資産を築き、早期に経済的自立を果たして会社を辞めることを目指す「F.I.R.E」(ファイヤー)というワードを、日本でも耳にするようになりました。アーリーリタイアに向けては若いうちから準備をすることが重要ですが、具体的にはどのような用意や視点が求められるのか調べてみました。
アーリーリタイア(F.I.R.E)に必要な「4%ルール」とは?
アーリーリタイア(F.I.R.E)を目指す人は、まず「4%ルール」の概念を知ることから始めたいところ。F.I.R.Eという言葉の基礎知識と、「4%ルール」について解説していきます。
アーリーリタイアってなに?F.I.R.Eとは?
アーリーリタイアとは一般的に、定年を待たずに仕事を辞めることを指します。アーリーリタイアは早期退職という行為自体を指す言葉ですが、F.I.R.Eはもう少し概念的なワードです。
「FIREムーブメント」と言われるように、単に早期リタイアするだけではなく、お金の悩みを持つことなく人生の時間を自分の好きなように使いたいという目的意識があります。
F.I.R.Eは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取ったもので、直訳すると「経済的な自立で、早く引退しよう」といった意味になります。つまり、働き盛りの若いうちに十分な資産を築き、投資収益によって自由な生き方をいち早く手に入れようという考え方のことです。
F.I.R.Eは2008年のリーマンショックを経て、アメリカのミレニアル世代(1981~1996年生まれ)の間で広がった動きで、日本でもその考え方が知られるようになってきました。ただ、アーリーリタイアの実現は決して一朝一夕にできるものではありません。
アーリーリタイアを実現させるためには経済的自立、つまり「必要な資産を貯めること」「利回りで収入を得られるようになること」が重要で、そのためにも「4%ルール」については知っておいて損はありません。
4%ルールとは?
「4%ルール」は1998年に米トリニティ大学のグループによって発表された資産運用に関する研究から導かれたものです。
これは、毎年、資産運用額の4%未満を生活費として切り崩していれば、30年以上が経過しても資産が尽きる確率は非常に低いという内容です。どのようなポートフォリオ(資産構成)にするかなどによって数字は変わってきますが、おおむねこのような意味になります。
この4%ルールは、アメリカの一般的な株価の成長率(7%)から物価上昇率(3%)を差し引いて計算されたもので、要は投資で得られる利益の範囲内で生活を続ければ、半永久的に資産が目減りすることなく生活ができるという考え方です。
そして資産運用額の4%を1年間分の生活費として切り崩すということは、逆算すれば、元となる資産は1年間の支出の25倍が必要になるということになります。
時代や国が変われば株価の成長率も、物価上昇率も異なるので、いつでもどこでも4%ルールが当てはまるわけではありません。ただし、大きな資産を築いて投資利益の範囲内で生活を続けることでアーリーリタイアが可能になるという点は、どの国、どの時代でも共通しています。
アーリーリタイア戦略に必要な視点
アーリーリタイアを現実のものとしていくために必要な視点を、いくつか紹介しましょう。
覚えておきたい計算式
アーリーリタイアに向けては、以下の計算式を使って実現に向けた計画を立てるのがよいでしょう。
定年退職までの給与+社会保険料+老後資金の不足額 < 手持ち資産+将来見込まれる運用益
手持ち資産と将来見込まれる運用益の金額が、左辺を全て合計した金額を上回った場合、アーリーリタイアが可能な水準に達していると考えられます。逆に下回っている場合は、手持ち資産を増やしたり、より高い投資利回りを実現したりすることが求められます。
リスクにも備えておこう
上記の計算式はアーリーリタイアの実現性を測る1つの方法ですが、実際には運用益は不確実なものであり、物価が将来上がるか下がるかも分かりません。また解雇や給料の引き下げなどで手持ち資産を思ったようには増やせない可能性もあります。
そのため、さまざまな要因で計画がそのままうまくいかないことがある、ということも知っておきましょう。その上で計画がうまくいくよう工夫することも可能です。例えば「分散投資」がその1つです。
分散投資では資産の投資先(金融商品・銘柄)や投資国などを分散させることで、保有している特定の資産や銘柄が値下がりしても、ほかの資産や銘柄の値上がりによってカバーします。このようにして、資産全体のリスクを最小限に抑えることができます。
また、解雇や給料引き下げのリスクヘッジ策としては、副業を始めておくことなどが1つの方法として考えられるでしょう。