9月にコロナワクチン3回以上接種した人との条件付きながら帰国前PCR検査の実施と陰性証明書の提示を免除。コロナ前に近い状態で海外に行けるようになり、年末年始や来年以降の海外旅行を計画している方もいるのではないでしょうか。
ただし、いざ旅行ができるようなっても気をつけたいのは旅先でのトラブル。なかにはそのせいでせっかくの旅が台無しになってしまうことも。2017年に夫とマレーシアを旅行した早川希恵さん(仮名・37歳)も現地到着後に起きた“あるトラブル”のせいで予定が大きく狂ってしまいます。
◆マレーシアに到着したのにスーツケースは経由地の上海に
「地方在住だったので当時最寄りの空港に乗り入れていた中国の航空会社を利用し、上海経由でマレーシアに向かったんです。でも、クアラルンプールの航空に到着後、入国審査を終えて手荷物受取所でずっと待っていても私たちのスーツは来ませんでした。それで同じフロアにある事務所に行き、搭乗手続の際に貰った荷物の預かり証を見せて調べてもらったところ、『荷物はまだ上海にあるので明日の便で届く予定です』と言われたんです」
最終目的地で預け荷物を受け取れないこうしたトラブルは「ロストバゲージ」と呼ばれ、海外で乗り継ぎ便を利用する際などによく起こるトラブル。特に乗り継ぎ時間が短いと荷物を別の飛行機に積み直す時間がなく、荷物だけ置いてきぼりになることがあります。
このときは原因について詳しい説明はなかったそうですが、彼女によると上海での乗り継ぎ時間は短かったとのこと。それが原因であることは察したものの、問題は2人が翌日クアラルンプールを離れ、マレーシア北部にあるペナン島に移動する予定になっていた点です。午後の早い時間のフライトだったため、ホテルに届けられてもすでにチェックアウト後なので受け取るのが不可能でした。
「2日目以降はペナンで2泊して、再びクアラルンプールで1泊という全部で5日間の予定でした。2日目に空港で直接荷物をピックアップするのも時間帯的に無理。事情を説明しましたが、この時点ではどっちのホテルに届くかはわかりませんでした。
幸い化粧品は手荷物のバッグに入れていましたが、着替えや洗面用具は全部スーツケースの中。この旅では夫婦で大きなスーツケース1個を預けていたため、夫の着替えなどもなく、急きょ現地で買うことになってしまいました」
◆スーツケースが戻ってきたのは、なんと帰国前日!
そのため、2日目は現地のユニクロやドラッグストアなどで服と洗面用具を購入。しかし、この買い出しのおかげで2日目の午前中に訪れるはずだったクアラルンプールの象徴であるツインタワーやチャイナタウンに行く時間がなくなってしまったといいます。
「1日だけなら旅行者向けに売っているお土産用のTシャツでもよかったですが4日目のクアラルンプールのホテルに届く可能性もあり、最悪の事態を考えると3日分用意する必要がありました。それで帰国しても普段着として使えるユニクロにしましたが価格は日本並み。マレーシアは全体的に物価が安かったため、むしろ少し高く感じてしまいました(苦笑)」
その後、移動したペナン島ではビーチでのんびり過ごしたり、世界遺産に指定されているジョージタウンを散策するなど充実した時間を過ごした希恵さんと夫。ですがペナン島のホテルにスーツケースはやはり届いておらず、結局2人の元に戻ってきたのは4日目。再びクアラルンプールに戻ってホテルにチェックインした時だったそうです。
「彼は『今さら届いてもな……』って言ってましたが、私もまったく同じ気持ちでした。現地での最後のディナーはマレー料理の専門店でバクテーやナシゴレン、サテーなどの名物料理を食べ、どれも美味しかったですけど、一緒になって食事中ボヤいていた思い出のほうが大きいです(笑)」
◆トラブルにも動じず対応してくれた夫に対する評価はアップ!!
それでも空港の窓口で担当職員と英語で交渉してくれたり、服などを現地調達するにあたってユニクロがあることなどを調べてくれた夫については「すごく頼もしく見えました」と希恵さん。
「私ひとりなら最初の空港の時点で困り果てていたと思うし、私の中で彼に対する評価がさらに上がるきっかけになりました。それに最終日に空港へ行くとき以外、現地でスーツケースを持たずに移動することができたので、そこに関してはよかったのかなって」
ちなみにロストバゲージのリスクを抑えるには直行便を利用するのが一番。どうしても乗り継ぎ便を使うことになる場合でも万が一の状況を想定し、機内持ち込み荷物にも分散して着替えを忍ばせておいたほうがいいかもしれませんね。
<文/トシタカマサ イラスト/カツオ>
【トシタカマサ】
一般男女のスカッと話やトンデモエピソードが大好物で、日夜収集に励んでいる。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。