今年は3年ぶりの行動制限のないお盆休みでした。帰省して家族との再会を楽しんだという人も多いと思いますが、「もう、実家には2度と帰省しないと決めました」と語る女性がいます。

嫁姑
※イメージです(以下、同じ)
 都内在住の中山裕子さん(仮名・39歳)は、今年の夏休みに九州の実家に3人の子どもを連れて帰省したといいます。

◆3人の娘を連れて、帰省

「子どもは3姉妹で上から小2、年長、3歳です。女の子とはいえみんなヤンチャなのでなかなか大変です。それでも実家に帰ろうと思ったのは両親が子ども達に会いたがっていたからです。最後に帰省したのは4年前。次女が生まれてすぐのときで、長女は3歳でそこまで手がかからなかったので、大人は私1人でも帰省することができました」

 しかし、今はヤンチャ娘が3人もいるため遠方の実家への帰省は大変。今年の夏の帰省をためらったという裕子さんですが、それでも両親のためにと思い直したといいます。

「最初は夫も一緒に来てくれる予定だったのですが、感染者が増えてしまったため急遽会社から、お盆中の外出自粛を言われたんです。そのため、私だけ少し長めに実家に帰省することに決めました。子どもが夏休みのタイミングから行くことになったので期間は2週間。

 両親は『もっといてもいいよ!』と言って喜んでくれました。3人の娘を1人で連れて帰るのは大変でしたが、実家に帰れば両親も面倒を見ると言ってくれていて。地元の友だちと会う約束も入れて、私も楽しみにしていました」

◆次第に、子どもを邪険に扱うように…

悩む女性
 しかし、帰省して5日ほど経った頃、両親の態度が徐々に変わっていったといいます。

「子ども達といることに親が疲れてしまったんです。私の両親はもう70歳を過ぎているので子どもの相手をするのは疲れるのもわかります。でも、それを子どもの前で言うようになったんですよ。次女と三女が食事のときに食べ物をこぼすのを見て『汚いわね』とか『ちゃんとしないならもうご飯食べなくていいよ』とか言うんです。しまいには『ちゃんとできないなら来年からもう家に来なくていいからね』とまで言われました」

 それだけではありません。帰省中に地元の同級生との再会を楽しみにしていた裕子さん。子ども抜きで会う約束をしていたのに、なんと親が面倒を見たくないと言い出したのです。

「帰省する前は母親が『面倒見るから友達と会ってきていいよ!』と言っていたんです。でも、直前に『子どもたちも連れて行って』と言われました。久しぶりに友達と昼間からランチしてお酒でも……と考えていたのですが、行けなくなってしまいました。友達は気を遣ってくれて『じゃあ、家で会おうか』と言ってくれました。友達も子ども抜きで楽しみたかったはずなのに、申し訳ない気持ちになりましたね……」

 その後も、友達との約束がある度に3人の娘たちを連れていったという裕子さん。裕子さんの両親は結局、一度も子どもを預かってくれることはなかったといいます。

◆残りの1週間は民泊に泊まることに

主婦
「1週間もすると母親は子どもたちに何かあっても『ほら、次女が食事こぼしてるよ』とか私に注意するようになっていました。子どもに対しても冷たくなっていき、これ以上実家にいるのはちょっと……とさすがに思うようになりました。

 食事も私がお金を出して毎日作ることになって、ゆっくりどころか普段の生活と何も変わらないくらい忙しかったし、気を遣いました。親はあれほど子どもとお出かけしたいと言っていたのに全然行ってくれなくて、私がワンオペであれこれ連れて行ってました。

 最後はもう実家にいても意味がないし、娘たちも嫌味を言われるので実家を出ることにしたんです。残りの1週間は急遽、民泊の予約をとってそっちに泊まることにしましたね……」

 高齢の両親が子どもたちと何日もいるのはたしかに大変だとは思いますが、「正直、実家に帰省した意味がなかった」と話す裕子さん。両親が会いたいというから3人娘を連れて長距離の移動をしてきたというのに、さすがにご両親のその態度はないですよね。

 お互いに無理をしてまで過ごすことはないはず。子供たちが祖父母に会いたいと言わない限りは、実家には帰らなくてもいいのかもしれませんね。

<取材・文/結城>

【結城】

男女観察ライター。鋭い視点で世の男女を観察し、 夫婦問題からイタい火遊びまで、幅広いエピソードを華麗に紡いでいく。Twitter:@yuki55writer