一見、問題なさそうに見える家族に、実は驚愕の秘密が…! 事実は小説よりも奇なりといいますが、それを地で行くエピソードの登場です。
間宮ひろ美さん(32歳・会社員)の家族にも、戸籍にまつわるとんでもない秘密があったそうです。
◆パスポートのために取った戸籍謄本を見て衝撃
「うちの家族構成は父、母、わたし。いわゆるひとりっ子です。20歳の時に海外旅行にいくことになり、パスポート取得のために、実家に頼んで戸籍謄本を取り寄せました」
この1通の戸籍謄本が、大事件の発端となります。
「送られてきた戸籍謄本を見て愕然としました。戸籍の母の欄には、わたしの母とは違う名前が書かれていたのです。さらに、わたし以外に、聞いたこともない別の子どもの名前が3人書かれていました」
◆母親に泣きながら電話
驚いてすぐに実家に電話し、事情を聴いた間宮さん。
「母のことが大好きだったので、『お母さんは、実のお母さんじゃないの!?』と、泣きながら問いただしました。すると、実は父は、以前別の人と結婚をしていたそうです。そこに子どもが3人もいたと。そして母は、まだ父と前妻の離婚が成立する前にわたしを生んでしまったのです」
父が再婚だったことも、母が父の離婚前に出産したということも、合わせて知ることになってしまった間宮さん。当時はとても混乱したそうです。
◆おかしな戸籍、原因は父親だった
そしてさらに事情を聴くと、いい加減な事情で戸籍がおかしくなってしまっていると判明します。
「前妻と籍が抜けていない状態でわたしが生まれ、戸籍をどうにかしなくてはと思った父は、なんと“前妻との子ども”として、わたしの出生届を出してしまったそうなのです」
困ったことになったとはいえ、なんとも突拍子のない方法で出生届を出されてしまった間宮さん。さらに悲惨なことに、間宮さんの戸籍は、ずっと修正されないまま、放置されていました。
◆戸籍を正すどころか、養子縁組まで…
「その後の戸籍を見ると、前妻とは離婚し、父と母は入籍していましたが、わたしが前妻との子という間違った記録は修正されていませんでした。それでも親子関係を無理やり作ろうとした父は、わたしと母を“養子縁組”という形で登録したのです」
何度も、正しい情報に修正してほしいと両親に頼んでみたものの、前妻と連絡を取りたがらない父にかわされてしまったそうです。
◆父亡きあと、自力で戸籍を修正
「結局、戸籍は放置されたまま父が亡くなりました。わたしが結婚することになり、会ったこともない父の前妻と、戸籍上は親子。相続など、なにかあったら大変だと思いました。家庭裁判所に出向いて、戸籍を修正する方法を聞き、自分で手続きをすることにしました」
戸籍の修正をするためには、前妻の住む管轄の家庭裁判所まで出向いて「親子関係不存在の申し立て」をすることが必要だと知ったそう。遠方に住む、会ったこともない父の前妻に、わざわざ会いに行くハメになりました。
「家庭裁判所で申し立てをし、母に頼んで前妻に連絡を取ってもらいました。あちらの家庭裁判所に出向いて双方合意の上、やっと戸籍の修正をすることができました。戸籍謄本を取る機会は少ないため、あちらのご家族もわたしが戸籍に入っていることを知らなかったようです」
◆平穏な日々の中で、ときどき蘇るモヤモヤ
長年秘密にされていた、両親の「驚愕の事実」を知り、そこからさらに時を経て、やっと正しく戸籍が修正されてほっとしたものの、やはりモヤモヤは消えないそうです。
「戸籍は修正されましたが、モヤモヤは消えません。離婚も再婚も父の自由ですが、生まれてきたわたしを適当な戸籍にぶち込んで、そのまま放置して亡くなった父のことを思い出すと、わたしが雑に扱われている気がして、嫌な気持ちになります」
ですが、その経験を今に生かそうと思いなおしたそうです。
◆間宮さんの夫も再婚、息子にはすべて話した
「親の秘密は、後になって知るとショックだと知りました。実はうちの夫も再婚で、前妻との間に息子が2人います。2人とも成人して結婚し、子どももいて、家族ぐるみで付き合いがあります。わたしの息子にも事情を伝えていて、息子は『明日、父ちゃんの息子がうちに来る』なんて友達に話しています。息子も“父ちゃんの息子”なので、聞かされた相手は混乱しています(笑)」
自らの体験を経て、子どもには事実を伝えている間宮さん。嫌な思いをしたからこそ、夫の家族とも気持ちよく交流しようと思えるのだとか。
◆前妻とも良好な関係を構築中
「前妻の息子さんたちは、歳が離れたわたしの息子をすごく可愛がってくれました。後妻であるわたしも、わたしの息子も受け入れてくれて、わたしも親戚づきあいができるようになって、嬉しく思っています」
負の連鎖を断ち切って、新たな未来を進んでいく間宮さんにエールを送りたくなりますね。
―シリーズ「ヤバい家族/義家族で苦労エピソード」―
<文/塩辛いか乃>
【塩辛いか乃】
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako