないから、別れよう」と、一方的に別れを告げられました。

「まさかフラれると思っていなかったので、びっくりしました。本当に金銭的に厳しかったのかも……とか、私の心が狭いのかなとか考えましたが、その後、友達のインスタを見て、背筋が凍りました」

◆友達と“結婚前提”で浮気されていたことが判明

 そこに写っていたのは、なんと友達と彼が仲良く手を繋ぐ姿。写真には「結婚前提に付き合うことになりました」との文字が刻まれていました。

「後で別の友達から聞いて分かったんですが、私の友達を彼に紹介した時、お互いにいいなと思うようになって、こっそり連絡を取り合うようになったみたいです。転職話も真っ赤な嘘。単に、私に使うお金を減らす口実が欲しかっただけでした」

 お金だけでなく、大切な人もなくした、理子さん。その心の傷が癒えるには、まだ時間がかかりそうです。

<取材・文/古川諭香>

【古川諭香】

愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291