2020年のキャンペーン期間中には延べ8781万人が利用した「Go Toトラベル」。当初、政府は期間を延長する方針でしたが、新型コロナウイルスの影響により中止。あれから約1年10か月、Go Toトラベルに代わる新たなキャンペーン「全国旅行支援」が10月11日からスタートしました。

秋の京都 南禅寺 三門
写真はイメージです
 宿泊料金の割引のほか、現地の飲食店などで利用できる地域クーポンが付与されるのはGo Toトラベルと同じですが、割引率などは異なります。この機会に「全国旅行支援で旅行しよう」と計画している人も多いはず。そこで今回は、キャンペーンの気になる中身、そして覚えておきたいお得な利用法について紹介したいと思います。

 全国旅行支援を使用した場合、旅行代金は1人あたり最大40%オフ。割引金額の上限は公共交通機関+ホテルがセットになった旅行商品が8000円、宿泊のみが5000円です。これはGo Toトラベルの35%オフよりも割引率は高いですが、上限額はいずれも抑えられています。

地域クーポン
地域クーポン(ほっかいどう応援クーポン)
 そして、これとは別に地域クーポンが付いてきますが、こちらは平日が3000円なのに対して休日は1000円。旅行代金の15%相当額(上限6000円)だったGo Toトラベルとは大きく変更されていますが、例えば平日1泊5000円の宿であれば「40%(2000円)割引+3000円の地域クーポン」で“実質0円”も実現可能です。

 以上の点を踏まえたうえで、覚えておきたい全国旅行支援のウラ技もいくつかあります。

◆1. 1人2万円以下の旅行商品か、1泊1万2500円以下の宿にする

 大手旅行サイトで申し込んだ場合、予約時に最大40%の全国旅行支援割引が自動的に適用されるところが多いですが、なかには自分で選択しないと適用されないサイトもあるので注意しましょう。

 割引対象となる旅行商品は、主にホテルの宿泊、ホテルと往復の交通手段(飛行機・鉄道・バス)が一緒になったセットプランです。

 なお、気をつけたいのは割引前の価格が1人2万円超の旅行商品と1泊1万2500円超のホテルのとき。40%割引でも上限がそれぞれ8000円、5000円と設定されているため、割引率を下げてしまうことになります。無理に安いプランにする必要はありませんが、高額な旅行商品やホテルよりもお手頃な価格帯のものほどよりお得に利用できると考えておきましょう。

 また、仮に往復きっぷ+ホテル2泊分で2万円以上のプランで検討しているのであれば、往復きっぷとホテル1泊分のプランにして、もう1泊は別途手配。これなら全国旅行支援の恩恵をフルに受けられます。

※すでに予算上限分の予約が入り、支援割を終了している自治体もあるのでご注意ください。

◆2.「地域独自キャンペーン」も積極的に併用しよう!

 割引率の高い全国旅行支援では、ほかの割引と併用不可能なケースがほとんど。ただし、なかには併用可能な割引もあります(※利用条件があり、必ず併用できるとは限りません)。

 なかでも割引額の多さで話題になっているのが北海道函館市。宿泊料金が1万円割引になる市独自の「はこだて割」があり、全国旅行支援と併用することで割引額が上限が1万5000円と3倍になります。函館には道内有数の温泉処で知られる湯の川温泉があり、予算を気にせず泊まることができそうです。

「はこだて割」旅行者向け公式サイトより
「はこだて割」旅行者向け公式サイトより
 ほかにも秋田県では大館能代空港利用者に1万円(※往復の場合。片道のみは5000円)をキャッシュバックする「大館能代空港『空の旅』キャッシュバックキャンペーン!」を実施。鹿児島市では1泊最大6000円割引(※クーポン2枚購入の場合/桜島にあるホテルは最大1万円)の「まってるし鹿児島市宿泊満喫クーポン」のほか、レンタカー代・タクシー代が最大5000円キャッシュバックされる「かごしま×楽巡」、体験ツアーやアクティビティが5000円割引される「鹿児島 体験たっぷりプレゼントキャンペーン」など割引・キャッシュバックキャンペーンが充実しています。

 これらはあくまでほんの一例。全国の多くの自治体がこうした独自キャンペーンを行っているため、それを参考にして旅行先を決めるのもいいかもしれませんね。

※地域独自キャンペーンも全国旅行支援同様、申し込み・購入が予算上限分に達した時点で終了となります。

◆3. 旅行サイト独自の割引を使えば、宿泊代はさらに安く

 旅行サイトの中には普段から会員などを対象に独自の割引を実施しているところも多く、全国旅行支援と併用可能な割引も用意されています。

 例えば、『Yahoo!トラベル』はYahoo!プレミアム会員(※月額508円。最大6か月無料)の事前登録が必要ですが、同サイトから初めて予約する場合は「いますぐ利用」の10%割引が自動的に適用。これに全国旅行支援の40%割引が加わるため、事実上半額で泊まることができます。

Yahoo!トラベルの予約画面
「全国旅行支援割」「いますぐ利用」を適用した、Yahoo!トラベルの予約画面 Yahoo!プレミアム会員だった筆者は、1泊1万4290円の温泉ホテルをYahoo!トラベルから予約しましたが「いますぐ利用」で1420円割引、全国旅行支援で満額の5000円割引で宿泊料は7870円。クレジットカードで決算したため、カードのポイントも付いています。

 筆者もこの方法で予約したのですが、プレミアム会員は電子マネー「PayPay」払いなら5%還元だったことをすっかり失念。こっちで払っておけばさらにお得でした。なお、この5%還元はプレミアム会員でなくともソフトバンクユーザーにも適用されるため、ぜひ覚えておきましょう。

「全国旅行支援割」で泊まった1泊7870円の温泉ホテル
筆者の泊まった1泊7870円の温泉ホテル(ダブルの割引適用前は1万4290円)
 また、『楽天トラベル』でもアプリ予約&オンライン決済でポイントが5%還元。さらに0と5の付く日限定で利用可能な割引クーポンで5%割引と実質半額に。しかも、楽天カードで決済すれば、こちらのポイントもより多く手に入ります。

 大手旅行サイトは併用可能な割引やポイント還元も充実しているため、そこら辺もしっかり吟味することをオススメします。

◆4. 日帰り旅行もやり方次第で割引に

 ホテルに泊まらない日帰りは、全国旅行支援の対象外だと思っている方もいるかもしれませんが、そんなことはありません。これもやり方次第ではしっかりお得に旅を楽しむことができます。

旅行を楽しむ2人の女性
写真はイメージです
 まず覚えておきたいのは、日中だけ滞在するホテルのデイユースプランは基本的に対象外。でも、日帰りプランや日帰りツアーであれば旅行商品という扱いになり、最大5000円の割引が適用されます(※一部、対象外となるプラン、ツアーもあります)。

 こうした旅行商品は旅行会社が多く扱っており、最寄りのお店や旅行会社のホームページから申し込むのが便利。旅行サイトによっては日帰りツアーを一切対象外としている場合もあるため、日帰りか宿泊か、旅のスタイルによって申し込み先を使い分けるのがいいかもしれません。

◆5. 東日本の移動は「鉄道開業150周年 JR東日本パス」が超オススメ

 最初にホテルと往復の交通手段(飛行機・鉄道・バス)が一緒になったセットプランは1日最大8000円割引と言いましたが、それでも遠方への異動だと交通費がかさんでしまうのも事実。そこでオススメしたいのが「鉄道開業150周年 JR東日本パス」というフリーきっぷです。

 利用期間は10月14~27日と短いですが、JR東日本管内すべての特急・新幹線を含むすべての列車が3日間乗り放題で、料金は大人2万2150円、子供1万150円(税込み)。しかも、青い森鉄道線、IGRいわて銀河鉄道線、三陸鉄道線、北越急行線、伊豆急行線、富士急行線、えちごトキめき鉄道線(直江津~新井間)まで乗り放題となり、首都圏から甲信越・東北への旅行には大変お得。おまけにきっぷを提示することで飲食店や土産物店で割引サービスなどの特典も受けられます。

「鉄道開業150年記念 JR東日本パス」フリーエリア(対象路線)
「鉄道開業150年記念 JR東日本パス」フリーエリア(対象路線)
 このきっぷを利用して遠くへ旅行に行くなら、ホテルは個別に予約したほうが安上がりになる可能性が大。悠長に計画を立てている日程的余裕はないですが、この機会に東北や甲信越への旅行をするなら利用しない手はありません。

 なお、このきっぷはJR東日本のきっぷ販売サイト「えきねっと」での販売のみ(※きっぷの受け取りは、駅の指定席券売機)。みどりの窓口では扱っていないので注意しましょう。

◆6. ワクチン接種証明 or 陰性証明書は忘れずに

 これは裏技というより注意事項ですが、全国旅行支援を利用してホテルに泊まる場合、チェックイン時にフロントでワクチン3回以上の接種証明、または陰性証明書の提示を求められます。

ワクチン接種証明
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 接種証明に関しては政府が提供する『新型コロナワクチン接種証明書アプリ』があるので事前にダウンロードして、接種情報を登録しておくと便利。紙の証明書を忘れるのが不安な方におすすめです。もちろん、3回目以降のワクチン接種情報のシールが貼られた紙の証明書でも大丈夫です。

 一方、陰性証明書についてはPCR検査、抗原定量検査、抗原定性検査いずれでもOK。自分で行う検査キットだと陰性でも認められないため、検査機関から発行された証明書が必要になります。

 筆者は接種証明アプリを提示し、確認はすぐに終わりましたが、SNS上には証明書を忘れたという投稿が続出。もし提示できない場合、割引も地域クーポンも対象外となり、最悪宿泊できない可能性もあります。こればっかりはホテル側の判断でどうにかできることではないため、必ず事前に用意するようにしてください。

◆今は安く旅行ができるまたとないチャンス

 全国旅行支援の期間は12月下旬までとなっており、年末年始の旅行に使えるかは微妙なところですが、自治体によってはそれ以降も続ける方針を打ち出しているところも。仮に予算が上限に達して終了になったとしても、再開する可能性もあるので情報は逐一チェックしておいたほうがよさそうです。

 あらゆる物価が上昇した現在、旅行は家計にとってコロナ前以上に大きな負担となっていますが、今は安く旅行ができるまたとないチャンスです。賢く利用し、懐(ふところ)に優しく楽しい旅をしてはいかがでしょうか。

<写真・文/高島昌俊>

【高島昌俊】

フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。この冬、貯めたマイルを使い、ビジネスクラス世界一周旅行に挑戦。日刊SPA!にて『10万2830円と貯まったマイルでビジネスクラス世界一周してみた』を連載。