尿のこんな変化に注意

尿の状態は、食事内容や飲水量、健康状態などによって変わってきます。ふだんとの違いが重篤な病気の兆候であることも多く、愛犬が健康なときの尿の量や回数、色を知っておくことは、病気の早期発見にもつながります。「おかしいな」と思ったら、まずは動物病院に相談してみましょう。

量が違う

少ない・出ない

尿の量が急に減ったり、まったく出なかったりして、嘔吐などが見られる場合は、急性腎不全の可能性があり、非常に危険な状態です。
また、頻繁に排尿しようとするのに尿が少ししか出ないときは、膀胱炎や尿路結石、前立腺の病気などが疑われます。尿がまったく出ないようなら、尿路結石による尿道閉塞(オスに多い)かもしれません。その場合は命に関わる危険な状態ですので、すぐに動物病院で診てもらいましょう。

多い

水をたくさん飲んで、大量の尿を出す「多飲多尿」のケースでは、糖尿病、クッシング症候群、尿崩症などのホルモンの病気や、避妊手術をしていないメスの場合は子宮蓄膿症なども考えられます。
また、猫ほど多くはありませんが、慢性腎不全で腎機能が損なわれ、必要な水分を再吸収できず多尿になっていることもあります。

色が違う

濃い

朝の尿は色が濃いのが普通ですが、それ以外のときでも尿が濃い場合は、水分不足による脱水症状の可能性も。また、非常に濃い黄褐色の場合は、肝臓などの疾患によりビリルビン(胆汁に含まれる物質)量が増えているのかもしれません。

薄い

日常的に水をたくさん飲んで、色が薄い尿を大量にする場合は、ホルモンの病気や慢性腎不全などといった重篤な疾患の可能性もあります。色が薄いからと、摂水制限をしたりすると脱水を起こしかねませんので、安易に対処するのは禁物です。

赤い

尿路結石、膀胱炎、前立腺の異常などでは、炎症や結石によって膀胱や尿道の内壁が傷つけられ、血尿が出ることがあります。
また、タマネギ中毒やバベシア症にかかったり、過剰な運動をしたりして、短時間に大量の赤血球が破壊されると、ヘモグロビンが腎臓から排出され、尿が赤くなることがあります。これは血色素尿と呼ばれるもので、血尿とは異なる症状です。

白く濁っている

膀胱炎や前立腺炎など、細菌感染が原因の場合は、白血球が混じった白濁尿になることもあります。

その他

においが違う

尿がきつくにおう場合、膀胱炎など尿路に化膿性・炎症性の病気が起きているかもしれません。また、糖尿病の場合は、甘いにおいがすることもあります。

尿がキラキラ光る

尿の中に見えるキラキラ光る粒は、尿の中のミネラル成分が結晶化したものです。放置すれば尿路結石になりかねません。

いつもと違う場所で排尿する

泌尿器系の病気で、トイレまで排尿ががまんできないのかもしれません。また、精神的ストレスが原因で、トイレの失敗をくり返すこともあります。高齢犬の場合には、認知症の兆しとも考えられます。

犬の「尿」に隠されたヒミツって!?【犬のからだセミナー 尿編】
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)
犬の「尿」に隠されたヒミツって!?【犬のからだセミナー 尿編】
(画像=『犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)』より引用)
病気 症状 概要
尿路結石 尿が出にくい
血尿
尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に結石ができる病気。尿のpHが酸性に傾くとシュウ酸カルシウム尿石が、アルカリ性に傾くと、ストルバイト尿石ができやすくなります。
膀胱炎 頻尿
血尿
白濁尿
膀胱が細菌感染や結石によって傷つけられ、炎症を起こす病気。尿道が短く、地面に触れることの多いメスによく見られ、慢性化や再発をくり返すことも。
急性腎不全 尿が出ない 急激に腎臓の機能が低下した状態。短期間で症状が悪化するので緊急対応を。
糖尿病 多飲多尿 インスリンという膵臓から分泌されるホルモンの不足や働きが悪くなることによって、血液中の糖分が異常に高くなる病気。
クッシング
症候群
多飲多尿 脳下垂体や副腎にできた腫瘍などにより、コルチゾールという副腎皮質ホルモンが過剰分泌されて起こる病気。
膀胱腫瘍・
腎臓腫瘍
血尿 膀胱や腎臓の腫瘍も、血尿で発見されることが多い。
尿崩症 多飲多尿 抗利尿ホルモンの異常や腎臓の異常により、腎臓での水分の再吸収がうまくいかなくなり、尿の量が急激に増える病気。


提供・犬・猫のポータルサイトPEPPY(ペピイ)

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