しつこい宗教勧誘は、想像もしないところからやってきます。今回は、会ったことがない異母兄姉と感動の対面のはずが一転、ひどい目にあったエピソードをご紹介します。
朝霧ゆみさん(35歳・派遣)は、父親が再婚で異母兄姉がいることは知っていたものの、会ったことはなかったそう。けれど、父の死後、相続の手続きで会わなくてはいけないことになりました。
◆異母兄姉がいると知ってワクワク
「ひとりっ子だったので、血がつながっていて父の面影を残す異母兄姉と会うのは少し楽しみでした。どんな顔をしているのかなぁって」と、少し楽しみにして、その日を迎えました。
兄2人、姉1人のうち、対面したのは姉でした。
「わたしにとっては“異母兄姉と感動の対面”でした。腹違いの姉は優しく、笑顔で迎えてくれ、楽しく食事をしました。会えたことに感動していました。亡くなった父にそっくりで、笑顔もそっくり。父が目の前にいるような気持ちになりました。何より、ひとりっ子で兄妹がいないわたしに、いきなり姉ができた気がして、すごく嬉しかったんです」
和やかなムードで、また定期的に会いましょうと言って別れた食事会。しかしその後に、恐ろしいことが朝霧さんを待っていました。
◆前妻との離婚理由は宗教絡み
「実は父の前妻はある新興宗教に入れ込んでいて、地域のリーダーとして活躍するような大玉だったそうです。その娘である腹違いの姉も宗教2世として活動しているようでした。母から、父と前妻との離婚の原因は宗教絡みだと聞いてはいましたが、わたしにはそんな話を一度もせずに終始和やかだったので安心していました」
新興宗教を熱心に信仰していることは知っていたものの、会ったときにはそんな話は出ず、安心した間宮さんは「信仰は個人の自由で、無理に勧めることはしないんだな」と良いほうに解釈していたそうです。
ですがその後、再会したときにはそうはいかなかった模様。
◆入会申込書を渡される
「その後、わたしが住む関東に来る機会があるので、食事に行こうと誘われました。すっかり油断して、ワクワクして出かけたのが大失敗でした」
話をするうちに、徐々に「幸せとは?」などという話が始まり、怪しい話の流れに。なんとなく聞き流して、早く切り上げようとしましたが…。
「早く切り上げようと思い、帰ると告げると、別れ際に『ちょっとこれを書いてくれないかな?』と紙を渡されました。それはまさに、新興宗教の入会申込書でした。絶対に入りたくないと思っていたので断りましたが、そこからしつこい勧誘が始まりました」
断っても、断っても、しつこく勧誘され、とにかく仮でもよいからと申込書を書くように言われたそうです。
◆本当にショックだった
「特定のものを信仰しないと幸せになれないって、おかしな話ですよね。幸せは自分で探すものです、と必死に断りました。最後は諦めてくれましたが、異母姉に会えてうれしかった気持ちが大きかったので、結局宗教勧誘のための誘いだったのかと、本当にショックでした」
異母姉との楽しい会食のはずが、宗教勧誘のためだったとわかり、しばらく立ち直れなかったそうです。
◆選挙前に一本の電話がかかってくる
その後、もう会うのはやめようと誓った朝霧さんですが、なんとその後、また電話がかかってきたとか。
「選挙前に知らない番号から電話があり、出ると例の異母姉でした。用件は、特定の党に投票してほしいとの連絡でした。こちらの迷惑も顧みず、特定の党に投票することを押し付ける口調にウンザリしました。申し訳ないけれど選挙の投票は自分で決めさせてもらうときっぱり断りました」
それ以降、姉からの連絡はパッタリ来なくなったといいます。
◆新興宗教への拒否反応が強まった
「どの宗教を信仰するかは自由ですが、興味のない人を引きずり込むようなしつこい勧誘は、宗教のイメージを悪化させてしまい逆効果だと思います」と語る朝霧さん。
「おかげで、もともと好きではなかった新興宗教への拒否反応が強まってしまいました。自分が信仰しているものが本当に良いと思うなら、別の理由をつけて誘い出したり、無理に押し付けたりする必要はないはず。自分の信仰を堂々と言えないのはおかしいと思います」
宗教勧誘の問題が取りざたされる今日この頃だからこそ、朝霧さんのメッセージが響きます。
―シリーズ「ヤバい家族/義家族で苦労エピソード」―
<文/塩辛いか乃>
【塩辛いか乃】
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako