「私、今まで生きてきて、正直人間は学歴で決まると思っていました。でも最近、その考え方を改める出来事が起きたんです」
そう話を切り出したのは、会社員の美穂さん(仮名・23歳)。
◆中卒の両親を反面教師に育つ
「実は、私の両親はどちらも中卒なんです。どちらかが中卒とか、両方とも高卒、ぐらいならいるかもしれないですけど、どちらも中卒となると珍しいですよね。しかも、いわゆる元ヤンで……。ヤンチャしていたころの写真を見てしまったときは、ショックを受けました」
美穂さんは両親のように低学歴にはなるまいと、小学生のうちから必死に勉強を頑張ったそうです。
◆勉強のかいあって名門大学に進学
「両親は、接していて『大人なのに馬鹿だな』と思ってしまう場面が、子どものころからあまりにも多くて。とくに、両親にはわからないからと、勉強をまったく教えてもらえなかったのは痛かったです。だから、自分から塾に通いたいと言って、通わせてもらいました」
そのかいあって、美穂さんは名門といえる大学に進学。そこで、彼氏の透さん(仮名・23歳)とも出会いました。
◆育ちのいい彼氏ができる
「透はいわゆる“育ちのいい”人で。サークルで知り合い、自分にはない魅力に惹かれていたら、透から交際を申し込まれたんです。透も、二人のいろいろな違いを、かえって魅力的だと思ってくれたとのことでした」
そして、大学生活は透さんとカップルとして平穏に過ごし、無事に卒業。二人とも、新卒で今年から働き出したそうです。
「お互い、第一志望の企業に入社することができて。当然、努力もしましたが、学歴ってやっぱり大切だなと痛感しました」
◆両家顔合わせの食事会をすることに
社会人としてお互いが落ち着いたら、結婚しようという話になった二人。
「『俺の両親に話したら、ぜひ美穂の親御さんも交えて食事会がしたいって』と透に言われたんです。透のご両親にお会いするのはまったく問題がなかったのですが、うちの両親と会わせるのは正直、抵抗がありました。でも、結婚するなら避けられないことなので、承諾したんです」
その顔合わせで、とんでもない出来事が起きてしまいます。
◆高学歴な彼の両親
「透のご両親は、とても立派な雰囲気の人たちでした。お父さんはいかにも重役!っていう感じで、お母さんは若々しくて気品があって……。自分の両親と比べると、恥ずかしくてたまらなくなりました。ご両親とも、案の定、高学歴とのことでした」
最初は穏やかに話していたという一同。ところが、透さんのお母さんの発言で、場が凍り付いてしまいます。
◆「まさか高卒じゃないですよね?」
「『美穂さんのご両親は、どちらの大学を卒業されたの?』と聞かれたんです。うちの両親は、笑ってごまかすしかなくて……。『まさか、高卒っていうことはないですよね? 高卒以下の方は、ヤンキーだとしか思えないですし』とか言って、透のお母さんも笑い出したんです」
うちの両親がキレないかヒヤヒヤしました、と美穂さん。しかし、美穂さんの両親は、それでも笑って話を聞いていたそうです。
◆気づいたら私がブチギレてた
「でも、透のお母さんが『低学歴の方が、まともにお子さんを育てられるとは思えないですからねぇ』って言ってきて。それに対し、私が思わずキレてしまったんです(笑)。『うちの両親は、確かに中卒で低学歴です。でも、私を立派に育ててくれました!!』気が付いたら、そう叫んでいましたね」
◆両親の言葉に号泣
その場で顔合わせはお開きに。「私たちが低学歴なせいで……ごめんね」と謝るご両親の姿を見て、美穂さんは号泣したそうです。
「考えてみれば、私の両親は中卒でも、立派に働き、奨学金を借りずに大学まで出してくれました。これって、すごく恵まれていることなんですよね。両親を恥ずかしいと思っていた自分こそが恥ずかしいです」
◆「あんな下品な子と付き合うな」と
ちなみに、透さんとの関係はどうなったのでしょうか。
「『あんな下品な子とは結婚どころか、付き合うのも駄目!』と、ご両親から言われているそうです。透には、好きにしたらいいよ、って言っておきました。それでご縁がなくなったら、それまでの関係だった、っていうことですから」
これからは親孝行したいです、とたくましく笑う美穂さん。いくら高学歴の方だとしても、低学歴の方を馬鹿にする姿勢のほうがよほど下品だと思ってしまいますね。
―シリーズ「ヤンキー・ギャル・コギャル」―
<文/女子SPA!編集部>
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