コロナ禍で密を避けられ、大自然に癒される、キャンプやグランピングなどのアウトドアが大流行。秋は気候もよく、アウトドアにうってつけの季節です。
とはいえ、バーベキューなどアウトドアグルメは、片付けが面倒など難点もあって少し面倒。誰かが全部やってくれればいいのに…と思うこともありますよね。
今回お話を聞いた斉藤ゆりさん(30代・会社員)は、「料理や片付けなど面倒なことは一切やらなくてよい、らくちんアウトドア」に惹かれて、大変な目に遭遇したそうです。
◆同僚から合コンキャンプのお誘い
「アウトドアに興味はあったけれど、テントの設営やアウトドアクッキングなど、ちょっと面倒くさいかな?と思うことが多いし、一緒に行く人もいなかったので、キャンプは未経験でした。そんなときに会社の同僚からお誘いがありました」
そのお誘いとは、“合コンキャンプ”。
斉藤さんの同僚が、アウトドア好きの男性と知り合いになり、グループでキャンプに行こうという話になったそう。男性だけではつまらないので一緒に行ってくれる女性を探していたようで、テント設営やアウトドアグルメなどは、全部男性陣がやってくれるという話でした。
◆お酒を飲んで盛り上がるキャンプ
「アウトドアに詳しい男性が一緒で、何もしなくてよいなら行ってみようかなと思いました。合コン自体にはあまり興味がなかったのですが、アウトドアをお手軽に楽しむにはちょうどいいと思いました」
出発当日、自宅近くまで車で迎えに来てくれた男性陣。男女3人ずつの6人グループで出発。楽しい雰囲気の中ドライブし、キャンプ場に到着。約束通り、手際よく男性陣がテントを設営し、バーベキューの準備や、アウトドアグルメの支度をしてくれたそう。
「アウトドア好きの男性たちが手際よくお料理をしてくれて、わたしたちは椅子に座っておしゃべりしながらお酒を飲んで、美味しいごはんを食べているだけでよかったので、とても楽しかったです(笑)。バーベキューはもちろん、イタリアンまで出てきて、どれも美味しくて。すっかり酔っぱらって上機嫌でした」
けれど、楽しい思い出ばかりとはいかなかったようです。
◆用意されたテントは1つだけ
「キャンプ場という開放感のある場所で、美味しい料理の接待を受けて楽しかったのですが、さあ寝ようとなったときに問題が起きました」
キャンプ未経験者の斉藤さん。人任せにしていたので、テントの広さや数はあまり気に留めていなかったのですが、いざ就寝となったときに、テントの数が異常に少ないことに気づいたそうです。
「男女6人いるのに、テントがひとつだけ。男女別に寝るものと思い込んでいたのですが、全員雑魚寝の設定だと気づきました。時すでに遅し、帰るわけにもいかず、そのまま同じテントで寝るはめになりました」
◆モゾモゾ近づく男性…眠れない夜
初対面の男性たちと一緒のテントに寝るとなると、スッピンも見せられないし、お化粧も落とせなかったと斉藤さん。仕方なくそのまま寝袋に入りましたが、男性陣のギラギラした空気感で眠るどころではなかったとか。
「すべてを男性まかせにした私たちにも落ち度がありますし、怒るわけにもいかず、『何もしないでよ!』と言いながら横になりました。ですが電気を消してしばらくすると、モゾモゾと男性陣が近づいてきて、それを冗談ぽく避けて遠ざけ、またしばらくすると近づいてきて、避けて…を繰り返し、結局ロクに眠れませんでした」
◆美味しい話にはウラがある
手間をかけずにアウトドアを楽しめるなら、と気軽に誘いに乗ってみたものの、遠方で逃げ場がないキャンプ場での合コンはさすがに危険を感じ、浅はかだったと痛感したそう。
「ただラクをしてキャンプを楽しみたいという気持ちでしたが、男性が何の下心もなしにあれこれ接待してくれるはずないなと…。強引でない男性たちで助かりましたが、振り返ってみれば結構危険な誘いに乗ってしまったなと思い、反省しています」
美味しい話にはウラがある、と痛感したという斉藤さん。最近は、自分も積極的に参加する、健全なアウトドアを楽しんでいるそうです。
◆手をかけるからこその楽しさに気づいた
「現在は本当にアウトドアを楽しみたい仲間と、焚き火やアウトドアクッキングを楽しむようになりました。あえて手をかけるからこその楽しさを味わっています。やっぱり自分だけラクしようとすると、ロクな目に遭わないですね(苦笑)」
―シリーズ「秋のトホホ」―
<文/塩辛いか乃>
【塩辛いか乃】
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako