個人差はあると思いますが、若いころにギャルだった女性は決して少なくありません。その多くは成長ととともに普通の大人の女性へと変わっていきますが、それでもパートナーや親しい友達など身近な人には昔の姿をかいま見せてしまうことも。

egg
一世を風靡したギャル雑誌『egg』(1995~2014)。画像は末期の2011年8月号
 3年前に2歳年下の奈々枝さん(仮名・30歳)と結婚した上沢昌也さん(仮名・32歳)も妻が元ギャルだと感じることが多々あると言います。

◆本家とは明らかに使い方が違う「ヤレばデキる!」

「今は娘もいるのですっかり大人しくなっていますが、以前は見た目はフツーなのに中身が完全にギャル。知り合ったときから本人はまったく隠す様子がなく、『スベらない話』のような感覚で当時のエピソードをよく話していました。パッと見は知的な雰囲気をただよわせているため、最初はあまりのギャップに面食らっちゃいましたけどね」

 結婚した当初、しばらくは2人きりの生活と将来のための貯金を優先させようと話し合っていましたが、その後のコロナ禍で予定を変更。外出を控え、家に籠ることが増えたため、「外に遊びにも行けないし、もう子供作っちゃおうか?」と彼女のほうから提案されたといいます。

「僕も同じことを考えていたので異論はなく、20年の夏ごろから本格的に妊活を始めました。彼女は凝り性なところがあり、ネットで女性は葉酸、男性は亜鉛を多めに摂取するのがいいことを知ると、それが多く含まれた食材をやたらと買うようになり、食卓のメニューが一変。料理上手なので全然不満はなかったですけど、あのときは妻の妊活に賭ける本気度を感じました(笑)」

 しかし、妻の奈々枝さんは恥ずかしがり屋の一面があり、交際中のころからいいムードになりかけると自ら冗談を飛ばして場の雰囲気を壊すことがあったとか。それは妊活中も変わらず、寝室でこれから夫婦の営みを始めようとした際、彼女の口から飛び出したのは両腕でガッツポーズを取りながらの「ヤレばデキる!」の一言。

 ちなみにこれは今年プロ野球独立リーグの選手になったことでも話題になったお笑いコンビ「ティモンディ」の高岸宏行さんの決めゼリフ。予想外の展開に昌也さんも思わずポカーンとしてしまいます。

「しかも、『“ヤレ”と“デキ”の部分はカタカナの妊活バージョンだから!』と丁寧な解説付き。当時、ティモンディはすでにブレイクし始めていて、妻のお気に入りの芸人でしたがまさかここで彼らのネタをぶっ込んでくるとは思いませんでした。僕も彼らと同じ元高校球児で個人的に好きな芸人だったから思わずベッドの上で大笑い。不覚にも『使い方が違うって!』と返してしまいました(笑)」

 そんな彼からのツッコミが嬉しかったのか、奈々枝さんは満面の笑みを浮かべていたとのこと。しかも、すっかり気に入ったらしく、行為のたびに何度も同じセリフを口にしたそうです。

「普通はこんな言葉が出てきた時点でそういう雰囲気ではなくなるじゃないですか。毎回そのたびに気持ちを奮い立たせていた自分を褒めてやりたいですよ」

元ギャルの妊活
◆言霊効果?半年も経たないうちに妊娠が発覚

 そうボヤきながらも頑張った甲斐があったようで妊活開始から半年も経たないうちに妊娠が発覚。彼女の言葉は現実のものとなります。

「こんなにすぐできるとは思わなかったから嬉しかったですけど、妻は『だから言ったじゃん』ってドヤ顔がスゴかったですね。

 後日、気になって聞いてみると、今も仲のいいギャル時代の友達との間でティモンディが人気らしく、みんな同じ時期に結婚したことから『これを合言葉にウチらも妊活に励もう!』ってことになったそうです。これだけ聞くとなんかバカっぽいですが、友達2人も同じ年に妊娠したそうなので侮れないなって思いましたね」

保育園・幼稚園イメージ ママ友
写真はイメージです
◆2人目を作る際にもこの言葉が飛び出すのではと夫は戦々恐々?

 昌也さんたち夫婦にとっては子宝を授かるパワーワードになったようです。ただし、世の中には不妊で悩む女性も多く、軽々しく言える言葉ではありません。

「妻も『そんなの当たり前じゃん』と分別はわきまえている様子でした。あくまで昔からの友達限定で言ってるだけで、子供ができずに悩んでいたギャル時代の仲間からは『悩んでるのがバカらしくなった』って逆に感謝されたって。

 ウチも子供がもう少し大きくなって2人目を作ろうかって話をしているため、近い将来『ヤレばデキる!』ってまた言い出すかもしれません。期待半分、残り半分はちょっと怖いですけど(苦笑)」

 ティモンディの2人もこんな意味で妊活中の夫婦に使われるとは思ってもいなかったでしょうね。

―シリーズ「ヤンキー・ギャル・コギャル」―

<文/トシタカマサ イラスト/やましたともこ>

【トシタカマサ】

一般男女のスカッと話やトンデモエピソードが大好物で、日夜収集に励んでいる。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。