こんにちは。恋愛婚活コンサルタントの菊乃です。
婚活をして1年たつけれどもうまくいかないということでご相談にきた舞さん(仮名・30歳)は、今までに一度も彼氏がいたことがありません。
「恋バナとかには興味がないけれど、自分は平均的な普通の女子」だと思っていた彼女。普通なのだから、普通に結婚ぐらいするだろうと。
でも、20代後半に差し掛かっても結婚以前に彼氏ができる気配すらない。コロナのせいとも言っていられなくなり、婚活でもすれば自分にも彼氏ぐらいできるだろうとPairs(ペアーズ/有名マッチングアプリ)を始めました。
◆恋愛経験なしの30歳女性が選んだ男性は
10人前後の男性に会ったものの、いいなと思う人には会えませんでした。
「初デートなのに3時間も拘束されたり、シワシワの服で来た清潔感がない人だったり…デートの約束を直前で何度も変更してくる男性もいました」
断ってばかりいたそうですが、私のブログを読んで「自分に恋愛経験がないから知らないだけで、男性ってそういうものなのかな」とも思ったそうで、次の男性は試しに2回会ってみようと思った舞さん。
ある男性と会って「いいなとまでは思わないけれど嫌でもない」と感じたそうです。彼だけがカフェで「何にしますか? ゆっくり選んでくださいね」と言ったとか。
その男性と2回目デートの約束をしました。決まった日程は初デートから3週間後です。
◆「彼と会うのはやめたほうがいい」と伝えた理由
その彼のプロフィールを見せてもらいました。爽やかそうな笑顔の写真で、スペックは「31歳・年収600~800万円・大阪大学卒・公務員」でした。
対して舞さんは、某私立女子大卒で年収380万円・実家暮らしです。
男性と舞さんは、果たして釣り合っているのでしょうか。
こういう時に、騙されていると本人に伝えるのは本当に心苦しいです。
「言いにくいけど、その人と会うのは止めた方がいいよ」
◆公務員だから真面目、という恐ろしい思い込みなぜ私が、舞さんはその彼と会わないほうがいいと思ったのか。その理由について話しました。
「今まで会った男性の中で、彼は一番年収とか学歴とか高くない?」
「他にも慶応大卒とか学習院卒の人がいましたよ」
「外見や他のプロフィールも含めて比べてみよう。総合的に見て、条件が良すぎない?」
「いいかもしれません。家が恵比寿だったと思います」
話だけを聞いても、彼のプロフィールが嘘か本当かはわかりません。でも一つはっきり言えることがあります。
「ごめんね。彼の条件が本当だとしたら、舞さんとは釣り合っていないの」
もちろん身分が違うとか、そんな話ではありません。
◆公務員だから真面目、という恐ろしい思い込み「舞さんの小学校時代の同級生の中で、阪大みたいな旧帝大に進学した人ってクラスにどれぐらいいる?」
「あんまり覚えてないですが、かなり成績いい人ですよね」
「ですよね。舞さんの同級生で年収600万円以上の人いる?」
「年収の話はしないから…でも、不動産屋で営業やっている人は年収が高いかもしれないです」
私は舞さんに、「彼は今まで周りにいなかったぐらい、飛び抜けて条件がいい人だと思わない?」と尋ねました。
「ほんとですね」
「彼が普通じゃないんですよ。外見もそうで、清潔感があって爽やかってかなり人気がある部類だから」
「そうなんですか! 公務員だし真面目だと思ってました」
「公務員だから真面目ってことないから」
土日休み同士なのに次のデートが3週間後というのは、他の女性と会いまくってると思います。それに、まず公務員というのが本当かも怪しい。それを舞さんに伝えると…「でも、仕事で忙しいって言ってたし」と、すぐには受け入れがたい様子です。
「そりゃ他の女性とデートとは言わないですよ。カフェで『ゆっくり選んでくださいね』なんて、かなり女慣れしているから出てくる言葉だよ。他に誰も言わなかったでしょう」
「たしかに…そうですね」
◆舞さんはよく見ると、顔の産毛、口ひげがびっしり…
