いまや、離婚歴があることは珍しいことではありません。いいなと思った男性がバツイチだった、というケースも少なくないでしょう。
バツイチ男性と恋をする上では離婚理由だけでなく、子どもがいるかどうかも知っておきたいもの。親権が母親にあり、月に何度か面会をしている場合は、必要なことだと分かってはいても、モヤモヤしてしまうこともあるかもしれません。
しかし、加納寛子さん(仮名・30歳)は逆に、我が子を大切に思わないバツイチ男性の言葉にドン引きしてしまいました。
◆大人の余裕があるバツイチ男性と付き合いたかった
1年前、寛子さんは上司との不倫関係にピリオドを打ち、今度こそ、まともな恋をしようとマッチングアプリを利用。さまざまな男性と何度かデートをし、婚活に励んでいました。
しかし、デートを重ねるたび、悶々とした気持ちに……。
「不倫相手だった上司には大人の余裕がみたいなものがありました。それは結婚経験があり、他に奥さんという本命の女性がいたからだと思うのですが、マッチングアプリで出会った人と彼を比較してしまって……。デートした未婚男性たちはみんな余裕がなくて、いっぱいいっぱいだったので子どもっぽい、かっこ悪いと思ってしまったんです」
もっとスマートにエスコートしてくれる人と付き合いたい。大人の余裕がある彼氏が欲しい。そう考えた寛子さんは、バツイチ男性に目をつけました。
「結婚経験がある人なら女性の扱い方を知っているので、余裕があるんじゃないかと思いました。それに、バツイチ男性なら競争率が低そうなので、マッチングしやすいかもしれないなと」
◆思いやりのあるバツイチの彼に惹かれていった
そんなある日、4歳上のバツイチ男性・弘樹さんから「いいね」が。
「彼は童顔で、子犬系男子っていう感じ。いつまでも恋人同士みたいな関係でいたかったけれど、子どもが生まれた後、奥さんがキスやハグをするのを嫌がるようになって、離婚したそうです。親権は元奥さんにあり、彼は子どもと2ヶ月に一度、面会していました」
正直、寛子さんはワイルドな見た目の男性が好きだったため、はじめは恋愛対象ではないかも……と感じたそうです。しかし、「せっかく気に入ってくれたのだから」と思い、連絡を取ることに。その中で、弘樹さんの温かさと大人の余裕に触れ、心が動きました。
「他の男性は私が返事をしなかったら、『なにしてるの?』とか『寂しいよ』とか自分の感情を軸にしたトークを送ってきましたが、彼は『疲れてるんだね。ゆっくり休んでね』や『つらいことや愚痴がもしあれば、聞くから話してね』と私を思いやるトークをくれました。それが、余裕があるからこそできる大人の気遣いに感じて、だんだん惹かれていくようになったんです」
◆バツイチ男性と交際も、子供の存在が気になる
やがて、彼から「結婚を前提に付き合ってほしい」との告白を受け、気持ちは舞い上がりました。しかし、寛子さんには気になっていることが。それは、子どもの存在。
もし、彼と結婚することになったら、子どもに面会しにいく彼を笑顔で送り出さなければいけないし、家計が苦しくなっても養育費は払い続けなければならない。私はそれを心から理解し、納得できるだろうか……。
憧れていたバツイチ男性との交際が目前に迫るにつれ、寛子さんの胸には、そんな思いがこみ上げてくるようになったのです。
彼はいったい、私とどんな風に付き合い、別居している我が子とはどんなふうに関わっていきたいと考えているんだろう。そう思った寛子さんは、疑問に思っていることを彼に尋ねることにしました。
◆彼に正直な気持ちを吐露してみた
「もし私と付き合ったら、弘樹さんは今後、お子さんとどんな風に関わっていきたいと思いますか?」そう尋ねると、弘樹さんは「今みたいに2ヶ月に一度は面会をして、18歳になるまでは養育費を払い続けていきたいと思ってるよ」と返答。
続けて「寛子さんは、どう思う? 僕が元奥さんとの子どもに会うの、嫌だ?」と質問してきました。
そこで、寛子さんは自分の気持ちを素直に吐露。大切なことだとは分かっているけれど、モヤモヤしてしまうかもしれないことや、家計が苦しくなったときの養育費の支払いが心配なことを伝えました。
すると、次の瞬間、弘樹さんから信じられない返答が。
◆「養育費払うの止める」我が子を軽んじる発言にドン引き
「だったら、交際後は子どもに会わないから大丈夫だよ。所詮、血が繋がっているだけの存在だしね。公正証書を作ってないから、養育費は寛子さんと付き合ったら、払うのを止めるよ」
その言葉を聞き、彼への恋心が冷めていきました。
「知り合って間もない女の一言で、血を分けた存在を切り捨てられるんだなと。矛盾しているかもしれませんが、私が何を言っても子どもを大切にする気持ちだけは揺らがないかっこよさ、優しさがあってほしかったです」
寛子さんは、その想いをそのまま彼に伝え、交際を断りました。そして、自分にはバツイチ男性を受け止める器がないとも感じたため、その後は未婚男性と積極的にマッチングするように。その中で、「かっこ悪い」と感じていた未婚男性の力む姿を、真剣さの裏返しだと捉えられるようになったそう。
この週末は、マッチングした未婚男性と4回目のデートです。そう話す寛子さんの体験談を知ると、恋愛における自分の“揺るがない基準”について改めて考えたくもなりますね。
<取材・文/古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291