「夫は、いつもすごく優しくて、私のことを大切にしてくれているのが伝わってきます。でも、ハグやキスをしてくれることは、めったにありません。私からスキンシップを取るばかりで、悲しくなります」
そう話すのは、新婚ほやほやの酒井真奈さん(仮名・32歳)。真奈さんは夫から触れられず、セックスレスになったことで自信をなくしてしまいました。
◆夫は周囲から羨ましがられるほどの優男
真奈さんと夫・順平さん(仮名・33歳)は、4年前にマッチングアプリをきっかけに結婚。順平さんは付き合っている頃から優しく、結婚後も真奈さんを最優先にし、細かな気遣いをしてくれています。
「今、私だけリモートワークなのですが、仕事がなかなか終わらず、夫が帰宅してからも頑張っていると、『おつかれさま。無理しすぎないでね』と言って、お茶を入れてくれます」
順平さんは家事も積極的に行なってくれ、真奈さんの体調が悪いときにはつきっきりで看病。薬や食べ物を買いに走ってくれたり、外出する予定があっても断り、体調が悪化したときに対応できるよう、家で過ごしてくれたりするほどの“優男(やさお)”です。
「夫のことを話すと、友達からはいつも決まって『そんないい人、いないよ! 大切にしなきゃ!』と言われます。だから、夫婦間のスキンシップがないなんて相談できません」
◆家でセックスをしたことは一度もない
付き合った当初、真奈さんたちのセックス頻度は月に1回ほど。真奈さんは、それでも少ないと思っていましたが言い出せず……。やがて、交際期間が長くなると、3~4ヶ月に1回程度しかホテルに誘われなくなりました。
「でも、別れ際のキスはしてくれていました。たまにされないこともあったけれど、私が求めなくても彼から自発的にしてくれていたので、女として魅力がないわけではないだろうと思えていました」
しかし結婚後、順平さんからのスキンシップは激減。現在、真奈さんは結婚1年目ですが、8ヶ月ほどセックスレス状態だといいます。順平さんから、キスをされることもありません。
「だから、一緒にテレビを見ているときや眠るときに、私から近づきます。すると、夫は優しく頭を撫でてくれたり、笑いながら楽しそうに会話をしてくれたりしますが、顔が触れ合う距離にいても、キスはされません。触れ合うといったら、手を繋ぐくらい。家でセックスをしたことはなく、旅行に行くと誘われる程度です」
◆セックスレス改善のために自分磨きに励むも…
そんな状況を変えたいとは思うものの、セックスについて順平さんと話し合う勇気は持てません。
「セックスのことを除けば、私にはもったいなさすぎるほど完璧な人。せっかく、穏やかな夫婦関係を築けているのに、悩んでいることを切り出してギクシャクしてしまうのは嫌ですし、打ち明けると、セックスが“しなくてはいけない行為”に感じられて、余計に頻度が減ってしまったり、勃たなくなってしまったりするんじゃないかなとも思って……」
そう考え続ける中で、真奈さんは女としての自信をどんどん失っています。
「私がもっと綺麗だったり、色気があったりすれば、こんなことで悩まなかったのかなあと……。少しでも夫をドキっとさせたくて、派手な下着を買ったり、美容に力を入れたりしていますが、今のところ効果はありません」
◆問題は体の関係だけ。解決策に頭を悩ます日々
日常の中での言動から愛されていることは伝わってくるのに、体の関係だけがない……。そう嘆く、真奈さんは身体だけが満たされないもどかしさを、どう解消したらいいのか悩んでいます。
「これから先、セックスレスの期間がもっと長くなってしまったら、自分はどうなってしまうのだろうかと考えると、少し怖いです」
理想的だと思うセックスの頻度は、人によって差があるもの。パートナー間で違いがある場合は、どちらか一方の希望を押しつけるのではなく、互いの意志を尊重しながら妥協点を見つけることが重要です。
まずは、順平さんがセックス自体をどう捉えているのかを聞けたら、真奈さんたち夫婦の関係は変化していくのかもしれませんね。
<取材・文/古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291