私が舞さんが騙されていると思う原因は、スペックの差以外にもありました。時おりマスクを外して水を飲む舞さんの口元は、産毛が濡れて光っていました。うつむいた時に、おでこの産毛もふさふさしているのが見えてしまいます。
よくうねる前髪は、たまに自分で切っているそう。毛の話ばかりで恐縮ですが、腕の毛もつまめそうなほど長かったです。
流行のパフスリーブの服を着て、人気ランキング1位のコスメを持っている舞さん。けれど手入れが行き届いていない、もっさりしている外見なのです。一応、社会人としての身だしなみとしての化粧はしているので、職場でだらしないと指摘されるほどではないけれど、外見ははっきり言って「普通以下」なのです。
◆見ちがえるような“大変身”と、初めての彼氏
「今の状況を変えたい」と相談に来てくれた舞さんですから、私も当然本気で向き合います。まず顔の毛は剃り、メイクとヘアセットも習うようにお伝えしました。その夜、顔の毛を剃った舞さんから「化粧水がめちゃくちゃしみこみます」と感想が届きました。
メイクを習って、自分で髪を切るのをやめて髪の毛もブローするようになり、彼女はあっという間に見ちがえました。もともと若干毛深いほうなのかもしれませんが、その分まつ毛も濃くて長いんです。根本からビューラーで上げてマスカラを塗ると、目鼻立ちのはっきりした美女になりました。
同僚からも「きれいになった」と褒められることが増え、1年婚活して苦戦したのに、同僚の紹介で彼氏ができてしまったのです。
「彼氏には今まで2人彼女がいたそうです。私が誰とも付き合ったことがないと知るとびっくりされて、大事にすると言われました」
自分で鏡を見るときは正面からしか見ない人が多いので、産毛は気が付きにくいかもしれません。でも、他人はいろんな角度から見るので、顔の毛が長いのは見えています。自分で剃るのが怖いなら、「レディースシェービング」で検索してサロンで剃ってもらうと良いでしょう。
◆本物の清らかで飾り気のない女性たちは「マジで飾ってない」「普通」を見誤るのは、舞さんのような女性に限った話ではありません。
男性の思う「清楚な普通の女性」も、実はかなりズレています。
多くの男性は、髪の毛がつやつやしていて、手足に体毛がない女性が「普通」だと思うでしょう。個人差は大きいと思いますが、生後30年以上の人間の毛髪が手入れなしでツヤが出るはずがありません。つやつやの髪もすべすべお肌も、努力の産物なのです。
清楚という言葉の意味を調べると「飾り気がなく清らかなこと」と出てきます。私は仕事上、恋愛経験がない女性とよく会うのですが、文字通り本来の意味で清らかで飾り気のない女性たちは「マジで飾ってない」。
服の毛玉、ほつれもそのままだし、コンシーラーで消した方がいいほうれい線もクマもシミも消さず、ありのままなのです。
男性は彼女たちと会っても生物学的に女性だとは認識するでしょうけれど、異性と一緒にいるドキドキした気分にはなりにくいでしょう。
◆本物の「ピュアな人」同士は出会わないという悲しい現実それなのに、同レベルの男性に会うと、男性に対しては「服がシワシワ」と平気で言うのです。
仕方がないと思います。こういう「マジで飾っていない」人たちは存在感が薄いので、たくさんいるけれど可視化されないのです。そんな風に今まで存在を意識しないできた異性とも、婚活の場では1対1で会います。
女性の実態を知らないピュアな男性の思う清楚系女性は、ただのファッション清楚。そして、恋愛経験のないピュア女性の思う清潔感がある爽やか男性は、女慣れしたチャラ男です。
ピュアな人たちが自分の立ち位置を知り、釣り合う人とくっつくのならよいのですが、ピュア同士は悲しいかな、見事にすれ違ってしまうのです。
※個人が特定されないよう一部脚色してあります。
<取材・文/菊乃>
【菊乃】
恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt